平成27年第3回定例会代表質問会議録
○百一番(尾崎大介君) 私は、都議会民主党を代表して、都政の主要課題について、舛添知事並びに関係局長にお伺いをいたします。
初めに、知事の基本姿勢について伺います。
地方税財源の拡充について、舛添知事はことし七月、昨年度に引き続き、全国知事会議に出席をし、東京が全ての問題の根源であるかのような風潮に対して異を唱え、多くの知事の賛同を得たことは評価をするものであり、引き続き、全国の自治体と連携協力をして、国に対しても積極的に働きかけることを求めたいと思います。
私は、少子高齢、人口減少社会といった日本が直面する問題は、地方分権のさらなる推進により、それぞれの自治体がみずからの権限と財源で、地域の実情に応じた施策を実行してこそ解決し得るものであり、そのためには、地方税財源の拡充こそが極めて重要であると考えますが、知事の見解をお伺いいたします。
私たちが長期ビジョン策定の際にも、少子高齢、人口減少の時代においては、都民の生活満足度、幸福度をより重要視し、豊かさを実感できる東京への転換が必要であると建言をしてきたところでございます。
現在、東京都では、東京のグランドデザイン検討委員会を設置し、検討を行っているところですが、東京の未来を考えるとき、江戸開府以来四百年以上にわたり、政治の中心、首都であり続けた大都市なんだというレガシーを大事にしなければなりません。
私たちはこれまでも、大江戸ルネッサンスを提唱してきましたが、世界でもまれな巨大都市江戸では、今も残る城下のまち割り、城郭に加え、玉川上水などから引かれた上水網、関東一円と結ばれた水運など、周辺地域も含めた都市機構を構築しておりました。
湾岸地域や下町の運河はもとより、多摩地域にも、中世から国府や国分寺が置かれた歴史もあり、数々の河川や湧き水が東京各地で美しい水辺風景をつくり出し、文化を継承しております。
世界に水の都はあまたありますが、水の都東京は、水源から海までを持つ、ほかに類いを見ない個性を持っており、オリンピック・パラリンピックも通じ、世界の人々を引きつけ得る独自の価値があるものと考えます。
水の都東京について、知事の所見をお伺いいたします。
次に、都市外交について伺います。
本定例会には、東京都と英国ロンドン市との友好都市関係の結成が提案をされております。都議会民主党は、都市の時代といわれる二十一世紀の都市外交においては、リーダー、組織、市民、若者、各レベルで互いに成果をもたらすよう取り組み、都民、都政に還元することを求めてまいりました。
そんな中、今回、英国の首都であり、二〇一二年オリンピック・パラリンピック大会を成功させ、多くのレガシーを得たロンドン市との友好都市関係結成を歓迎するものであります。これを儀礼的なものにとどめることなく、今後、都政にとって有意義な活動を行っていかなければならないと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。
次に、オリンピック・パラリンピックについて伺います。
まず、都民、国民に愛されるオリンピック・パラリンピックです。
この間、新国立競技場の整備計画が当初予算の二倍を超えるコストとなって白紙となり、また、大会エンブレムも盗用疑惑や無断使用などの批判を受け、撤回に追い込まれました。これらの一連の問題が二〇二〇年大会の機運醸成に水を差したことは極めて残念であると考えております。
こうした問題を引き起こした原因は、国やJSC、組織委員会による検討決定過程の不透明さや情報公開の不足、責任の所在の不明確さといっても過言ではありません。
二十四日に白紙となった整備計画の検証報告が行われました。下村大臣は辞意を表明し、今月末にJSCの河野理事長も退任する事態となっておりますが、決して同じ過ちを繰り返してはならないと考えます。
二〇二〇年大会の成功に向け、新国立競技場整備を初めとした開催計画の実施に当たって、都は、意思形成過程の透明性を確保し、情報を広く公開するとともに、国や組織委員会に対しても、これら対応を促すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
