2006.11.09 : 平成18年財政委員会
◯尾崎委員
私も、税源移譲の関連で何点か、かぶらないように質問をさせていただきたいと思います。 この間の三位一体改革における税源移譲を初めとした一連の税制改正によって、都及び都民を取り巻く状況は大きく変化をしてきており、今後ともその動きは強まっていくものと予想されております。 今回、これらの改正の影響と税務行政運営の面から、何点かご質問させていただきたいと思います。 税源移譲を初めとした一連の地方税制の改正によって、個人住民税の税負担は大きく変化をするわけであります。国税庁では、税源移譲に伴い、平成十九年の一月から所得税が減税となり、同年六月から個人住民税が増税となりますが、納税者の負担合計額は同じとキャンペーンを行っております。 しかし、同じ時期から定率減税の廃止などの影響が生じることにより、実際の税負担は明らかに増大すると考えております。また、この個人住民税が増税となる影響は、国民健康保険料などにもはね返ってまいります。このような影響が、税源移譲を初めとした個人住民税の改正で生じるわけでありますけれども、税源移譲による課税所得段階別及び全体の増収額を、都としてはどのように見込んでいるのか、お伺いをいたします。
◯松田税制部長
所得税から個人住民税への税源移譲のために、十八年度税制改正におきまして、これまで課税所得金額の段階に応じて定められておりました個人住民税所得割の税率を、平成十九年度分以降一律一〇%、内訳としましては、道府県民税が四%、市町村民税が六%とすることとされております。 この税源移譲による都税への影響額を十七年度の課税資料に基づき試算をいたしますと、平年度ベースで三千二十三億円の増となります。課税所得段階別で申し上げますと、課税所得七百万円以下の区分においては、二千百二十七億円の増、課税所得七百万円を超える区分においては、八百九十六億円の増と見込んでおります。
◯尾崎委員
そうしますと、都にとっては三千億円を超える増収になるわけですけれども、これは個人の納税者にとって負担増とならないのか、また、負担増としないために、具体的にどのような措置をなされているのか、お伺いをいたします。
◯松田税制部長
今回の税源移譲に当たりましては、税源移譲に伴い、個々の納税者の税負担が極力変わらないように配慮をした制度がつくられております。 具体的には二点ございます。一点目は、所得税の税率設定でございまして、個人住民税の一〇%比例税率化に合わせ、課税所得金額に対して所得税と住民税を合計した税率が変わらないように所得税の税率を設定しております。 二点目は、所得税と住民税とでは、例えば基礎控除額が三十八万円と三十三万円というように差があることから、この人的控除の差に基づく負担増を調整するため、住民税において減額措置を行うことでございます。 これにより、すべての世帯構成において、人的控除額の差による負担増が生じないようになっております。
◯尾崎委員
これは結果的に、今ご答弁があったとおりなのかもしれないんですけれども、都民の重税感というのは増大するわけであります。都民の都政に対する視線は、当然厳しいものとなります。このことは直ちに納税者の権利として、決して悪いことではありませんが、その際、税務行政遂行上の権利として、納税者の権利が制度的に担保、また保障をされている必要があると思っております。 しかし、我が国では、平成十四年の通常国会に提出をされた日本版納税者権利憲章、国税通則法の一部改正案というものがあるんですけれども、これは審議をされることなく廃案になっていたり、また納税者の権利は現行国税通則法において、既に必要な範囲の手続が規定されており、行政の公正性と透明性が確保をされているとして、積極的な制定への萌芽はことごとく摘み取られてきたわけであります。 現状で、国税においても、国税通則法を初めとして各種税法において法には規定をされているものの、納税者の一般的権利を明確に規定をしているものは存在しません。 これに対して、欧米諸国を初め、諸外国では納税者保護の制度的導入が拡大をされているわけであります。特に、我が国では、源泉徴収制度という納税制度が当たり前だと考えられております。これは給与から税金が源泉をされ、会社が申告をしてくれるという非常にありがたい制度で、なじみがあるということでありますけれども、日本から外に出ると極めてまれな制度といわれております。 世界を見たときに、納税者というのはタックスペイヤーでありますから、税金を払って国あるいは地方自治体を運営する費用を国民また都民一人一人が払っていると考えます。 当然税金を払っているわけでありますから、それがどのように利用をされているのか、またどういうところに使われているのかということをチェックする義務あるいは権利が国民の側、また都民の側に保障をされているということであります。 こうしたことから、我が国においても、納税者の権利を保障する制度を導入、拡大すべきと考えますが、東京都としてどうなのか、見解をお伺いさせていただきたいと思います。
