VOL.7 2006.05.18 『小笠原諸島に視察に行ってきました』
5月9日~14日まで、約6日間、小笠原諸島の視察に行ってきました。
同じ東京都でありながら、竹芝桟橋から航路で約25時間。
世界で一番遠い島とも言われている父島、母島です。
父島には飛行場がありません。そのため、小笠原に行く手段は、船でしかなく、今回の視察は、都議会民主党でプロジェクトチームを組んでいる「島嶼振興調査会」のメンバーで行いました。
航海で、僕は船酔いは平気だと思っていたんですが、5時間位過ぎたあたりから、だんだん船酔いをしてきて、薬を飲んで寝ていました。
父島では村長以下、沢山の方々が出迎えてくれまして、昼食を取り、その足ですぐ母島に向かいました。都道最南端から、二時間位徒歩で歩き、南島を視察。
ここは、第二次世界大戦当時、アメリカの空襲に備えたトーチカ(地下道)がまだ残っており、戦跡を視察しました。
ただ一つ思った事は、この戦跡が保存状態も良くなく、トーチカなども雨ざらしのまま放置されていると言う事です。
ガイドさんの話によると、トーチカの奥にはまだ当時の大砲が設置されており、この大砲はアームストロング砲で、「戦艦三笠」から移設してきたものだというのです。「戦艦三笠」とは、知る人ぞ知る日露戦争当時、かの東郷平八郎の旗艦です。
本船は横須賀に重要文化財として保存されていますが、その一部が小笠原で、日露戦争後の約40年後に使われていたのです。もちろん戦跡というのは、被害の大きかった沖縄などでも放置されているものは沢山あります。全てを保存する訳には行かないでしょうが、小笠原の目指す世界遺産登録に向けて、こうした戦跡の保存というのは「平和」をテーマにした結節点として生かしていけないものかと思います。特に私達若い世代、戦争を知らない世代がこれから中心となってくる時代に、戦跡の保存をし、後世に伝えていく事も必要ではないでしょうか。
さて、飛行場の建設というのは確かに小笠原の人々にとって非常に重要な問題です。
島の振興のために、航空路の整備というのは急務だと思いますが、もう一つはTSLという高速船の運航が中止され、例えば、島民で急病の人が出た場合、内地まで行くのに時間がかかりすぎるという事です、現在は海上自衛隊が、この代わりをして、ヘリコプターを飛ばしていますが、やはりしっかりとした整備が必要だと思います。
ただ、僕は環境問題に取り組んでいる議員として危惧するものは、航空路が整備され島が今以上に発展、振興した場合、今の島の生態系を守る対策もしっかりと取っていかなくてはならないと言う事です。
ウミガメの産卵、イルカの群れ、青い海・・・
世界遺産登録をするにはその島の固有種以外の外来種がいる場合、登録は難しい、小笠原にはアカギという樹木やグリーンアノールというトカゲの外来種が沢山発生し、その対策をしています。島の振興と環境の破壊は著しく比例します。その為にも、振興調査をするのと平行し環境問題もしっかりと取り組んで行く事が必要であると強く思いました。
外来種の駆除を進めなくてはいけないと思いながらも、この島の木や動物達にしてみれば、人間そのものが外来種なのではないかと詠嘆的に感じた視察でもありました。