少子高齢社会を見据えて オリンピック後の未来を描け
防災対策

〇尾崎委員

私は、都議会民主党を代表して、都政の主要課題について、猪瀬知事並びに関係局長にお伺いをいたします。  まず、台風二十六、二十七号被害関連の課題と今後の防災対策についてお伺いをいたします。  このたびの台風被害で亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げ、被災された皆様に心からのお見舞いを申し上げます。  また、救出救助活動に全力を挙げた皆様、復旧、復興に尽力をされている皆様に深く敬意を表するものでございます。  都議会民主党は、十六日には東京都に対して、専門技術職員等の人的支援を初めとして、島民生活を一日も早く正常化させるための支援策、今後の防災体制について、できる限り速やかに検討することなどを要望いたしました。  また、私も含め都議会民主党の議員が、十八日より現地に入ってつぶさに調査をし、その足で災害対策を統括する内閣府に要望をいたしました。その後も、若手議員がボランティアで汗を流すと同時に、現場の課題を持ち帰っていますので、何点かお伺いをいたします。  既にお伝えをしているところですが、ともかくも専門技術職員の手が足りないというのが、現地での切なる訴えでございました。今後、都においては、島しょ町村における専門人材の確保、育成にしっかりと取り組んでいただきたいと思います。

〇福祉保健局長

大島町の被災者の心のケアを実施するための職員の派遣についてですが、被災者の中には、心の不調が長引いたり、時間が経過してから症状があらわれる方もおられることから、中長期にわたり支援を行うことが重要でございます。  都は、町の要請に基づき、保健師、心理職等の専門職による多職種チームを現在までに計四回派遣し、心身の変化に関する健康相談や、継続的な心のケアが必要な方を把握するためのスクリーニング調査を実施しております。  今後とも、必要に応じて保健師や精神科医等を派遣するなど、大島町と密接に連携し、被災者の心のケアに関する支援を実施してまいります。

〇尾崎委員

また、多くの土石流が流入した元町漁港では、重機による土砂や電柱など瓦れきの撤去、さらには潜水による湾内の土砂の除去が行われておりますが、土石流被害は漁業に深刻な影響を及ぼしております。大島町の水揚げ高は、二〇一一年に二百五十トン、金額では二億一千百七十八万円です。漁船の操業はもちろん、港近くの貝類や海草類の再生作業を早期に開始するためにも、元町漁港の復旧を急がなければならないと考えますが、都の所見をお伺いいたします。

〇港湾局長

元町漁港の復旧についてですが、今回の元町地区における土石流災害により、元町漁港では、港内の水域や荷さばき地の一部が土砂で埋まるなどの大きな被害が発生いたしました。  漁業は島民の方々にとって生活を支える基盤の一つであり、速やかに漁港を復旧し、操業を再開することは極めて重要でございます。  元町漁港においては、関係機関による捜索活動の終了後、堆積した土砂や流木の除去を速やかに開始しましたが、いまだ行方不明者の方がいらっしゃることから、丁寧に作業を進めてまいりました。  今後は、作業を十分慎重に行いつつも、新たに掘削機械を備えた船を活用し、作業範囲を拡大することにより効率を高め、漁港の早期の復旧に向けて全力で取り組んでまいります。

〇尾崎委員

今回の大島での災害を貴重な教訓として、島しょ地域における地域防災計画見直しを図ることなども必要と考えます。各市町村との連絡情報体制の強化はもちろん、都としてもさまざまな改善が必要と考えますが、ご所見をお伺いいたします。  また、阪神・淡路大震災をきっかけに議論となったサイレントタイムでありますが、大島町の災害現場でも、数多く飛び交うヘリコプターの音が救助の妨げとなったり、住民のストレスになっているとの訴えがありました。災害状況を正しく伝えることも必要なことではありますが、少なくとも、静粛にする時間をつくるなど、東京での災害発生時におけるサイレントタイムの導入と運用方法等について、都としても早急に関係団体との話し合いを進めていただきたいと求めておくものでございます。