新国立競技場の整備負担について、一言申し上げます。
九月十七日のオリンピック・パラリンピック推進対策特別委員会でも述べましたが、私たち都議会民主党は、東京都が新国立競技場の整備費負担を検討する前提として、まず都民の理解が得られること、法的根拠があること、加えて過大な負担とならないことが必要であると改めて申し上げておきます。
次に、大会エンブレムについて伺います。
大会エンブレムが撤回されたことに対して、八月二十八日のオリンピック・パラリンピック推進対策特別委員会において、我が会派の小山議員が、大会エンブレムの応募資格が招致エンブレムと比べて狭められていたこと、審査委員会の議事録がなく、確かな事後検証が不可能であったことなどの問題点を指摘してきました。
一方、都民、国民に親しまれていた桜のリースの招致ロゴは、大会エンブレムとしては使えないとの話でありましたが、これをモチーフにしたデザインが、改めて組織委員会で大会固有のエンブレムとして選定されれば、オリンピック憲章上も問題はなく、私はこうしたデザインを含め、さまざまなデザインが幅広く応募されるようにしていくことが望ましいと思っております。
東京二〇二〇エンブレム選考に向けた準備会では、前回の反省のもと、新エンブレム選考において踏まえるべきポイントをまとめたところですが、私はそれを教訓に、広く国民に支持され、親しまれるエンブレムが決定されるよう、幅広い公募と選考過程の透明化、最終選考案の公開などを求めるべきと考えますが、知事の見解をお伺いいたします。
次に、東京都の新規恒久施設について伺います。
昨年十二月、舛添知事は、都の新規恒久施設の会場計画について、レガシーと都民生活への影響、整備費高騰への懸念といった視点から検討を行い、結果、十施設中三施設の建設を中止し、全体の整備費も検討前と比べ大幅に削減をされました。しかし、それでも当初見込みより大幅に施設整備費はふえており、資機材や人件費の高騰だけでは説明がつかない部分もございます。
一方、新国立競技場白紙撤回での教訓は、検討決定過程の不透明さなどに加えて、発注者としてのコスト意識と見積もり能力の欠如だったのではないかということを踏まえ、これら教訓を生かして、都がみずから整備する新規恒久施設の整備内容や費用についても、いま一度検証すべきであり、さらに整備費の縮減策を検討すべきと考えますが、都の見解を伺います。
次に、貧困の連鎖解消についてお伺いをいたします。
昨年八月、国は、子供の貧困対策に関する大綱を閣議決定いたしました。子供の将来が、その生まれ育った環境によって左右されることのないよう、また、貧困が世代を超えて連鎖することのないよう、必要な環境整備と教育の機会均等を図ることを目標としております。
これを受け、都内自治体でも、足立区のように、今年度から子供の貧困対策を担当する部署を新たに設け、実態把握のための調査を実施するなど、対策への動きが出ております。
都の青少年問題協議会においても、子供・若者計画の策定に当たって、多くの委員から子供の貧困には早急な対処が必要であり、都も実態を調査すべきとの提案がありました。
都においても、子供の貧困状況の調査を実施し、各自治体とともに貧困の連鎖を断ち切る取り組みを強化することが必要だと考えますが、知事の見解をお伺いいたします。
次に、さまざまな課題を抱えた子供たちの居場所について伺います。
ひとり親家庭や家庭の貧困、親の精神疾患、ネグレクトなどの理由で、厳しい状況に置かれた子供たちが大勢おります。
私の地元調布市では、NPO団体のキートスという団体でありますけれども、こうした子供たちが集まって朝食や夕食を食べたり、学習支援を受けたり、家のような居場所として思い思いに過ごしたりと、子供たち一人一人への自立や成長に向けた手助けを行っております。そして、多くの自治体が、このNPO団体の視察に訪れるなど、大変に注目をされております。
このNPO団体が対象としているのは、中学生以上の十代から二十代の若者ですが、それより下の世代を対象とした居場所もまた必要であります。小学生、特に低学年の子供は、みずから居場所を探すことはできず、居場所を求めて声を上げることも難しい状況であります。
