予算特別委員会速記録第二号
〇松村副委員長 尾崎大介理事の発言を許します。
〔松村副委員長退席、委員長着席〕

〇尾崎委員 まず最初に、昨日の三月十一日で東日本大震災から三年目を迎えまして、改めて、亡くなられた方々に心から哀悼の意を表するとともに、今なお避難を余儀なくされている方々にお見舞いを申し上げる次第でございます。  それでは質問に入ります。  まず初めに、少子高齢化時代の成長戦略についてお伺いをいたします。  知事が本会議でもたびたび述べておりますので、繰り返しませんが、人口減少、少子高齢化時代、国内需要に限界がある中で、日本、東京の経済にとって、海外からの投資やビジネス、利益を国内に呼び込む政策を打ち立てていくことは不可欠であります。昨年末、秘密保護法をめぐってもつれた臨時国会では、同時に与野党共同修正が結実し、成長戦略の関連四法が成立をいたしました。  私たち都議会民主党は、東京の将来に必要な政策については、建設的にしっかりと議論していきたいと考えておりますので、よろしくお願いをいたします。  この成長戦略の関連法、特に国家戦略特区法のもと、的を射た政策を実行すれば、世界に標榜する首都の姿を現実のものとできるはずであります。  従来、国際戦略総合特区として取り組んできたアジアヘッドクオーター特区を有する東京は、国家戦略特区指定の有力候補と報じられております。確実に地域指定を受けて、東京の国際競争力を高めて、その効果をしっかりと発揮していただきたいと思っております。  そこで、まず従来、国際戦略総合特区において行ってきた、これまでの海外企業誘致の取り組みの実績についてお伺いいたします。

〇中村知事本局長 外国企業誘致のため、平成二十五年度は、ウエブサイトの充実を図ったほか、ベルリン、ロンドンに出向き積極的な広報を行い、東京の魅力や特区における外国企業に対する優遇措置をPRしてまいりました。こうした広報活動に加え、今年度は、業務統括拠点または研究開発拠点を設置する外国企業十社を誘致することを目標に取り組んできたところでございますが、本日現在、七社から特区進出の意思決定を得ております。  また、東京進出を目指す外国企業からの相談等にワンストップで対応するビジネスコンシェルジュ東京における相談、問い合わせ企業数は、平成二十四年度は、十月の開設から半年間で九十社であるのに対しまして、平成二十五年度は一月までで、新規に二百一社と増加しております。

〇尾崎委員 ビジネス環境の整備の一つとして、都はビジネスコンシェルジュ東京を設置しております。一方で、東京では、それ以前から既に東京ビジネスエントリーポイント事業で、外国企業の東京進出や、その後の定着支援に必要な情報提供、都内中小企業との商談に結びつく工夫などを行っていました。  私たち都議会民主党は、平成二十四年の予算特別委員会におきまして、このビジネスコンシェルジュ東京と東京ビジネスエントリーポイントのあり方について質問しましたが、来年度予算においては、この二つの事業を統合して実施していくこととされております。  より一層充実したビジネス環境の整備が必要となっている中、都は今後どのように取り組みをしていくのか、お伺いいたします。

〇中村知事本局長 東京ビジネスエントリーポイントは、都内全域を対象に、事業を立ち上げる外国人を含む外国企業に対しまして、東京でビジネスを行うための一般的な情報を提供することを中心業務としてまいりました。これに対しまして、ビジネスコンシェルジュ東京は、新たに特区進出を検討するグローバル企業の個別具体的な求めに応じたさまざまなサービスを提供してまいりました。  しかしながら、両機関は、東京での新たなビジネスを考える外国企業に対しまして、ワンストップでサービスを提供するという意味では、類似する機能を有していることから、四月から両者の事業を統合して、限られた財源の中で、支援内容の充実を図ることといたしました。  今後も、利用者の利便性向上と効率的な運営の両立を図りながら、外国企業の支援に取り組んでまいります。

〇尾崎委員 さきに申し上げました質疑の際に、このコンシェルジュを初めとするビジネス支援機能の充実と、都が提案をしております規制緩和の特例措置を行うことで、外国企業の東京への誘致を積極的に進めると、こうした答弁をいただいております。より充実した支援体制となるよう期待をしているところであります。  特区では、従前から他の都市と連携した広がりのある取り組みなど指摘を受けてきた部分もございました。私たちも二十四年四定の代表質問で、京浜臨海部ほか各特区との連携を求めてまいりましたが、加えて企業誘致等を伸ばしていくためには、規制緩和など国における強力な取り組みも必要であります。  都は競争力ある拠点づくりをしていく上でどのように取り組みをしていくのか、お伺いをいたします。

〇中村知事本局長 都はこれまで、少子高齢社会を迎える中で、新しい成長の原資となる海外の資本や人材を呼び込むため、国際的ビジネス環境の整備を進めてまいりました。  一方、国におきましては、大胆な制度、規制改革により、日本を世界で一番ビジネスしやすい国とする国家戦略特区の検討が進められております。東京の国際競争力を強化するためには、国家戦略特区の指定を確実なものとし、国との連携を図りながら、外国企業にとって魅力的なビジネス環境の整備に加えまして、医療などの成長が期待できる分野で新しいビジネスや雇用が創出される拠点や仕組みづくりを推進していく必要があると考えております。  このため、一昨日、庁内メンバーから成るタスクフォースを立ち上げ、精力的に検討を進めているところでございます。

〇尾崎委員 アジアヘッドクオーター特区については、先日立ち上げをしたそのタスクフォースにおいて、さらなる提案を検討するとのことであります。首都東京から日本経済全体に波及効果を及ぼす、こうした思い切った提案を期待し、まずは指定に向けて全力で取り組んでいただきますようお願いをするところでございます。  指定後は、国、地方、民間でつくる会議体が設置をされ、具体的な計画の検討に入っていきます。少子高齢化時代における東京の成長戦略に資するよう、都もしっかりとした取り組みを行っていくことを求め次の質問に移ります。  次に、観光振興についてお伺いをいたします。  東京は成田、羽田空港からのアプローチのしやすさから、海外からの玄関口、ゲートウエーとなっております。その東京から地方各地への旅行ニーズに注目をすべきであると考えます。  東京駅前の総合観光案内所TIC TOKYOでは、在日外国人や外国人旅行客に日光や箱根、富士山、京都、長野などの旅行情報を提供しております。日本各地においては、外客受け入れ戦略、地方拠点である京都市や高山市、スポーツツーリズムが盛んな北海道ニセコ地域や沖縄県宮古島市、メディカルツーリズムの千葉鴨川の総合病院や、神戸市などがインバウンド対策を進めております。既に、沖縄県では、直行便のない海外地域の観光市場開発に向け、大阪府や奈良県などと広域連携で共通周遊モデルツアーというものを提案しております。都においても、地方との観光連携を推進するべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