〇総務局長

大島の災害を教訓とした取り組みについてでございます。  台風二十六号により大島で甚大な被害が発生したことを受け、危機管理体制を早急に再構築する必要が生じました。  こうした中、切迫する台風二十七号による二次被害の防止に向け、円滑な避難行動がとれる避難勧告等の発令時刻の設定、避難所までの経路や誘導方法等の検討など、留意すべき点を各区市町村に周知するとともに、都と区市町村長が直接連絡をとれる体制の整備などを図ってまいりました。  今後、大島応急復旧プロジェクトチームにおける検討等を通じて、さらなる危機管理体制の強化を図ってまいります。



新たな長期ビジョン
〇尾崎委員

次に、新たな長期ビジョンについてお伺いをいたします。  論点整理が発表されましたが、いささか不十分といわざるを得ないというのが率直な感想でございます。  都議会民主党は、オリンピックまでの七年とその後の三年を見据えたビジョンをと求めてまいりましたが、それは、二〇二〇年の夢、希望、感動を境に、私たちが厳しい現実に直面をするのが目に見えているからであります。  オリンピックは大事ですが、一つの通過点であって、それを含めて、どんな未来を描いて進んでいくのかを示さなければなりません。  例えば、主な論点として、都市型保育サービスの充実が示されておりますが、これが保育の課題、子育て世代の抱える課題へのソリューションとなり得るのか。また、団塊の世代の高齢化をどのように支えるのか。これからの東京が直面する重要課題に、従来の取り組みの延長線上では答えは見えてきません。  論点整理を見る限り、政策のレベルアップはあっても、構造改革、社会変革を伴う理念は示されておりません。  本来、そうした理念の上で、政策の方向を示してこその長期ビジョンの論点整理であると考えます。オリンピックを開催する東京のあるべき姿、特に、少子高齢社会を見据えた東京のビジョンについて、改めて知事の見解をお伺いいたします。

〇知事

少子高齢社会を見据えたビジョンについてでありますが、少子高齢社会の到来は避けて通れない課題であり、今回のビジョン策定に際しては、東京都として初めて、五十年先の二〇六〇年まで人口推計を行いました。  その結果、東京の人口は、現在と比べ約二割減少するほか、高齢者人口の割合が二〇%から三九%へ倍増するなど、東京が今後、急激な少子高齢、人口減少社会を迎えることが具体的に明らかになりました。  このまま手をこまねいていれば、社会の活力が低下し、社会のシステムそのものが成り立たなくなる深刻な危機を招きかねません。  そこで福祉を、それ単体ではなく、住まい、雇用、教育など幅広い分野で捉え、局の縦割りを超えてソフト、ハードが一体となった総合的な取り組みを推進する、構造的福祉というこれまでにない新しい概念を打ち出しました。  今回の長期ビジョンでは、この構造的福祉の考えのもと、多様な交流や支え合いの新たなコミュニティの場となるシェアハウスの実現など、東京都が持つ資源や民間の力を積極的に活用した具体的な施策を示し、一人一人が輝く世界一の都市東京の実現を目指してまいりたいと思います。

〇尾崎委員

また、かつて、都の長期構想で示していた都内のエリアごとのビジョンも示されておらず、多摩に関連する記述も物足りないといわざるを得ません。多摩では、区部よりも早く人口が今後減少に転じ、さらに高齢化の進展や大規模工場の撤退など、状況が大きく変化をすることが懸念されます。  このような状況に的確に対応し、活気ある地域にしていくため、都の新たなビジョンにおいても、多摩地域における取り組みについて、もっとしっかりと記述をすることが必要と考えますが、見解をお伺いいたします。

〇知事本局長

新たな長期ビジョンにおける多摩地域の取り扱いについてでありますが、多摩地域は、最先端技術を有する企業や数多くの大学研究機関が集積し、東京の発展を担うとともに、都民の共有財産である豊かな自然環境にも恵まれた重要な地域であると認識しております。  新たな長期ビジョンの論点整理でも、多摩地域につきましては、三環状道路や骨格幹線道路などの整備促進や、多摩ニュータウンを初めとする団地再生などを政策の方向性として記載しております。  今後、策定、公表するビジョンにおきましても、多摩地域につきまして、その重要性をしっかりと踏まえ、多摩地域の発展につながるよう取り組んでまいります。