さまざまな課題を抱える子供たちが安心して過ごせる居場所が都内に広がるよう、子供たちへの支援に東京都が積極的に取り組むべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
次に、生活困窮者の自立支援について伺います。
ことし四月、全国で福祉事務所を置く自治体に、生活困窮者がワンストップで相談ができる窓口が設置されました。
しかし、都内各市区では、要支援対象者が拡大をする中で、さまざまな困難を抱える人たちへのアウトリーチ、直接訪問をどのように行っていくのか、任意事業を立ち上げ、要支援者にどのようにつなげていくのか、任意事業において自治体の負担が導入をされた中で、どう予算を確保していくのかなど、さまざまな課題があるわけであります。また、将来を担う若者が生活困窮に陥ることがないよう、適性に応じた就労に結びつけていくことも重要であります。
生活困窮者が自立をした生活が送れるよう、包括的な支援となるような任意事業の実施や、就労自立に向けた取り組みを、都としても積極的に支援をしていくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
次に、子供のアレルギー対策について伺います。
平成二十四年、調布市で発生した学校給食でのアレルギー死亡事故を受け、各自治体では一層の対策に取り組んでいますが、その対応を求められる養護教諭は、医療職や看護職ではなく、学校での食物アレルギー対策には限界があります。
学校と病院を結び、緊急時に小児科医と直接相談ができて、搬送に際しても迅速に処置ができる食物アレルギーホットラインは、都内六市区しか構築をできておりません。
そこで私は、このホットラインを都内全域に広めて、子供たちの安全と安心を確保していくことを提案したいと思っております。
ホットラインの設置など、医療機関との連携を含め、アレルギー疾患対策をさらに強化させていくべきと考えますが、都教育委員会の見解をお伺いいたします。
また、学校を初め、子供を預かる施設についても、医療機関との連携を含め、アレルギー疾患対策に積極的に取り組むべきと考えますが、あわせて見解を伺います。
次に、高齢化社会への対応について伺います。
近年、現役時代の不安定雇用から低年金となり、生活困窮状態に加えて、疾病や要介護などの事情により老後破算になるという厳しい現実が報道されています。また、下流老人という嫌な言葉を目にする機会もふえましたが、このような高齢者の実態に対して、さまざまな支援制度があるにもかかわらず、なぜ救済をできないのか、多くの人が疑問を感じております。
しかし、特に高齢者においては、みずから困窮状態を脱すること、またサービスへのアクセスを図ることが困難であり、社会的孤立状態に陥りやすいことが大きな問題であります。こうした方々にしっかりと手を差し伸べなければならないと考えます。
知事は、世界一の福祉先進都市を目指すという目標を掲げて、東京で老後を過ごしてよかったと誰もが実感できる都市にしていくと宣言をしております。
そこで、社会的に孤立をせず、安心して老後の生活を送れる東京の実現に向けた知事の所見を伺います。
先日、都議会民主党有志で、新宿区戸山ハイツにある暮らしの保健室を視察してまいりました。戸山ハイツは高齢化率が約四〇%、ひとり暮らし高齢者も多く、大都会の真っただ中にあって、住民に身近で、医療も含んだ介護や福祉の相談、支援の場所が必要とされておりました。
通常、専門性の高い人材がいても、身近な悩みに対応する時間を十分に確保することは難しいのが現状であります。しかし、暮らしの保健室は、身近でありながら、十分な知識と経験のある専門職も、医療機関同士や医療と介護の連携などの課題に対応しており、地域の連携力を向上させているとのことであります。
このような相談、支援のあり方は、重度化を防いで地域で人生が終えられるような地域包括ケア体制の整備を進める中でも、大変示唆に富む取り組みであると考えます。高齢者が身近な地域で気軽に相談できる体制の整備をより一層進めるべきと考えますが、見解を伺います。