〇塚田産業労働局長 観光面での地域間連携を進めていくことは、それぞれの地域の観光振興につながる重要な取り組みであり、東京都観光産業振興プランにおいても、東京と他の地域が連携し、広域的な取り組みを行うこととしております。  このため、都は、全国観光PRコーナーを都庁舎内に設置して、全国各地のパンフレットを配布するとともに、自治体が行う物産展等の観光PRイベントの開催を支援するなど、他の地域との連携を深めてまいりました。  今後も、こうした取り組みを進めるとともに、旅行者誘致に向けた地域間連携について引き続き検討してまいります。

〇尾崎委員 また、クルーズ客船には、関東近辺のツアー需要があります。昨年の大型客船「ボイジャー・オブ・ザ・シーズ」の東京港寄港時には、都内の観光地、また外客受け入れ地方拠点である箱根や鎌倉などへの日帰りツアーが行われ、人気を博しておりました。船旅の魅力向上、クルーズ客船のさらなる誘致のためにはオプションを充実させるなど、関係者との連携を進めていくべきと考えますが、見解を伺います。

〇多羅尾港湾局長 クルーズ客船の誘致促進のためには、船の寄港の特色に合わせた多様なオプショナルツアーを充実させていくことが有効でございます。クルーズ客船は、快適な船旅を提供するとともに、可能な限り多くの港に寄港することを目的としているため、一つの港につき一日の寄港を基本としております。  そのため、各寄港地においては、早朝に入港し、その日の夕方に出港するというパターンが一般的であり、東京港においても、限られた時間内に効率よく都内や関東近郊の魅力的な観光地を訪問し、確実に出港時までに戻れるツアーを組むことが必要でございます。  今後とも、旅行会社と連携し、クルーズ客船ごとの規模や客層などに合わせた魅力的なオプショナルツアーの充実に努め、クルーズ客船のさらなる誘致を進めてまいります。

〇尾崎委員 次に、MICEの誘致についてお伺いします。  私たちは、観光産業への波及効果の大きいMICEの誘致促進を、これまでお訴えをしてまいりました。二〇一〇年九月二十八日の都議会代表質問において、諸外国では、レセプション会場として、美術館、博物館などを利用しているとして、東京都においても美術館、博物館などの利用を求めてまいりました。二〇一二年六月十二日にも同様の質問をし、東京都からは、活用の可能性を検討していくとの答弁をいただいたところであります。  この間、国においても、ユニークベニューということで、会議やレセプションでの特別感や満足感が味わえるよう歴史的建造物や、公的空間等での開催に取り組んでいるとも聞いており、本会議においてもユニークベニューの実施を答弁をしたところでございます。  そこで、東京都は、MICE誘致促進のため、会議やレセプションでの美術館、博物館などの利用についてどのように取り組みをしていくのか、見解を伺います。

〇塚田産業労働局長 歴史的建造物や文化施設などをMICEのレセプション等の会場として使用する、いわゆるユニークベニューは、他都市との差別化を図り、誘致を優位に進める有効な手段であります。  このため、都は来年度、国際会議等の主催者に対し、必要な情報、ノウハウを提供するとともに、設営費の支援を行うことで、ユニークベニューの活用を促進いたします。こうした取り組みにより、東京の持つ資源を生かして、開催都市としての魅力向上を図り、MICE誘致を推進してまいります。

〇尾崎委員 MICE誘致促進のために、MICEパスの発行についてちょっとお伺いをしますけれども、海外では、会議参加者への航空運賃のディスカウントなどに加えて、MICE参加者に対して、MICE参加者が利用するICカードから成るMICEパスを発行しております。  例えば、韓国のMICE Korea Passは、会議参加パスの機能を持ち、クレジットカードによりチャージが可能で、バスや地下鉄の公共交通機関への乗車も可能であります。またプリペイドカードとして買い物も可能でありまして、公共交通機関、公共文化施設、食事及びショッピングなどでの割引もあるそうでございます。  日本でも一部にそうした試みが行われており、鉄道事業者を初めとした関係者の取り組みが期待されるといったことが、昨年八月に発表された観光庁のMICE国際競争力強化委員会の最終取りまとめでも盛り込まれております。  私は、MICE参加者のこの利便性を向上させ、MICE開催地としての付加価値を高める取り組みとして、バスや地下鉄の公共交通機関への乗車の可能なMICEパスの発行に向けて積極的に取り組んでいくべきと考えますが、見解をお伺いします。

〇塚田産業労働局長 開催都市としての魅力を高めるためには、会議参加者の利便性向上を図るなど、ホスピタリティーを伝える取り組みを行うことが必要であります。  都は、二〇一二年に開催されたIMF、世界銀行総会で、交通機関や博物館等と連携したフリーパスを提供するなど、参加者の利便性向上を図ってまいりました。  MICEパスについては、国のMICEに関する委員会の中で、国みずからが検討すべき仕組みとされており、都はこうした動きを注視しながら、引き続き参加者の満足度向上につながる取り組みを進めてまいります。

〇尾崎委員 昨年秋に、都は国に施設の多言語表示の整備を求めて、国交省は道路案内標識の英語表記を、外国人旅行者にわかりやすくすると発表をしました。  今月には、観光庁が観光地などにおける外国人目線に立った多言語対応のガイドラインを発表いたしました。都庁近辺の標識を調べますと、都庁前駅地下の東京都庁の案内英語表記などが、略称なのか、TMGとなっていたり、新宿駅西口の首都高速道路の英語表記が、ヘボン式のSから始まるSHUTOKOという形になっていたり、これは私たち日本人にとってはローマ字でわかるかもしれないですけれども、とてもじゃないですけれども、外国人の方々にはなかなかわかりやすいとはいえない標識が混在をしているわけであります。  この外国人観光案内所の案内ピクトグラムは、iマークとクエスチョンマークがあります。外国語表記の統一や多言語表記、ピクトグラムなど外国人旅行者にわかりやすい表記や標識としていくべきと考えますが、見解をお伺いします。

〇中村知事本局長 英語表記やピクトグラムの活用といった表示、標識等の多言語対応は、外国人旅行者の受け入れ環境充実のための重要な要素であると考えております。表示、標識等の統一性といった観点を踏まえつつ、多言語対応を進めていくためには、官と民の多様な主体による取り組みが必要でございます。  そこで、都は、国や民間団体などと連携し、多言語対応の推進を目的とする協議会をこのたび立ち上げることといたしました。本協議会のもとには、交通、道路、観光サービスの三つの分科会を設置し、実務者レベルで検討を進めてまいります。また、検討に当たりましては、来年度、表示、標識等のガイドラインを改定し、活用するなど、表示や標識などのわかりやすさの向上を図ってまいります。

〇尾崎委員 都内で統一をされた外国語表記の標識などが、これは常に日常に見られるようになれば、それらを見た子供たちが、英語などの外国語を学ぶ意欲を高めるきっかけとなると思っております。  先ほどの知事の答弁でも、また、ソチのオリンピックから帰られたときのインタビューでも、日本語以外全くだめだったらどうしようもない、ボランティアの通訳というよりも、英会話教室みたいなことをやろうということをおっしゃられておりますけれども、これは二〇二〇年オリンピックに向けて、かなりしゃべれるまではいかなくても、せめて日常会話ぐらいの英語力を、できればつけていってもらいたいというような趣旨だと私は思っているんですけれども、そうしたヘボン表記ではないイングリッシュ表記が町中の至るところにあることによって、サブリミナル効果じゃないですけれども、あっ、この単語は何だろうだとか、やっぱり考えるきっかけになると私は思うんですね。その結果、子供たちの語学力の向上というものに結びつくと考えますけれども、ぜひ知事に見解を伺いたいと思います。