◯松田税制部長
税務行政の執行に当たりましては、法令に基づく適正、公正な賦課徴収を徹底するとともに、何よりも都民の信頼と理解を得ることが重要でございます。 主税局は、都民の信頼と理解を確保し、納税者の立場に立った適正な事務運営を行うために、納税者の個々の状況に応じた適切な対応、親切できめ細かな対応、説明責任の徹底、個人情報等の適切な管理などを職員に対して常に周知徹底しているところでございます。 今後とも、納税者の権利に留意した適切な事務運営を行うように努めてまいります。
◯尾崎委員
これはもちろん、納税者の権利を守るためには、行政の説明責任が最も重要であると私は考えているんですけれども、税の仕組みは素人にはなかなかわかりづらいこともあり、説明不足から誤解を招くことがあるわけであります。 これは私が聞いた例なんですけれども、国税と都税と両方滞納があったわけなんですが、国税当局と調整中に、都税事務所がその人の生命保険を差し押さえたという事案があったわけであります。 当初は、督促状が出たら十日で差し押さえをしなくてはならないと徴収法で決まっているんですけれども、そうした説明しかなく、滞納者は相当ショックを受けたと聞いております。その後、生命保険を差し押さえたといっても、すぐに取り立てをするわけではなく、国税だけでなく、都税の納税計画もきちんとしてもらいたいということを説明され、納税の意思をきちんと形にして、後日この差し押さえは解除されたわけであります。 もちろん、滞納者というのはいろんなケースがあると思います。非常に悪質なケースもあると思います。そうした悪質なケースについては、もちろん厳しく対応をしてもらいたいと思いますけれども、ある程度の誠意があるケース、こうしたケースについては十分な説明をした上で、相手の事情もよく聞いて、きめ細かい対応をしていただきたいと思います。 これは一例で徴収の例をご紹介させていただいたんですけれども、課税段階においても同様に、行政としての説明責任をぜひ果たしていただくことを要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
私も、税源移譲の関連で何点か、かぶらないように質問をさせていただきたいと思います。 この間の三位一体改革における税源移譲を初めとした一連の税制改正によって、都及び都民を取り巻く状況は大きく変化をしてきており、今後ともその動きは強まっていくものと予想されております。 今回、これらの改正の影響と税務行政運営の面から、何点かご質問させていただきたいと思います。 税源移譲を初めとした一連の地方税制の改正によって、個人住民税の税負担は大きく変化をするわけであります。国税庁では、税源移譲に伴い、平成十九年の一月から所得税が減税となり、同年六月から個人住民税が増税となりますが、納税者の負担合計額は同じとキャンペーンを行っております。 しかし、同じ時期から定率減税の廃止などの影響が生じることにより、実際の税負担は明らかに増大すると考えております。また、この個人住民税が増税となる影響は、国民健康保険料などにもはね返ってまいります。このような影響が、税源移譲を初めとした個人住民税の改正で生じるわけでありますけれども、税源移譲による課税所得段階別及び全体の増収額を、都としてはどのように見込んでいるのか、お伺いをいたします。
◯松田税制部長
所得税から個人住民税への税源移譲のために、十八年度税制改正におきまして、これまで課税所得金額の段階に応じて定められておりました個人住民税所得割の税率を、平成十九年度分以降一律一〇%、内訳としましては、道府県民税が四%、市町村民税が六%とすることとされております。 この税源移譲による都税への影響額を十七年度の課税資料に基づき試算をいたしますと、平年度ベースで三千二十三億円の増となります。課税所得段階別で申し上げますと、課税所得七百万円以下の区分においては、二千百二十七億円の増、課税所得七百万円を超える区分においては、八百九十六億円の増と見込んでおります。
◯尾崎委員
そうしますと、都にとっては三千億円を超える増収になるわけですけれども、これは個人の納税者にとって負担増とならないのか、また、負担増としないために、具体的にどのような措置をなされているのか、お伺いをいたします。
◯松田税制部長