次に、マンション施策について伺います。
人口減少時代の住宅政策の新たな展開について、東京都住宅政策審議会に新たに設置をされたマンション部会より、安全で良質なマンションストック形成を目指し東京都が取り組むべき課題について、幅広い内容が答申をされました。
東京では、総世帯の約四分の一が百六十八万戸に及ぶ分譲マンションに居住をしており、今後、急速にふえる老朽マンションに対する適切なアプローチは喫緊の課題であります。必要な条例の制定も含め、年次ごとの目標や一層のインセンティブ、規制緩和、不良ストック化の防止などを総合的に盛り込んだ計画の策定を進めるべきと考えますが、見解を伺います。
都内では、新しいマンションが次々と分譲される一方で、約二割の旧耐震物件では、居住者の高齢化と建築年数の経過が進んでおります。
適切な維持管理が行われない建物は、通常より早く劣化が進み、安全や衛生上の問題、ひいては治安の悪化も引き起こし、耐震化や建てかえの合意形成も図れないなど、近隣への影響も多大であります。しかし、区市町村には専門知識を有する職員も少なく、対応を進める上でも苦慮してきたのが現状であります。
そこで、東京都においては、マンション管理士などの外部専門家の積極的活用を支援するなどの取り組みを一層拡大する必要があると考えますが、見解を伺います。
次に、調布飛行場周辺飛行機墜落事故対策について伺います。
七月に起こった、調布飛行場を離陸した小型飛行機の墜落により亡くなられた方々には心からお悔やみを申し上げるとともに、被害に遭われた方々にお見舞いを申し上げるものでございます。
この事故は、戦後、民間機の墜落により住民の犠牲者が出た初めての重大事故であります。この重大事故を受け、地元市では、今月二日には調布市議会、七日には三鷹市議会、本日二十九日には府中市議会が決議を行いました。
今回の事故機は、東京都に慣熟飛行による空港使用を届け出ておりますが、事故当時、同乗者が親族に日帰りフライトに出かけると伝えていたことや、別の日には慣熟飛行と称して子供を乗せていたことが報じられるなど、実際は遊覧飛行ではなかったのかともいわれております。それらが事実ならば、地元三市に対する重大な約束違反といわざるを得ません。都は、空港使用の届け出について厳しく調査を行う必要があり、今後、自家用飛行機は運航の停止も視野に入れるべきとも考えます。
都は、地元三市との協定による飛行場の管理運営に関する協議を行い、徹底した再発防止と地域住民が安心できる生活環境を確保すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
また、都が地元三市において実施した事故に関する住民説明会には、多くの地域住民の皆さんが参加をしました。より詳細な情報が欲しいとの要望や、飛行機がルートを逸脱しているのではないかとの懸念、事故への不安と恐怖、騒音の訴えなどさまざまな声が上がりました。
都においては、地域住民からの声を最大限受けとめて、今後の対策に生かすとともに、運輸安全委員会や警視庁とも協力して丁寧な説明会を行い、地域住民の不安解消に努めるべきと考えますが、見解を伺います。
次に、危機管理について伺います。
鬼怒川決壊など、先日の記録的豪雨による大きな被害が発生をしております。亡くなられた方のご冥福をお祈りするとともに、被害に遭われた皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
さて、九月一日には、多摩直下地震を想定して、立川市と合同で東京都総合防災訓練を実施いたしました。会場には、防災意識の向上につなげようと、都民向けのブースも多数ありましたが、あいにくの悪天候の上、平日でもあったため、来場者が少し少なかったんではないかと思うところは残念であります。
また、舛添知事は、防災ブック「東京防災」を作成し、各家庭一軒一軒直接配布をしている中、東京では先日の台風十八号による大雨で幾つかの地域で避難勧告が出されましたが、避難所に都民の姿はほとんどありませんでした。都内で洪水になっていたらと考えると全く人ごとではなく、日ごろの危機意識向上に改めて課題を感じたものであります。