〇舛添知事 先ほど尾崎委員から首都高のヘボン式云々がありましたけれども、前は、国会議事堂前にKokkai Gijidoと書いてあって、外国人が見て何のことか全くわからない、それをNational Dietと変えただけでよくわかる。その例にもわかりますように、日ごろから、子供たちが国会見学来ますね、そのときにそう書いてあればわかるわけですから、やっぱり小さなときから外国語に触れるということは非常に結構だと思います。特に今おっしゃったように、二〇二〇年の東京大会に向けて、みんなで、それこそ簡単な英会話はできるようなこと、それから特に、東京における表記、さまざまな表示、表記、これをきちんとした外国語でやっていきたいと思っております。

〇尾崎委員 ありがとうございます。私もちょっと勉強させていただきます。  観光庁のアンケート結果によると、外国人旅行者が最も困ったことは、無料公衆無線LAN環境であるとして、旅行、観光業界からも外国人がWiFiの接続時にメールアドレスやドメインIDを求められて驚く、限定企業のものしか使えないことがあるとの話を聞きました。  先週末、浅草、仲見世は、国内外からの観光客でにぎわい、多くの観光バスが道路に停車をし、隅田川では水上バスを待つ人々が列をつくっておりました。そのために、外国人旅行者が公共交通の経路や利用方法、飲食店情報など、観光情報を収集できるようにすることやコミュニケーションを初めとして、旅行者を受け入れる環境整備を推進していくべきと考えます。  二〇一二年当時、知事は、東京、湯島の旅館街とこの浅草寺付近を視察されたとのことでありますが、こうした経験や諸課題を踏まえて、東京の観光振興をさらに進めるべきと考えますが、見解をお伺いします。

〇舛添知事 都知事選挙の最終日に、雪の中で雷門の前に立ちましたけれども、目の前に雷門、右側にすばらしいスカイツリーが見える、こんな伝統と現代が、超現代が調和している町はないなと思いました。しかもそれに雪、さらに着物の女性が歩いている。こういうところに海外からの旅行者がたくさん来たいと思うのは当然であります。  そういう中で、やはり外国語で困るということがないようにボランティアの養成をするとともに、今おっしゃったように、私はやっぱりWiFiに無料で接続できるような環境整備を東京大会までにやるべきだというふうに思っております。そして、より多くの外国の方が、雷門を初め、すばらしい観光地たくさんありますから、日本のいい伝統に触れて帰っていただきたいと思っております。

〇尾崎委員 外国人の方が、この町に来て、その携帯一つとっても使いやすいなとか、そういうふうに思える町というのは、我々やっぱり日本人にとっても非常に住みやすい、優しい町となるわけでありますから、ぜひ取り組みをお願いしたいと思います。  次に、災害に強い都市づくりについてお伺いいたします。  震災を海外から見たときに、日本や東京の一番のリスクファクターであるとの声も聞かれます。本定例会でも、防災について活発な議論が行われております。一昨年十一月、五年ぶりに見直した地域防災計画をもとに、都は多分野にわたる対策を網羅した震災対策事業計画を発表し、二百以上の事業と数値目標を示しております。  都議会民主党は、これまで耐震化や不燃都市への取り組みに、とりわけ力を入れて取り組んでまいりました。耐震化、不燃化への集中的な取り組みは、人命は当然のこと、活発な経済活動を行う都市基盤として、不安材料を払拭するためにも、阪神・淡路大震災の教訓として、既に完成間近となっているべき事柄であると考えてきたからであります。  防災上特に重要とされる公共建築物や緊急輸送道路沿道建築物、木造密集地域の住宅については、都は重点的に資源を投入し、耐震化を促進しております。その他の民間建築物についても、東日本大震災以降、耐震化の重要性が高まっており、取り組みを強化していく必要があります。  特に都内には、大規模な百貨店などが集積をしており、こうした集客力を持つ施設については、早急に耐震化を図る必要があります。  そこで、不特定多数の都民が利用する大規模な商業施設の耐震化のスピードアップを期待するものですが、都としてどのように取り組みをしていくのか、見解をお伺いいたします。

〇藤井東京都技監 不特定多数が利用する大規模な商業施設につきましては、建物所有者に主体的な耐震化を促し、利用者の安全を守ることが重要でございます。  都はこれまで、耐震化推進都民会議などを活用し、関係団体と連携いたしまして、情報提供や普及啓発を所有者に向けて行ってまいりましたが、今後、団体会員向けのセミナー開催など、さらに取り組みを強化してまいります。  また、昨年十一月から、耐震マーク表示制度の対象を全ての建築物に拡大しておりまして、大規模な商業施設にも、このマークの表示を促すことで、耐震性のあることが一目でわかるようにいたします。  引き続き区市と連携いたしまして、診断や改修の早期実施を所有者に積極的に働きかけ、災害に強い東京を実現してまいります。

〇尾崎委員 巨大地震の危険性が切迫をしていく中で、建築物の耐震化というものは急務であります。一棟でも多く耐震性のある建物をふやしていかなければなりません。  都は、平成二十四年に改定をした耐震改修促進計画で、民間特定建築物の耐震化率を八二%から九〇%に引き上げる目標を示して、そのうち大規模なホテルやデパート等は、平成二十七年度までに一〇〇%とすると記しております。先ごろ改定をされた耐震改修計画においても、同様の目標が引き継がれております。震災時、多くの被災者を受け入れることができる施設でもありますので、ぜひしっかりと取り組みをお願いしたいと思います。  次に、先日の積雪でもたらされた被害についてお伺いをします。  雪国の方では、日常といえるレベルの降雪量であったかもしれませんが、私たち東京に住む、やはり雪になれていないところでは大変な事態を巻き起こした大雪となりました。  都内においても、六百七十四世帯、千四百三十五名が孤立状態となり、先日の雪害による物流機能停止等で、全国の経済損失は約二百億円との報道がなされております。  都内における被害状況について、現在までのところ、どのように把握をされているのかお伺いをいたします。

〇中西総務局長 都内で孤立集落が発生いたしました先月十四日の大雪による人的、物的被害は、今月六日時点で、重傷者三名、軽傷者二百三十七名、住家被害が半壊一棟、一部損壊七十六棟、また、前の週の八日の大雪と相まって、ビニールハウス等の全半壊など、農林水産業における被害額は四億八千三百万円でございます。