東京オリンピック・パラリンピック
〇尾崎委員

次に、東京オリンピック・パラリンピックについてお伺いをいたします。  新国立競技場の建設費用は一千八百五十二億円にも膨らみ、国は、都に対して一部負担を要請しています。  都は、新国立競技場への姿勢として、国のスポーツ施策における責務、国は国際競技大会の我が国への招致、または開催が円滑になされるよう、資金確保などに必要な措置を講じるとした役割から、世界陸上などが開催できる規格のナショナルスタジアムを国が建設するよう求めるべきであります。  多くの国民が東京オリンピック・パラリンピックを歓迎し、風致地区である神宮外苑の景観を損ねない、大会後の後年度負担が過大にならない新国立競技場建設になるよう国と協議していくべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。

〇スポーツ振興局長

現在の国立競技場は、施設の老朽化に加え、各種競技団体の国際基準に適合してございません。  国が定めましたスポーツ基本計画では、オリンピック・パラリンピック等の大規模国際大会の招致、開催を通じた国際交流、貢献を掲げております。これを受け、国及び日本スポーツ振興センターが新国立競技場を整備することとなり、新国立競技場基本構想国際デザイン競技を実施いたしました。  その後、日本スポーツ振興センターが、当初のデザイン案をもとにコストや規模などについて検証を行ったところ、建設費が当初見込みを大幅に超えることが確認されました。  このため、日本スポーツ振興センターは、基本設計条件の見直しを行い、先月開催されました第四回国立競技場将来構想有識者会議に諮りました。  会議では、建設コストの縮減や周辺環境との調和などが議論され、施設規模を約二十九万平方メートルから約二十二万平方メートルに縮減するなど、一定の見直しがなされました。  都としては、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて、国が着実に整備を進めるよう求めてまいります。


都営交通の運賃改定
〇尾崎委員

次に、法人事業税と法人住民税の問題について一言申し上げます。  オリンピック国立競技場の一部負担要請もしかり、法人住民税の一部国税化の動きもしかり、税は国に吸い上げ、国の負担を地方に求めようとする現在の安倍政権の姿勢は、地方分権改革の流れに逆行するものにほかなりません。  そもそも、地方税の原則を無視するこの法人事業税の暫定措置は、当時の自民党福田政権のもとで始まっております。  その後、民主党政権では、都議会民主党が先頭になって働きかけたこともあり、社会保障・税一体改革関連法において抜本的見直しが明記をされました。  都議会民主党は、引き続きこの不合理な一部国税化の動きを断固阻止し、暫定措置を確実に撤廃すべく取り組んでいきますが、政権党である自民、公明の都議会会派の皆様においても、ぜひとも奮闘していただくよう求めておくものであります。

〇尾崎委員

次に、都営交通の運賃改定についてお伺いをいたします。  税率を引き上げるときに大切なことは、国や都において、国民、都民生活の向上につながる制度が確立をされるかということにあります。消費税率アップに伴う社会保障制度の向上への尽力を、自民、公明の政府・与党は責任を持って取り組まねばなりません。  税率引き上げで、都民は負担が重くなります。都は転嫁を行う方針を決めておりますが、一九八九年の消費税導入時、上下水道が三%転嫁を行うものの、経営努力をして料金を引き下げ、都民負担をふやさなかったため、東京方式と注目をされました。  都営交通の運賃改定に伴う条例改正が提案されておりますが、誰のための公営企業かの認識を持ち、都民生活に大きな影響がある料金値上げにつながる消費税引き上げ分をそのまま転嫁するのではなく、企業努力を推進し、都民負担をふやさない努力を行っていくことが都の役割であると考えますが、知事の基本的見解をお伺いいたします。

〇知事

消費税転嫁の基本的な考え方についてでありますが、今回、都営交通の運賃を改定する条例案を提案しているところでありますが、公営企業については、民間事業者と同様に法令上、消費税の納税義務があることから、消費税率引き上げ分を円滑かつ適正に運賃や料金に転嫁する必要があります。  これまでも公営企業は、職員定数の大幅な削減などにより徹底した経営の効率化に取り組むとともに、より質の高いサービスの提供に努めてまいりました。  今後とも、より一層の安全対策やお客様サービスの向上とともに、不断の経営改革にも取り組んでまいります。