防災ブックについては、今後、スマートフォンアプリの作成など、できるだけ多くの都民が身近に置いて、いざというときに活用できるよう、一層の工夫も行っていただきたいと考えます。防災ブックは、目を通すだけでも、家庭の備蓄や家族の連絡、集合方法の見直しなど防災意識の向上につながるようにつくられておりますが、今後は理解が深まるような各地域での具体的取り組みが望まれるところであります。
また、都の総合防災訓練においても、より多くの都民が防災意識を高める契機となるよう取り組んでいく必要性があると考えますが、知事の見解をお伺いいたします。
最後に、テロ対策について伺います。
八月十七日、タイ・バンコクでの連続爆発テロにより二十人が死亡、日本人一人を含む百二十八人がけがをしたと報じられました。
二〇一三年のボストン・マラソンの爆破テロのように、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック大会も格好の標的になるのではないかと指摘をされており、東京マラソンでのランニングポリスの活用など、警視庁ではテロ対策の強化に積極的に取り組んでいるところであります。
一方、新たに就任をされた警視総監は警備が専門とも聞いており、警察庁警備局長時代には、テロの未然防止に向けて民間事業者や地域住民の方々と緊密に連携をして、官民一体の日本型テロ対策を進める旨の国会答弁もされております。
私たち都議会民主党としても、大変心強く感じるとともに、今後、最先端技術の適切な活用など、さらなる対策強化を求めたいと思います。
そこで、ビッグイベントでの警備を初め日常的なテロ対策にどう取り組んでいくのか、新警視総監として見解をお伺いいたします。
以上で都議会民主党を代表しての質問を終わります。
ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事舛添要一君登壇〕
○知事(舛添要一君) 尾崎大介議員の代表質問にお答えいたします。
地方税財源の拡充についてでございますが、いうまでもなく、真の地方自治は、自治体がみずからの権限とそれに見合う財源により主体的に行財政運営を行うことで、初めて実現できるものであります。
しかしながら、これまでの地方税財政制度の見直しにおきましては、地方が抱える財源不足という本質的な問題に向き合わず、地域間の財政力格差を是正するという名目で、都市部の財源を吸い上げ、それを地方の財源不足に充てるという、地方分権の理念に逆行する不合理な措置が行われてきております。
日本全体を活性化させるために今必要なことは、各自治体が個性豊かで活力に満ちた地域社会を実現することでありまして、そのためには、さらなる地方分権と自立的な財政運営を行うことができる財源の確保に国が責任を持って取り組むべきであると考えております。
今後も、全国知事会議などの機会を捉えて他の自治体と認識を共有していくとともに、都議会の皆様のご協力をいただきながら、国に対して不合理な措置の撤廃を強く求めてまいります。
続きまして、水の都東京についてでありますが、東京は、隅田川や神田川など市街地を縦横に流れる多くの河川、ウオーターフロントの運河や海など、水に恵まれた大都市であります。
ことしの二月、ケンブリッジ公爵殿下をお迎えしたときには、羽田から浜離宮まで東京港を船でご案内し、東京の水辺を楽しんでいただきました。
水辺は生活に潤いや安らぎを与え、親しみを感じさせる場でありまして、世界の大都市に伍していく上で、観光の観点からも大きなセールスポイントとなる資源であります。
今後、舟運の活性化や川沿いの周辺のまちづくりと連携した水辺環境の整備などを進め、にぎわいと魅力のある水の都東京をよみがえらせてまいります。
次に、ロンドン市との友好都市提携についてでありますが、ロンドン市は成熟都市として二〇一二年オリンピック・パラリンピックを成功させ、それを契機に世界のトップに上り詰めました。この友好都市としての提携は、東京にとって二〇二〇年大会の成功と世界一の都市の実現という都政の大目標を実現する上で極めて重要と考えております。