〇尾崎委員 あの雪害の後、二月二十八日に、私たち都議会民主党も現地を訪れまして、被害の状況を確認するとともに、関係者の方々から説明を伺ってまいりました。東京都の建設事務所、地元事業者が、かなり早期に現場で活動を開始して、もともと雪が多い地域ではないために、重機やオペレーターに限りがある中で、自衛隊の応援も得て、孤立世帯の解消を初めとして、各市町村において、昼夜を分かたず除雪作業が行われたと現地の方もおっしゃっておりました。  片側一車線通行のために、通常四十分の距離に四時間かかるほどの渋滞が発生し、車道の除雪によって歩道に雪が積み上がって、子供たちが車のすぐ横、車道を歩いて登校するなど、大変危険な光景も見られたようであります。  今回の大雪では、関係自治体や関係機関は、除雪作業を進めていきながら、同時に孤立集落への救援活動も行いました。今後、このような大雪が発生した場合に備えて、さまざまな状況に即した迅速な対応を可能とする緊密な連絡調整等が図れるよう、都は関係自治体や関係機関との連携を強化していくべきと考えますが、都の所見を伺います。

〇中西総務局長 大災害の発生時には、被災した区市町村に職員を派遣し、迅速な被害情報の収集や救援ニーズの把握を行うとともに、都庁に、自衛隊、警察、消防等、各機関が参集し、緊密な連携のもと応急対策活動を実施いたします。  先月の大雪において、都は、複数の孤立集落が発生いたしました奥多摩町と檜原村に情報連絡員として職員を派遣し、地元自治体との連絡体制の強化を図りました。こうした体制のもと、自衛隊、警察、消防等と連絡調整を綿密に行い、孤立集落におけるヘリコプターによる急病人や支援物資の搬送、道路の除雪作業などを迅速に行ったところでございます。  今後、情報連絡員の効果的な活用方法などについて区市町村や各機関と意見交換を行うなど、一層の連携強化を図ることで、災害対応に万全を期してまいります。

〇尾崎委員 高齢者世帯が多く、地元医療機関が、山間の集落での医療ニーズに対応していくために、附属診療所への出張診療を行うなどしている地域でございます。特に高齢者や持病のある方は、外出や外部からの訪問ができない状態を招くことのリスクがより高いわけであります。より効果的なあり方について、しっかりと検証して今後の対策にぜひ生かしていただきたい。  また、四一一号線周辺のさまざまな施設もかなり傷んでおりまして、危険な状態でございます。春の観光シーズンを前に補修等を急がねばなりません。  一方、西多摩以外の地域では、寒い中、都心方面から多摩地域へ帰宅する方々が数多く駅や電車で夜を明かすなど、帰宅困難者が発生いたしました。  代表質問では、そうしたことを防ぐため、情報発信のあり方の見直しを求めたところでありますが、同時に、大雪がアナウンスされている中で、自分はどういった行動をとるべきか、一人一人が適切な判断をすることで混乱を小さくできるものと考えております。  みずからの身を守る行動はもちろん、社会の混乱を招かない--これは向こうで聞いた話でありますけれども、除雪をしている横で、やっぱりあれだけの雪が降って珍しいというのもあったんでしょうけど、スノーボードをやったり、何かラリーの車を入れて、そこで入り込んだり、あるいは雪景色の写真を撮るために非常に危険なところに入っていくといったような話も伺いました。  こうした社会の混乱を招かない、そして、減災につながる行動をとるには、都内で起こり得るさまざまな事態を想定して、どうすべきなのか、日ごろから学び、備えておくことが必要であります。  知事が検討を指示した防災ブックにおいても、こうした都民の防災力を高めるようなものを盛り込んでいただきたいと考えるものでありますが、防災ブックの作成で、どのような効果を狙っているか知事にお伺いをいたします。

〇舛添知事 今、雪害についての言及から、防災ブックの話に行きましたけれども、私は、やっぱり東京を世界一安心・安全な都市にしたいというふうに思っております。  首都直下地震、こういう震災はもとより、台風もあります。伊豆大島、それから集中豪雨、さまざまな災害から都民の生命と財産を守ると。そのために、行政がその役割を果たすことはもちろんですけど、やはり都民みずからも、積極的に防災に取り組む必要があるというふうに思います。  そのために、一家に一冊常備するような形で防災ブックを送って、それをいつも見ているということが、さまざまな指針になるというふうに思っておりますので、この防災ブックの作成によって、都民一人一人の防災意識が向上する、そして、災害時、雪害も含めて、適切な対応力を強化していく、そういうことを狙いたいと思っております。

〇尾崎委員 一家に一冊という普遍的なものをつくっていくためには、市区町村が作成、配布をしている防災マップ、冊子などに掲載をされている、年々変化をしていくわけでありますから、更新をしなければならないものとの役割分担というものをやっぱりしっかりと検討を行っていかなければならないと思います。  家庭で長い間保管をして、すぐ目につくようなところに置いて見てもらうためには、これは本当に女性からの評価も得られるような、ちょっとデザインも秀抜なものをつくっていただきたいなとお願いをして、次の質問に移ります。  次に、救急医療、救急相談体制の強化についてお伺いをいたします。  東京で生命危機を伴った重篤な救急患者が受け入れられる救命救急センターは二十六カ所ありますが、センターが少ない区東部の救急医療を強化するため、都は都立墨東病院の救急医療病棟を増築しております。  昨年五月、東京都救急医療対策協議会は、社会構造の変化に対応する救急医療体制のあり方についての報告を出し、今後は、これら報告などに基づいて着実に対策を強化していく必要があります。  一方、舛添知事は、厚生労働大臣時代、やっぱりこの救急搬送時の死亡事故というものには非常に関心が高かったと私は認識をしておりますけれども、都知事となった現在、都の救急医療体制の強化に向けた特別な思いもあるのではないかと思っております。  平成二十六年度予算案では、七十七億円のうち一億円ではありますが、救急医療の充実として、地域救急医療センターの強化や、中小病院への体制確保支援、シャープ七一一九の利用促進を掲げるなど、舛添カラーを打ち出そうと努力されております。  そこで、救急医療体制の強化に向けて、今後どのように取り組みをされていくのか、見解を伺います。

〇川澄福祉保健局長 どんなときでも、誰もが症状に応じた適切な医療を受けられる体制をつくることが救急医療の基本でございます。  そのため、都は現在、昨年五月に出された救急医療対策協議会の答申も踏まえながら、高齢化の進展など社会構造の変化や救急搬送需要の増加に適切に対応できるよう、休日・全夜間診療事業の再構築や、地域救急医療センターの拡充、東京ルールの対象傷病者の拡大など、救急医療体制の強化に取り組んでいるところでございます。  来年度は、さらなる体制強化に向け、地域救急医療センターにおける救急看護認定看護師の配置や、二百床未満の指定二次救急医療機関において退院調整を行う看護師等の配置を新たに支援いたします。  また、東京消防庁救急相談センター、シャープ七一一九の一層の利用促進も図ることとしております。