〇尾崎委員

国の税率アップに伴う公共料金改定の考え方は、税負担の適正な転嫁にあります。  都営地下鉄の初乗り運賃は現在百七十円で、税抜き分は百六十二円、消費税分が八円です。来年六月からは百八十円、税抜き分は百六十七円、消費税分が十三円となります。消費税率三%の引き上げに対して十円を上げる料金体系では取り過ぎであり、消費税転嫁分を超えた運賃値上げと批判されかねません。  東京の公共交通を運営する交通局として、消費税転嫁分を超えた料金引き上げなのか、都民に対して丁寧な説明が必要とされると考えますが、都の見解をお伺いいたします。

〇交通局長

 都営交通の消費税転嫁についてでございますが、国は、地下鉄やバスなどの事業ごとに現行の運賃体系を踏まえつつ、全体として消費税改定率以内の増収となるようにとの方針を示しております。  交通局といたしましては、これに基づき、各事業とも改定率以内となるよう適切に転嫁を行うものでございます。  運賃改定の内容につきましては、パンフレットやポスター、ホームページ等、さまざまな媒体を通じて周知を図りますとともに、お客様からの問い合わせに、きめ細かに対応することにより、お客様、都民の十分な理解が得られるよう努めてまいります。

〇尾崎委員

租税平等主義の公平の原則は、国民全てが平等に、公平に課税をされることであります。  しかし、都営地下鉄の初乗り運賃は、来年六月から、磁気券、現金では百八十円、ICカード乗車券では百七十四円となります。乗合バスや都電荒川線、日暮里・舎人ライナーも運賃が二通りとなります。関西、中京圏、九州の地下鉄などは同一運賃になると聞いております。  磁気券、現金での運賃とIC乗車券の運賃が二通りある二重運賃は、公平の原則に基づいた消費税負担といえるのか、都の見解をお伺いいたします。

〇交通局長

いわゆる二重運賃についてでございますが、国はICカード利用の普及を踏まえ、十円単位の運賃とあわせて、消費税率の引き上げ分をより正確に転嫁する観点から、一円単位の運賃について認めることとしております。  このことから、交通局におきましても、他の事業者と同様に、現金や磁気券の十円単位の運賃に加え、ICカード乗車券については、一円単位の運賃を導入することとしたものでございます。



児童虐待防止
〇尾崎委員

次に、児童虐待防止についてお伺いをします。  虐待やネグレクトといった暴力の連鎖をとめ、子供たちの心をケアし、新たな犯罪を抑止するためには、虐待防止対策や予防に向けた一層の取り組みが必要であります。  私たちは、家庭訪問型子育て支援を行っている団体から、子育て経験者が訪問をして、保護者の子育てにおける相談を受けとめ、育児を一緒に行い、虐待の危険性などがうかがわれる場合には、地域の専門機関や関係者に連絡、対応している活動を聞きました。  私は、児童虐待を少しでも抑制するために、こうした虐待未然防止に資する活動を行う団体との連携、支援を行うことなどが有効と考えるものであります。  子育て不安を抱える家庭へのさらなる支援にどう取り組むのか、都の見解をお伺いいたします。

〇福祉保健局長

子育てに不安を抱える家庭への支援についてですが、現在、区市町村は、母子保健事業として乳幼児健診、保健師による産後の家庭訪問、保護者への相談支援等を実施しております。  また、訪問等を通じて子育てに不安を抱える家庭を把握した場合には、子供家庭支援センターや保健所等が民間団体とも連携しながら訪問型の子育て支援やショートステイなどのサービスを提供しており、都は、こうした取り組みを包括補助事業等により支援しているところでございます。  現在都は、虐待のリスクの発見からサービスの提供に至るまで一連の手法を取りまとめたモデルプランの作成を進めており、このプランも活用しながら虐待の未然防止に向けた区市町村のさまざまな取り組みを支援してまいります。