今回の税源移譲に当たりましては、税源移譲に伴い、個々の納税者の税負担が極力変わらないように配慮をした制度がつくられております。 具体的には二点ございます。一点目は、所得税の税率設定でございまして、個人住民税の一〇%比例税率化に合わせ、課税所得金額に対して所得税と住民税を合計した税率が変わらないように所得税の税率を設定しております。 二点目は、所得税と住民税とでは、例えば基礎控除額が三十八万円と三十三万円というように差があることから、この人的控除の差に基づく負担増を調整するため、住民税において減額措置を行うことでございます。 これにより、すべての世帯構成において、人的控除額の差による負担増が生じないようになっております。
◯尾崎委員
これは結果的に、今ご答弁があったとおりなのかもしれないんですけれども、都民の重税感というのは増大するわけであります。都民の都政に対する視線は、当然厳しいものとなります。このことは直ちに納税者の権利として、決して悪いことではありませんが、その際、税務行政遂行上の権利として、納税者の権利が制度的に担保、また保障をされている必要があると思っております。 しかし、我が国では、平成十四年の通常国会に提出をされた日本版納税者権利憲章、国税通則法の一部改正案というものがあるんですけれども、これは審議をされることなく廃案になっていたり、また納税者の権利は現行国税通則法において、既に必要な範囲の手続が規定されており、行政の公正性と透明性が確保をされているとして、積極的な制定への萌芽はことごとく摘み取られてきたわけであります。 現状で、国税においても、国税通則法を初めとして各種税法において法には規定をされているものの、納税者の一般的権利を明確に規定をしているものは存在しません。 これに対して、欧米諸国を初め、諸外国では納税者保護の制度的導入が拡大をされているわけであります。特に、我が国では、源泉徴収制度という納税制度が当たり前だと考えられております。これは給与から税金が源泉をされ、会社が申告をしてくれるという非常にありがたい制度で、なじみがあるということでありますけれども、日本から外に出ると極めてまれな制度といわれております。 世界を見たときに、納税者というのはタックスペイヤーでありますから、税金を払って国あるいは地方自治体を運営する費用を国民また都民一人一人が払っていると考えます。 当然税金を払っているわけでありますから、それがどのように利用をされているのか、またどういうところに使われているのかということをチェックする義務あるいは権利が国民の側、また都民の側に保障をされているということであります。 こうしたことから、我が国においても、納税者の権利を保障する制度を導入、拡大すべきと考えますが、東京都としてどうなのか、見解をお伺いさせていただきたいと思います。
◯松田税制部長
税務行政の執行に当たりましては、法令に基づく適正、公正な賦課徴収を徹底するとともに、何よりも都民の信頼と理解を得ることが重要でございます。 主税局は、都民の信頼と理解を確保し、納税者の立場に立った適正な事務運営を行うために、納税者の個々の状況に応じた適切な対応、親切できめ細かな対応、説明責任の徹底、個人情報等の適切な管理などを職員に対して常に周知徹底しているところでございます。 今後とも、納税者の権利に留意した適切な事務運営を行うように努めてまいります。
◯尾崎委員
これはもちろん、納税者の権利を守るためには、行政の説明責任が最も重要であると私は考えているんですけれども、税の仕組みは素人にはなかなかわかりづらいこともあり、説明不足から誤解を招くことがあるわけであります。 これは私が聞いた例なんですけれども、国税と都税と両方滞納があったわけなんですが、国税当局と調整中に、都税事務所がその人の生命保険を差し押さえたという事案があったわけであります。 当初は、督促状が出たら十日で差し押さえをしなくてはならないと徴収法で決まっているんですけれども、そうした説明しかなく、滞納者は相当ショックを受けたと聞いております。その後、生命保険を差し押さえたといっても、すぐに取り立てをするわけではなく、国税だけでなく、都税の納税計画もきちんとしてもらいたいということを説明され、納税の意思をきちんと形にして、後日この差し押さえは解除されたわけであります。 もちろん、滞納者というのはいろんなケースがあると思います。非常に悪質なケースもあると思います。そうした悪質なケースについては、もちろん厳しく対応をしてもらいたいと思いますけれども、ある程度の誠意があるケース、こうしたケースについては十分な説明をした上で、相手の事情もよく聞いて、きめ細かい対応をしていただきたいと思います。 これは一例で徴収の例をご紹介させていただいたんですけれども、課税段階においても同様に、行政としての説明責任をぜひ果たしていただくことを要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。