〇尾崎委員 次に、救急活動体制の充実強化についてお伺いをします。  相談救急センター事業、いわゆるシャープ七一一九でありますけれども、救急車を呼ぶべきか否かの判断に迷った人に対して、医学的見地から適切な判断を促す情報を提供するもので、平成十九年六月からスタートした制度であります。  今回、この予特の要求資料の249号で、シャープ七一一九の受付件数と救急相談件数の推移をお願いしております。  それによると、例えば、平成二十四年度では、着信件数が四十四万三千六百二十四件、これに対して、受付件数三十二万一千三百五十五件とありまして、着信件数の四分の一を超える十二万二千二百六十九件がトラフィック、これは電話の受け付け不能という状況となっております。  このような状況の中で、二十六年度予算案では、救急相談センター事業の予算が六億四千五百八十七万円と、前年度に比べて大幅にふえております。加えて、救急車の適正利用を訴えるトレインチャンネルや中づり広告の費用として九千九百九十二万円が新たに計上されておりまして、舛添知事も、同時補正の中で、高齢者向け広報ステッカーによるシャープ七一一九の利用促進として九千万円を計上したところでございます。  そこで、救急相談センター事業の拡充の目的と内容についてお伺いをいたします。

〇大江消防総監 東京消防庁では、救急相談センターへの相談件数の増大に応じて、本事業の充実強化に努めてきたところであります。  平成二十六年度予算案では、救急相談センターの周知を図るための広報の充実や、都民の電話相談に適切に対応するため、相談看護師を九名増の四十二名、通信員を十二名増の五十四名としたほか、受付台四台の増設を提案いたしました。  引き続き、救急相談センターの周知と相談件数の増大に応じた体制の整備に努めてまいります。

〇尾崎委員 せっかくシャープ七一一九にかけたのに話し中だったという状態はやっぱり解消していかなくてはならないと思っております。  この救急相談センターでは、小児にかかわる医療相談で一時間以内に緊急に受診が必要と判断される相談については、医療機関に直接受け入れの可否を聞く取り組みをしているとも聞いております。  一方で、私も小さな子供がおりますので、周りのそうした親なんかからも話を聞くんですが、シャープ七一一九に電話をして、こっちは果たして病院に連れて行くような病状なのかどうかというところで迷っているんですけれども、そのシャープ七一一九の方では、周辺でやっている病院を教えてくれるぐらいのことしかやってもらえなかったというような話も実は少し聞いております。  これだと、インターネットで得られるぐらいの情報量をシャープ七一一九に求めているわけではございませんし、深夜にシャープ七一一九に電話をされるという方は、もちろん事故とか、けがとかだと、ダイレクトに救急車を呼んだりするパターンが多いとは思うんですけれども、やっぱり小さなお子さんを持った親たちが不安な心理状態の中で、どうしたらいいかなということでシャープ七一一九に連絡をするわけであると思っております。  先ほどの答弁では、この電話相談員を九名増の四十二名に、電話通信員を十二名増の五十四名に増員するということでございましたが、これら増員に伴って、相談員の研修の充実というものはやっぱり欠かせないと思うところでございます。  今後は、相談員の研修とあわせて、医学的見地に立ったプロトコルに基づく適切な電話相談により、都民の負託に応えられる救急相談の推進をしていくことが大切だと考えますが、消防総監の見解をお伺いいたします。

〇大江消防総監 救急相談は内容が多岐にわたるため、対応する職員個々の能力向上が極めて重要であります。そのため、救急専門医の指導により症例を検討させるなど実践的な研修を導入し、相談対応能力の充実強化を図っているところであります。  また、傷病の緊急性を判断するための救急相談プロトコルにつきましては、東京都医師会、東京都福祉保健局などで構成する東京消防庁救急相談センター運営協議会において、医学的見地から、月一回の研修に加え、必要に応じ随時検証を実施しております。  今後とも、関係機関と連携し、救急相談への対応の質をさらに高めてまいります。

〇尾崎委員 ぜひ、よろしくお願いをしたいと思います。  次に、児童虐待についてお伺いをいたします。  二月二十六日の某全国紙によりますと、乳幼児健診を受けていないなど、全国で所在を確認できない乳幼児が四千人に上るとされ、厚生労働省においても初めての全国調査を行うことが報じられました。  乳幼児健診など行政サービスを受けない家庭の中には、保護者に連絡をしても子供の状態が確認できない場合もあり、虐待が行われているケースが潜在していることも少なくないといわれております。  私は、健診の受診状況などから、所在不明児童や虐待が疑われる児童を早期に発見していくため、区市町村や児童相談所、警察などと連携をして、関係機関がお互いに情報を共有し、早い段階から対策を講じていく必要があると考えますが、東京都の認識と取り組みについて見解をお伺いいたします。

〇川澄福祉保健局長 虐待を未然に防止するためには、関係機関が連携しながら、援助や見守りが必要な家庭を早期に発見し、適切な支援につなげていくことが重要でございます。  そのため、区市町村では、乳幼児健康診査などの母子保健サービスを受けていない家庭に対し、母子保健担当や子供家庭支援センターが電話や訪問等により受診勧奨を行うとともに、特別な理由なく勧奨に応じない家庭や、行政の関与に拒否的な家庭等に対しては、関係機関が情報共有を図りながら、必要な支援につなげているところでございます。  また、子供の居住実態が把握できない場合や虐待が疑われる場合には、児童相談所が区市町村や警察等と連携し、立入調査や出頭要求などの権限も活用しながら、児童の安全確認、安全確保に努めているところでございます。

〇尾崎委員 所在不明児の問題も含めて、児童虐待の対策は、今後ますます重要になってまいります。  私も、おととしの予算委員会でも、本会議でも、たびたび、この児童虐待の課題については取り上げさせていただいてまいりましたが、この間、要望してきた内容からすれば、まだ、もう少し物足りない感はありますけれども、平成二十六年度予算案には、社会的養護の充実として、人的体制の強化に向けた予算も計上されているということであります。  そこで、平成二十六年度予算案における児童虐待対策の内容と今後の取り組みについて見解を伺います。

〇川澄福祉保健局長 都は来年度、子供や保護者に、よりきめ細かな心理的ケアが行えるよう、児童相談所の児童心理司を十三名増員するとともに、演習型研修などにより新任職員の援助技術の向上を支援する児童福祉司OBを増員いたします。  また、児童家庭相談の一義的な窓口である区市町村の対応力の向上を図るため、子供家庭支援センターへの虐待対策ワーカー等の配置を支援するほか、児童相談所と合同で、事例検討などケースワークの実践力を高める研修を実施いたします。  さらに、医療機関における虐待対応力の強化、被虐待児童に対し専門的なケアを行う児童養護施設の拡充、都民に対する普及啓発などを含め、深刻化する児童虐待への対応にしっかりと取り組んでまいります。

〇尾崎委員 舛添知事は、施政方針の中で、政治は強い者のためでなく弱い者のためにある、これが私の政治哲学だと述べられましたが、舛添知事の本格予算では、この児童虐待対策がさらに前進することを大いに期待するものでございます。  また、厚生労働大臣時代には、要保護児童に対する支援強化などを盛り込んだ児童福祉法の改正にも携わり、その際、ご自身も、虐待で亡くなる子供がいるたびに、怒りというか、断じてあってはならないという思いに駆られると、子供たちの将来を考えて、全力を挙げて児童虐待の防止に努めていくと、そうした旨を述べられておりました。  そこで、調査や措置権なども含め、都道府県知事として、都知事として強い権限が与えられている舛添知事に、児童虐待防止に向けた見解をお伺いいたします。