〇尾崎委員

平成二十四年度、都内の虐待相談対応は三年連続で一万件を超しました。先日は、大田区で乳児を捨てた両親が逮捕されるなど、痛ましい事件は後を絶ちません。  今年度、東京都は児童福祉司をふやしましたが、それでもなお、全国平均の人口四万六千人に一人の定員に対し、六万五千人に一人にとどまっております。  今後も実態に見合った児童福祉司定員に近づけるため、増員をし、体制を強化すべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。

〇福祉保健局長

児童虐待への対応についてですが、都はこれまで、深刻化する児童虐待に迅速かつ的確に対応できるよう児童福祉司や児童心理司の増員、虐待対策班の設置、保健師の資格を有する医療連携専門員の配置など、児童相談所の体制強化に取り組んでまいりました。この間、相談支援の中心を担う児童福祉司を平成十二年度の百六名から百九十六名へと増員したほか、専門課長や児童福祉司OBを配置し人材育成を図っているところでございます。  また、児童相談の一義的な窓口である区市町村に対して、先駆型子供家庭支援センターの設置や虐待対策ワーカー等の配置を支援しております。  今後とも、児童相談所と区市町村がそれぞれの役割のもとに機能を発揮して、緊密に連携を図りながら児童虐待への対応力を強化してまいります。

〇尾崎委員

虐待や精神疾患による親の監護能力喪失などで養護施設に預けられた子供たちは、トラブルやパニックを起こしたり、授業についていけなかったり、挨拶などコミュニケーションができなかったりするため、施設では子供たちの援助を行っております。  都は、グループホームにおいて子供たちの家庭的養育を進めていますが、小規模化を進めていくためには、ベテランや中堅の職員が必要であり、人材の確保、育成に対する支援策が必要であります。  また、地域に開かれた施設にすること、家庭に帰した後にも保護者への援助をしっかりと行うこと、要保護児童を見守るコーディネーターを増員することなど、課題は山積をしております。  東京都では、児童福祉審議会専門部会で社会的養護のあり方を検討しているため、こうした課題への支援策も議論をしていただきたいと思います。  児童養護施設で生活をする子供たちが安心して育ち、退所後は社会的に自立をし、地域とつながった生活ができるよう、社会的養護を必要とする子供たちにこそ手厚い支援が必要であると考えますが、見解をお伺いいたします。

〇福祉保健局長

施設を退所した児童の自立支援についてですが、児童養護施設等を退所した児童が、社会で自立し、安定した生活を送るためには、入所中はもとより、退所後においても必要な支援を継続していくことが必要でございます。  そのため、都は、退所した児童に生活や就労などの支援を行う施設に対し独自の補助を行うほか、昨年度から関係機関とも連携し、入所児童の自立支援や退所後の相談支援等を行う自立支援コーディネーターを専任で配置する取り組みも開始し、現在四十九施設で実施しているところでございます。  また、施設を退所した児童が気軽に集まり交流ができ、生活や就労上の悩みや相談にも応えるふらっとホームを都内二カ所で実施しております。  今後も、こうした取り組みを進め、社会的養護のもとで育つ子供たちの自立を支援してまいります。


雇用対策
〇尾崎委員

次に、雇用対策についてお伺いをいたします。  都議会民主党は、国の産業競争力会議や規制改革会議において、労働者代表が参画しない中、経営者代表などが、限定正社員を正社員より雇用保障が低い、労働者の能力や成果を理由とした解雇を正当化できるとした視点で議論を進めてきたことに大変懸念を持っております。  限定正社員を活用していくのであれば、非正規労働者が正社員へキャリアアップするための通過点として位置づけられなければなりません。  甘利経財相は、望まないのに非正規雇用が長期化をしている人がふえていることを問題にしておりましたが、企業が多様化する働き方を推進するとして正社員を限定正社員に転換をしていくならば、雇用の不安定が進み、経済成長への障害になると考えます。  日本経済の再生には、働く人たちの雇用の安定と処遇改善が重要と考えますが、知事の見解をお伺いいたします。

〇知事

雇用についてでありますが、働く意欲と能力のある人々の雇用の安定と適切な処遇の実現は、日本経済の再生と軌を一に進めるべきものであります。これと同時に、やむなく離職した人や不本意な働き方をしている人に、再チャレンジのチャンスがあることも重要であります。  これまで東京都は、しごとセンターであらゆる年齢層を対象に、キャリアカウンセリングやセミナーなどきめ細かな就職支援を行ってきました。また、次代を担う若者に対しては、実際の就労体験の機会を提供し、中小企業とのマッチングを図ってまいりました。  さらに、現在進めておりますTOKYO就活スタイルプロジェクトチームでは、SNSを活用した東京都独自の就職支援モデルの構築に向け、求職者に役立つ情報の新しい提供方法などを検討しております。  こうした雇用対策を講じつつ、東京の持続的発展を実現することにより、日本を成長軌道に導くとともに、誰もが豊かさを実感できる都市を創造していきたいと思っております。

〇尾崎委員

九〇年代の不況期に、企業は正社員雇用を厳しく絞り込み、収益性を維持したため、多くの若年者がフリーターと呼ばれる非正規雇用に従事をすることとなりました。二〇〇〇年代になると、就職氷河期世代は中高年に差しかかり、企業の希望する要件と、これら求職者の持つ資質が合致をしないなど、正規雇用化はますます難しいものとなりました。  しかしながら、企業の収益回復に向けた動きが出てきた中で、就業する意思のある人たちが生産活動に従事することは、社会にとって大変意義があります。  このように中高年層になってしまった就職氷河期世代の求職者と企業のマッチングのため、よりきめ細やかな対応や多様な職業能力開発を進める視点から支援を行っていくべきと考えますが、都の見解を伺います。

〇産業労働局長

就職氷河期世代への就業支援についてでありますが、新規学卒時に就職環境が厳しかったことから、正社員を希望しながらも非正規雇用を余儀なくされた層は、既に三十歳代から四十歳代前半に差しかかっております。  都では、非正規雇用経験が長いこうした世代の正規雇用化を支援するため、東京しごとセンターにおいて、キャリアカウンセリングや少人数でのグループワークなどのきめ細かな支援を行うとともに、正社員として一定期間継続雇用した企業に採用助成金を支給しております。  また、職業能力開発センターにおいて、中高年求職者の就業に結びつくような多様な職業訓練を実施しております。  今後とも、こうした取り組みを通じ、就職氷河期世代の正規雇用化を推進してまいります。


猪瀬知事の資金問題
〇尾崎委員

次に、猪瀬知事の資金問題についてお伺いをいたします。  猪瀬知事が、都知事選挙の直前に徳洲会グループから五千万円の資金提供を受けた問題について、私たち都議会民主党は、猪瀬知事のこの間の説明は到底納得をできるものではなく、その責任は極めて大きいものと考えております。  猪瀬知事は、常日ごろから、事実と証拠、ファクトとエビデンスを示せと述べておりましたし、また、言葉の力なるものを強調してこられましたが、二転三転をする知事の説明を聞くにつれ、知事の言葉自体が全く信じられないものとなってしまいました。  また、期待していた猪瀬知事の所信表明では、説明に割く時間はほんのわずかで、説明責任を果たそうとする知事の姿勢さえ見ることができませんでした。  さらに、その内容も、これまでのマスコミに対して説明をしたものの要約にすぎず、都民の代表である議会を軽視している印象を持たざるを得ません。  猪瀬知事には、私たち都議会に対しても、都民、国民に対しても、十分な説明責任を果たすよう求めるものですが、知事自身、所信表明も含め、この間の説明で、都民、国民の理解が得られたと考えておられるのか、見解を伺います。

〇知事

説明責任を果たすということについてでありますが、まず今回の借入問題についての自分の至らなさから、都民の皆様、都議会の皆様に多大なご心配、ご迷惑をおかけしたことについておわび申し上げます。  また、その借入金を資産等報告書に記載せず、後日訂正したことについて反省をしております。大変申しわけございませんでした。  これまでも記者会見や所信表明などで繰り返し説明申し上げてきましたが、五千万円を個人として借りる際に、徳田毅氏の前でサインをして、借用証を徳田毅氏に預け、返済を済ませたので、借用証は返ってきた、そして先日その借用証を公表した、自分にとってはこのプロセスは非常に明快なものであるんですが、説明してきたつもりですが、まだ十分にご理解をいただいているとは思っておりません。  これからも都民から選ばれた都議会の皆様にできる限り説明させていただきたいと考えております。