〇舛添知事 全ての子供は、日本の未来、宝であります。その健やかな育ちを支えることは、行政はもとより、私は社会全体の責任であると考えております。  それにもかかわらず、痛ましい虐待事件が後を絶ちません。児童虐待は明確な犯罪でありまして、許されない行為だと思います。  虐待で亡くなる子供の話を聞くたびに、今、尾崎委員がご指摘になりましたが、私は非常に強い怒りを覚えるとともに、何とか事前に子供たちを助けることができなかったのかな、それから、親への支援が十分だったのかなと、そういう思いに駆られます。  都はこれまで、児童福祉司や児童心理司の増員を図り、児童相談所の体制を強化するとともに、区市町村、医療機関、警察等、関係機関と一体となって児童虐待防止に取り組んでまいりました。  また、家庭への立入調査や子供の一時保護、児童養護施設への入所措置から保護者の親権停止に至るまで、広範な権限を行使して子供の命を守っております。  今後とも、児童相談所を中心に地域の関係機関の力を束ねながら、児童虐待の防止のために全力を挙げて取り組んでまいります。

〇尾崎委員 世の中には、いろいろな悲惨な事件もありまして、暴力事件でいえば、配偶者に手を出してしまうDVのことであるだとか、あるいは高齢者虐待をするとか、そうした事件もあります。  その中で、私はやっぱり児童虐待は、そうしたものとは--もちろんそうした事件も悲惨ですけれども、児童虐待だけは違うなと思うのが、やっぱり赤ちゃんだとか、二歳とか三歳の子供というのは、親にどんなに殴られても、自分で助けを求めることができない状況の子たちもいるわけであります。ですから、そうした状況を改善していくには、これは本当に、知事の今おっしゃっていただいた取り組みが必要不可欠だと思いますし、私たちも全力でそうしたことは支援をさせていただいてまいりたいと見解を述べて、次の質問に移ります。  次に、農地、森林の保全についてお伺いをいたします。  農山漁家で緑や海などの自然に触れ合う、グリーンツーリズムの取り組みが日本各地で広まっております。  関東の他県では、農家の人が調整者となって、棚田での稲作を行うなどの農業体験や、育てた農産物を収穫して料理をして食べたりする暮らし体験、神社の祭礼に参加する行事体験など、田舎暮らしを存分に体験できるプランを提案しております。  そして、東京では、小笠原母島では、マグロの体験漁が行える民宿があり、西多摩地域では、苗木を購入、植樹して、子供の結婚式などに間伐材を使って記念品を作製できる取り組みも始まろうとしております。  グリーンツーリズムなどによって、農山漁家と都市を結ぶ取り組みを今後深めていくことが重要と考えますが、見解をお伺いします。

〇塚田産業労働局長 都はこれまでも、農林水産業の体験機会を都民に提供する区市町村や関係団体等のさまざまな取り組みを支援してまいりました。  具体的には、農業分野での体験農園の整備や、林業分野における森林浴登山のほか、水産分野においてはイセエビやトビウオの漁業体験などに対し支援を行っております。  今後とも、都民が東京の農林水産業を体験できる機会を提供してまいります。

〇尾崎委員 次に、東京の森林循環についてお伺いをします。  ことし一月、東京で行われた森林の仕事ガイダンスでは、千人の就職を求める人々が集まって、緑の研修生たちの話を熱心に聞いておりました。  林業の大きな課題の一つが、林業労働力の確保であると思います。林業は、労災の掛け率が非常に高い一方で、労働の厳しさにもかかわらず、現場で働く人たちの賃金はかなり抑えられております。森林所有者も、出したくても出せない現状だと思うんですが、独身ならともかく、家庭や子供を持つと、やっぱり転職をしていく人が少なくないとのことであります。  所有者にかわって森林管理と林業経営を行って、社会的にも尊敬を受け、知識と技術に裏打ちをされた森林技術者を育てることが必要と考えますが、見解を伺います。

〇塚田産業労働局長 都内では、高齢化によりベテランの林業技術者が減少し、経験年数の浅い技術者が増加しております。  そこで都は、林業労働力確保支援センターと連携し、経験の浅い技術者に対し、森林整備に関する基礎的な技術研修を実施するとともに、一定の経験を積んだ技術者に対しては、高性能林業機械の技術習得に向けた研修などを実施しております。  さらに、来年度からは、不足している森林作業道の整備技術者を育成するための実務研修などを実施いたします。  今後とも、これらの取り組みにより、林業技術者の育成に努めてまいります。

〇尾崎委員 公共建築物に多摩産材を利用するためには、その実態を把握していく必要があると思います。  区市町村にアンケートをとったところ、木材を供給する西多摩地域の自治体では、山林所有者からは、木材価格が安価なため経済林として成り立たない、そうした意見が多いと。あるいは販路の拡大及び周知が課題だという回答がございました。  一方、木材を利用する区部、多摩の自治体の多くが、外国産材と比較してやはり価格が高い、多摩産材の調達が難しいとの声もございました。補助金などがあれば利用促進を図れるとの意見もございます。  公共建築物に多摩産材を一層利用していくために、流通における課題の解消に向けて取り組む必要があると思いますが、見解を伺います。

〇塚田産業労働局長 都や区市町村の公共建築物における多摩産材の利用を拡大するには、建設を請け負う事業者が多摩産材を円滑に調達できるよう、適切な情報提供を行っていくことが必要であります。  このため、来年度新たに、製品や納期、価格等の情報を提供する窓口を設置いたします。  今後とも、公共建築物におけるさらなる多摩産材の利用拡大を図ってまいります。

〇尾崎委員 多摩産材を活用して地域型住宅ブランド化事業を進めているグループは、天然乾燥をさせて、木の色や艶、いい香りを保つなど手間をかけたヒノキを使って健康住宅を建てております。  また、多摩の木と触れ合うバスツアーを開催し、地元多摩の材木を使用することによって、山が整備をされ、荒廃している林業の復活にも寄与し、また、花粉の飛散低減にも貢献していることを消費者にアピールしております。  しかしながら、多摩産材の認知度向上や住宅利用実績などに課題がある中で、都においても、鳥取県や福岡県、こうしたところで行っている、地域材を活用するために助成金を交付するなど、多摩産材利用推進に本気度を示す取り組みが必要と考えております。  多摩産材を活用した住宅建設を推進するために、都民へのさらなる効果的な普及啓発や補助金助成など、あらゆる手だてを講じていくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

〇藤井東京都技監 都は、木材供給者や工務店等の住宅生産事業者とともに、東京の木・いえづくり協議会を設立いたしまして、多摩産材を活用した家づくりにつきまして、イベントやセミナーを開催するなど、都民や事業者への普及啓発に取り組んでおります。  また、協議会と連携した民間金融機関が優遇融資を行うなど、多摩産材を使用した家づくりへの支援も行っております。  引き続き、関係する事業者や自治体などと連携いたしまして、多摩産材の住宅への利用拡大を図ってまいります。

〇尾崎委員 やっぱり、都民の皆さんが多摩産材を使うことで得られる利点、国や都の制度でコスト低減ができること、そしてまた、木が人々をリフレッシュさせ、アレルギー物質を発散しない大変すぐれた素材であることを示すことができるのかが重要なんだと僕は思っております。  森林の好循環を促していく上で、これまで伺ってまいりましたけれども、材木としての利用促進に加えて、育てた木を残すことなく使う、木材のカスケード利用を一層広げることも重要であります。その川下に当たるのが、切り出した木から丸太をつくるとき、三、四割出るといわれる端材、未利用間伐材などをエネルギー源として活用する木質バイオマスであります。  都はこれまで、太陽エネルギーを中心に再生可能エネルギーの普及拡大を進めてきましたが、再生可能エネルギーは、ほかにも多岐にわたるものがございます。私は、多摩地域は緑や水に恵まれているため、木質バイオマスや小水力にも期待をしております。  木質バイオマスは、発電や熱利用に活用できる貴重なエネルギー源でありますけれども、発電は、現在のところ大量の木材を常時安定的に必要とするため、特に熱利用について、多摩地域での拡大余地があるのではないかと考えております。また、小水力発電についても、特に多摩地域では、河川など活用し得るポテンシャルがあります。  このような観点に立ち、都は多摩地域の特性を踏まえた自然エネルギーの活用についてどのように考えているのか、見解をお伺いいたします。

〇長谷川環境局長 木質バイオマスは、再生可能エネルギーの中でも、太陽光や風力のように天候に左右される不安定要因が少なく、また、森林の保全や活用という効果も生み出すという点からも、その活用を促進することは有効とされております。  このため、バイオマスを含めた再生可能エネルギーの熱利用について、今後、その導入可能性などを調査検討してまいります。  また、小水力発電につきましては、水利権の手続が普及の課題でございましたが、これを簡素化する河川法の施行令が昨年四月に施行されております。したがいまして、そのポテンシャル豊かな地域では、固定価格買い取り制度を活用した事業化が図られるものと認識しております。

〇尾崎委員 こうしたエネルギーの活用に当たっては、山間部における間伐材の搬出方法、そしてまた、河川、水路などに流れる水量の把握など地域特性をきめ細かく把握をした対応も必要であり、地元自治体との連携が重要であると考えます。  都はこれまでも、区市町村への補助制度を通じて区市町村が取り組む自然エネルギーの活用を推進してきましたが、現行の補助制度、これは今年度で終了すると聞いております。  自然エネルギーのさらなる活用に向けては、地域の実情に精通をしている自治体への継続的な支援を行うことが重要と考えますが、見解を伺います。

〇長谷川環境局長 都はこれまでも、木質バイオマスを公共温浴施設で燃料として活用する市町村の取り組みなど、区市町村の再生可能エネルギー活用に向けた取り組みを支援してまいりました。こうした区市町村が行う地域特性を踏まえた環境施策を定着させ拡大していくためには、区市町村が中長期的な視点で着実に課題に取り組めるよう、継続的な支援が必要と考えております。  そこで、平成二十六年度予算案において、区市町村への補助制度を再構築し、十年間を期間として区市町村の取り組みを支援する新たな制度を創設することといたしました。この制度を活用し、区市町村が取り組む木質バイオマスの利用や、小水力発電の導入に向けた調査など、地域に根差した環境への取り組みを後押ししてまいります。

〇尾崎委員 私も、平成十八年にこの木質バイオマスについて質問をしているんですけれども、当時、木質ペレットの生産量というのは、全国で二万五千トンだったんですね。これが平成二十二年には五万八千トンを超えまして、大幅に増大をしてきているわけであります。これは本当に地道な取り組みが実を結んできたといえるところでありまして、しかし一方で、大規模な林業が主流の海外では、木質バイオマス活用による収益性改善も実現していると聞いております。これにより今後、外国産の安い材木に加えて、ペレットの流入も懸念されるため、都の力強い取り組みをぜひ期待するものでございます。  それでは次の質問に移ります。  知事は、大臣時代、林業労働の質疑で、私のライフワークの一つは、ボランティア活動については林業なんですと述べられまして、山林には総合的な施策が必要とも発言をしております。  今までさまざまな課題を議論してまいりましたが、切って、そして使って、また植えて育てるという東京の森林における循環サイクルを確かなものとするために支援していくことが重要だと考えますが、知事のご見解をお伺いします。

〇舛添知事 東京の面積の約四割を占める森林は、木材生産を初め、水源の涵養、さらに二酸化炭素の吸収のほか、都民の憩いの場ともなるなど、さまざまな機能を有する都民共有の貴重な財産であると考えております。  しかし、木材価格の低迷等により、森林所有者の経営意欲は低下し、林業も衰退した結果、森林の循環が停滞し、森林の荒廃が進んでおります。そこで、都は、森林循環の再生に向け、林道等の基盤整備はもとより、花粉の少ない杉に植えかえるスギ花粉発生源対策を実施するとともに、多摩産材の利用拡大を図っております。私も花粉症に悩んでおりますので、ぜひこれはさらに進めたいと思っています。  さらに、森林は豊かな都民生活に貢献していることから、都民全体で守っていくことが必要であると考えております。私は、今ご指摘ありましたように、ずっと林業ボランティアをやってきておりましたので、下刈り、枝打ち、間伐、全部やります。そのためにも、都民や企業、さらにNPOなどが森づくりに積極的に参加できる、そういう仕組みを、ぜひさらに進めていきたいというふうに思っております。  森づくりは、五十年、百年先を見据えた取り組みが必要であることから、持続的な森林整備と林業振興を図り、森林の循環を維持しながら、豊かな森林を次の世代に継承していくことが私たちの責務だと考えております。

〇尾崎委員 知事には長期的な視点で、東京の森林の保全によって、我々の住む東京の町にさまざまな恩恵をもたらしてくれるということを考えて取り組みを進めていただきたいとお願いをするところであります。  次に、教育についてお伺いをいたします。  昨今、副校長の先生は非常に多忙であるという、こうした報道がありますけれども、これを受けて私たちもいろいろなお話を聞いてまいりまして、ある副校長先生は、朝の七時二十分から業務を開始して、夜の八時ごろまで勤務をしているということを聞いております。  その業務は、子供たちが学ぶ学校の運営を円滑にするために、事務処理や会計、放課後子供教室などの社会教育関係の仕事、地域行事や施設開放など、土日、夜半の仕事など、担当が余り明確でない仕事も取り組むということから、本当にもう全て何から何までこの副校長先生がやるというような状況で、大変多忙になっていると聞いております。  副校長の先生の多忙を少しでも解消して、負担を軽減していく必要があると考えますが、これまでの取り組みについてお伺いをいたします。

〇比留間教育長 学校では、既存の校務組織に属さない調査報告や地域連携などのさまざまな業務が副校長に集中をしております。  こうしたことから、副校長の負担を軽減するため、副校長直轄組織である経営支援部を設置し、業務の調整機能を持たせること、役割分担を明確化し、これまで副校長などの特定の者に集中していた業務を分担、軽減すること、ICTを活用した業務改善を図ることなど、組織的、効率的な運営に向けた取り組みを行っております。  また、都教育委員会では、校長、副校長、事務職員、区市町村教育委員会などの代表者で構成する校務改善推進会議を設置し、小中学校からの報告や都教育委員会が実施したアンケート調査などに基づき、さまざまな校務改善策の検証を行っているところでございます。