〇尾崎委員

特に、五千万円を個人の借り入れだとする知事の説明は、大いに疑問であります。選挙の挨拶に行ってお金を借りたのであれば、それは選挙のお金であります。  私たちも議員でありますから、立候補をして選挙に出るときに、支持者などからお金を預かったり、ご寄附を受ければ、それは選挙のお金として収支報告書に記載をするのは当然であります。  例えば、百万円預かって、五十万円しか使わなかったから、残りの五十万円に関しては返せばいいと思ったので収支報告書に記載をしなかったといえば、問題になるでしょう。  猪瀬知事は、十一月二十二日に登庁した際の囲み取材に対して、選挙費用に使った場合には収支報告書に書くつもりだったとの発言をしております。しかし、その後の記者会見では、選挙資金ではなく、あくまでも個人の借り入れであることを不自然なほど強調されておりました。  こうした発言の修正、ごまかしがあるからこそ、猪瀬知事の説明に対して、私たち議会はもとより、都民、国民の多くが納得をしていないのではないでしょうか。  そこで改めて、この本会議の場において、猪瀬知事は、いつ、どこで、誰からなどについて、いま一度、正確な説明を求めるものであります。

〇知事

五千万円を受け取った際の状況でありますが、平成二十四年十一月二十日の午後、衆議院議員会館の徳田毅議員の部屋で五千万円を受け取りました。その際には私と徳田毅氏の二人でありました。

〇尾崎委員

また、個人の借り入れというのが知事の本心であるならば、十一月二十二日に登庁した際の囲み取材で、選挙費用に使った場合には収支報告書に書くつもりだったという発言が出るはずもありません。なぜ変わったのかお伺いをいたします。

〇知事

資金の借り入れについての発言がなぜ変わったのかということについてのお尋ねですが、先ほど申し上げましたように、選挙という初めての経験で、混乱した状況の中で先の不安があったので、個人として借りたお金であります。そのため、選挙に使わない気持ちは強くあったということであります。  したがって選挙の責任者には借入金の話はせず、自分の預貯金で選挙をやりますというふうに伝えておりました。あくまでもこれが事実であります。  幾度にわたる囲み取材の会見の中で時間も経過し、当初は事実の確認なども十分できない点もあり、受け答えに不確かな部分があったことは本当におわび申し上げます。

〇尾崎委員

さらに、猪瀬知事は、徳洲会が都内の施設を運営しているとは知らなかったと述べておりますが、これも不可解であります。  猪瀬知事は、かつて東京都の周産期医療体制整備プロジェクトチームの座長を務め、平成二十一年四月二十四日には、みずからの名前で報告書も出しております。  選挙の応援が期待できる人に会いに行くのに、当時の東京都の副知事でもある人が、何の事前調査もなしに会いに行くのでしょうか。  仮に事前調査もなく会いに行ったのであれば、当時の知事の職務代理者である副知事として、危機管理が著しく欠如しているといわざるを得ません。  また、百歩譲って、便宜を図る意図がなかったとしても、病院開設などの許認可権は東京都が持っていることは当然認識をしていたはずであります。これすらも知らなかったというのであれば、副知事としての資格がないといわれても、これは仕方のないことではないでしょうか。  東京都には、利害関係者との接触に関する指針というものがあり、金銭の貸し付けなどを受けることを禁止しております。  そこで、あえて総務局長にお伺いをしますが、過去に東京都の職員が工事の立ち会いをしたことがある企業の担当者から借り入れをして懲戒免職になった事例があるとも聞いておりますが、この過去の事例についてお伺いをいたします。

〇総務局長

過去の懲戒処分の事例についてでございます。  ご指摘の服務事故は、平成十四年に、主税局の職員が都税事務所の電気工事の監督員として立ち会いをした際に、面識を得た企業の担当者から九十九万円を無利息で借り入れ、後日返済したものでございます。  この事故は、利害関係者との接触を禁じた東京都職員服務規程及び利害関係者との接触に関する指針に違反する重大な非違行為であることから、事故者に対する処分は懲戒免職といたしました。  また、直近の知事部局の例では、平成二十三年に、福祉保健局の職員が旅費などの不適正受給のほか、職場で知り合った事業者に五十万円の借金の申し入れを行ったことにより、停職三月の処分とした服務事故がございます。