〇尾崎委員 これらの取り組みを充実させて、さらにこれを広めていく必要があると考えるんですが、この点について見解をお伺いいたします。

〇比留間教育長 学校を活性化し、教育内容を充実するためには、校長、副校長の管理職のリーダーシップが重要であり、こうした観点から、より一層、副校長の職務内容の改善を図っていく必要があります。  このため、経営支援部設置校の拡大、小中学校の主幹教諭の配置基準の改善、副校長を補佐する教務担当の主幹教諭の授業持ち時数の軽減を行ってまいります。また、区市町村教育委員会と連携して、校長、副校長を経験した退職教員を活用し、副校長を補佐してまいります。  都教育委員会は、今後、こうした負担軽減の取り組みをさらに進め、副校長の職務の適正化を図ってまいります。

〇尾崎委員 副校長の先生を補佐する主幹教諭というお話ですけれども、例えば今年度、いない学校と、いる学校と、ちょっとばらつきがあるというような話も聞いております。こうした学校への主幹教諭をやはり均等に、隣の学校はいるけれども、うちはいないというようなケースがないように配置をしていただきたいと考えるところであります。  また、特に、特別支援学級が併設をされている学校は、子供たちによりきめ細やかに対応していくため、業務量が多くなっております。副校長の事務補助の配置を行っていくこともあわせて求めておくものでございます。  次に、期限つき任用教員についてお伺いをします。  平成二十四年度に、正規職員に採用された人は三千七百三十九人、期限つき任用教員として採用された人は七百二十二人でありました。教員が退職や病気、休職などで年度途中に長期間いなくなる場合には、この期限つき任用教員などで対応していると聞いております。  この期限つき任用教員というのは、教員試験には受かったけれども、採用試験には受かっていないというようなことだと聞いておるんでありますけれども、この期限つき任用教員で対応できない場合はどうするのか、お伺いをいたします。

〇比留間教育長 期限つき任用教員制度というのは、年度途中の退職、病気休職など、予測が困難な欠員が生じた場合に、その補充を円滑に行うため、地方公務員法に基づき期限を定めて教員を任用する仕組みであります。  期限つき任用教員の職務内容は、正規教員と同様であり、授業を行うだけでなく、学級担任や校務分掌も担当いたします。また、特定の教科で名簿登載されている期限つき任用教員では欠員が埋められないという場合は、都教育委員会が特別に認める者を任用することができる特別認定制度を設けて対応しているところであります。

〇尾崎委員 この期限つき任用教員は、正規の教員と同様の職務を行うというようなことであれば、教員としての一定のレベルが必要だと思います。  期限つき任用教員、資格試験と採用試験があるわけですから、ここの違いというのがわからないと、期限つき任用教員の質をどうやって確保しているのかというのがわからないので、ちょっとお伺いしたいと思います。

〇比留間教育長 都教育委員会では、教員採用選考において合格には至らなかったものの、それに準ずる成績上位者から、期限つき任用教員採用候補者として名簿に登載をしております。  また、先ほどご説明をいたしました特別認定による期限つき任用教員につきましては、区市町村教育委員会または都立学校長の面接により資質、能力を評定した意見書に基づいて任用しております。  いずれの場合も、任用後に、初任者研修や教職員研修センターにおける教科の専門性を高める研修により、必要な知識、技能を身につけさせるとともに、学校においては、日々の職務遂行の過程を通じてOJTを実施するなど、継続的かつ組織的に育成を図っているところでございます。

〇尾崎委員 学校にいる生徒にしてみれば、正規の職員の先生なのか、期限つき任用の先生なのかというのは、わからない子供たちもやっぱりいると思うんですね。  担任を持ったり何だりしているケースもあると思うんですけれども、担任を持った場合に、一応期限つき任用ですから、一年間たって、次の年に採用試験に受かればいいですけれども、受からなければ、その次の年には、その先生、いなくなっちゃうわけですよね。そうすると、子供たちにしてみれば、あの先生、どこ行っちゃったんですかと、何か転校というか、配置がえになったんですかというようなところまで考えられる子供たちは、そうはいないと思うんです。  ですから、年度途中で来た先生がいなくなってしまうと、こういったことは、子供たちも保護者も不安になったりするケースもあると思うので、やはり改善するような取り組みをぜひしていただきたいと思っております。  正規の職員でいえば、例えば、途中でやめられてしまうというような、今お話がありましたけれども、これは、教育現場に自分の思っていたイメージと少しギャップがあってやめてしまうといったような一方で、採用試験は受かっていないけれども、そうした正規の先生よりも、本当に熱心に子供たちに教えている期限つき任用の先生もいるわけでありますから、この期限つき任用の先生方は、働きながら次の年に試験も受からなければいけないと。その分少し勘案するというような話もちょっと聞いてはおりますけれども、ぜひこうした先生の採用率を高められるような取り組みを検討していただきたいと望みまして、次の質問に移ります。  次に、東京都教育委員会の障害者雇用についてお伺いをいたします。  東京都教育委員会は、障害者雇用の採用計画が適正に実施されていないとして、東京労働局からたびたび勧告を受けております。  都議会民主党は、これまで数次にわたりこの問題を取り上げてまいりましたが、昨年二月にも勧告を受けたことを機に、本委員会でも、我が会派の今村議員が、都教育委員会の障害者雇用の問題を取り上げ、あらゆる方策を講じて障害者の法定雇用率を早期に達成すべきと主張してまいりました。  昨年二月時点における都教育委員会の障害者雇用率は一・六九%でございましたが、昨年四月に都道府県教育委員会の法定雇用率が〇・二%引き上げられて、現在は二・二%となっております。  そこで、昨年二月の勧告以降の都教育委員会の取り組みと法定雇用率の達成に向けた決意をお伺いいたします。

〇比留間教育長 都教育委員会は、障害者の法定雇用率を早期に達成するため、昨年度導入した障害者非常勤制度を活用して、学校の事務や技能業務などに職域を拡大いたしますとともに、新たに精神障害者の雇用を開始し、本年度は七十名の障害者を事務補助員として採用いたしました。  この結果、都教育委員会の障害者雇用率は、お話がありました昨年の一・六九%から、本年三月一日現在で二・〇%まで向上しております。また、教員採用では、障害者に配慮した選考の実施に関するリーフレットを新たに作成し、大学に周知するなど積極的な広報を行い、来年度は七名の障害のある教員を採用いたします。  今後とも、こうした取り組みを進め、平成二十六年中の法定雇用率達成を目指してまいります。

〇尾崎委員 これはやっぱり法定雇用率でありますから、目指すというよりも、ぜひ達成をするべく、本当に全力でしていただきたいとお願いをして、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)

〇宇田川委員長 尾崎大介理事の発言は終わりました。  以上で本日予定しておりました質疑は全て終了いたしました。  なお、あすは午後一時から委員会を本委員会室で開会いたしますので、よろしくお願いいたします。  これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。    午後七時四十八分散会
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