〇尾崎委員

また、特別職、特に知事、副知事に対する規定がどうなっているのか、あわせて総務局長にお伺いをいたします。

〇総務局長

知事、副知事の服務、懲戒に関する規定についてでございます。  まず、知事につきましては、地方自治法で規定する兼業禁止などを除き、服務に関する明確な定めはなく、法的な懲戒制度もございません。  次に、副知事につきましては、知事と同様の兼業禁止などに加えて、地方自治法附則において地方公務員法制定前の従前の規定が準用される取り扱いとなっており、服務については東京都職員服務紀律が、懲戒については官吏懲戒令が準用されます。  これらの具体的な内容につきましては、利害関係者との接触規制など、おおむね一般職と同様となってございます。

〇尾崎委員

トップの行動や考え方は、いずれ組織の隅々にまで波及をいたします。今回の猪瀬知事の不祥事によって、病院や福祉施設の検査、管理業務への影響はもとより、東京都職員のモラール低下が懸念をされます。  あわせて、十二月三日に、猪瀬知事は政治資金パーティーを開催したようでありますが、五千万円問題で説明不足の批判を浴びている中での開催には、疑問の声も寄せられております。  私たちは、この問題について、都民、国民が納得をするためにも、猪瀬知事が説明責任を十分に果たすことは当然として、知事みずからの責任のとり方についても、改めて明らかにすべきと考えますが、見解をお伺いします。  以上で、都議会民主党を代表しての質問を終わりますが、答弁によっては再質問を留保いたします。  ご清聴ありがとうございました。

〇知事

 みずからの責任のとり方についてでありますが、今回の問題について都民、国民の皆様、都議会の皆様に多大なるご心配、ご迷惑をおかけした、混乱を招く一因をつくった自分自身の至らなさを深く反省しております。改めておわび申し上げます。  先ほども申し上げましたが、この間の我が身を振り返れば、心のどこかにおごりが芽生えていたのは事実であります。都政には一日もおくれてはならないことが山積みされております。都議会の皆様と車の両輪となって仕事に邁進していきたいということでよろしくお願い申し上げます。


再質問
〇尾崎委員

ただいまの知事の答弁では、同じことの繰り返しであり、私たち議会も、都民、国民の皆さんも納得ができないでしょう。  先ほどの総務局長答弁によれば、副知事であっても、一般職と同様に利害関係者との接触が禁止をされており、さらに副知事の服務については東京都職員服務紀律が、懲戒については官吏懲戒令が準用をされると、こうした答弁でございました。これについて知事は、ご自身はそれに当たらないとお考えでしょうか、見解をお伺いいたします。  ましてや当時、知事の職務代理者でもあったわけであります。一般の職員でも、今回のような問題を起こせば確実に処分対象となるでしょう。そして、その処分を下すのは知事自身であります。  猪瀬知事は、今回の問題についての責任を問われ、今後の職務を全うすることが私の責任と発言をされておりますが、果たして、それだけで責任をとったといい切れるのでしょうか。私は、その認識は極めて甘いものだと考えております。  猪瀬知事が説明責任を十分に果たすことは、当然であります。私は、改めて、知事みずからの責任のとり方についても再考をすべきと考えますが、見解をお伺いいたします。  本日の代表質問は、私たち都議会民主党が最後のバッターとなりますが、このまま本会議の質問が終了し、都民、国民が果たして納得をできるのか。私たち都議会民主党は、猪瀬知事の資金問題について、なお引き続き審査を継続していくために、特別委員会の設置も含めて、審議を尽くす場を設けることを求めていきたいと考え、質問を終わります。

〇知事

服務紀律の適用については、総務局長の述べたとおりであります。また、責任のとり方については、都政を一日も停滞させてはならないという気持ちがあります。今、その気持ちで皆さんと一緒にやらせていただければと思っております。  以上であります。
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