包括的な友好都市関係を結成し、さまざまな交流を積み重ねることで、両都市の永続的な信頼関係を構築してまいります。これにより、共通する課題の解決に向けた連携をより強固なものとすることができます。
例えば、オリンピック・パラリンピックのレガシーを都市づくりに活用する方策を詳しく学ぶ、また、環境問題への対策をともに強力に進める、こういうことが可能になると思います。
こうした交流、協力を推進し、得られた知見をしっかりと都政に反映することで、今回の友好提携を実りあるものとしてまいります。
次に、大会成功に向けた透明性確保と情報公開についてでありますが、オリンピック・パラリンピックは国家的事業でありまして、開催都市である東京都や国、組織委員会、スポーツ団体はもちろんのこと、都民、国民が心を一つにして大会を成功に導かなければなりません。
そのためには、積極的に情報公開を行うことにより、広く情報を共有することが肝要であります。新国立競技場の問題では、その点が不十分であると指摘されました。こうした反省を踏まえまして、都立施設の整備におきましては、その進捗状況について、私から節目節目に公表し、情報共有をしっかりと図っていくことといたしました。
輸送やボランティアなどその他の取り組みにおきましても都議会に適宜ご説明し、ご審議いただくとともに、進捗状況を都民に明らかにし、広く理解を得ながら事業を推進してまいります。
また、新国立競技場に関する関係閣僚会議の場で情報公開の徹底について提言したところでございますが、引き続き、開催都市として、国や組織委員会に対し事業の透明性を高めるための働きかけを行ってまいります。
これらの取り組みを進めていくことで、都民、国民の理解と協力を得ながら、大会の成功に向け万全を期してまいります。
続きまして、大会エンブレムについてでございますが、大会エンブレムが使用中止に至ったのは大変残念でありますが、これを教訓にして、広く国民に支持される新たなエンブレムを選定することが重要であります。
大会エンブレムは、二〇二〇年大会の成功という大きな目標に向かって、我々オールジャパンを牽引するシンボルとなります。
昨日、組織委員会より旧エンブレム策定にかかわる反省点につきまして詳細な報告があり、これをもとにエンブレム委員会が設置されました。
今後の選考過程において、幅広い方々による応募や、多様な分野からの人選による審査、情報公開の徹底を実施してもらいたいと思っております。そして、都民、国民に広く愛され親しまれるエンブレムが早期に選定されることを期待しております。
都といたしましても、新しいエンブレムを二〇二〇年大会に向けた機運醸成に幅広く活用してまいります。
次に、貧困の連鎖を解消するための取り組みについてでございますが、子供の貧困は親の貧困であります。貧困の連鎖を断ち切るためには、労働の分野でも、教育の分野でも、機会の平等を保障することが必要であります。
親の経済状態にかかわらず、将来、子供がみずからの生き方を選択し自立できるように、機会の平等を保障するためのセーフティーネットを構築することは、まずは国家の責任であります。
都においては、子供を養育する世帯の生活実態や子育ての状況などを明らかにするため、五年ごとに実態調査を行っております。また、区市町村は、乳幼児健診や児童手当の支給などに当たって、子供や家庭の状況を確認しております。
こうして得られた生活状況を踏まえ、都は、子供・子育て支援総合計画や、ひとり親家庭自立支援計画等を策定し、福祉、教育、就労など、さまざまな分野で施策を展開してございます。
子供は社会の宝であり、未来をつくる存在であります。子供たちが生まれ育った環境に左右されず、健やかに成長できる社会の実現に向け、今後とも、都は、区市町村と連携しながら、子供と家庭の生活実態を把握し、さらなる施策の充実に努めてまいります。
続きまして、安心して老後の生活を送ることができる東京の実現についてでありますが、東京で生まれ、生活し、老後を過ごせてよかったと誰もが実感できる都市にしていくこと、これこそが私の目指す東京の姿でございます。
そのためには、介護が必要になっても、また、ひとり暮らしであっても、地域の中で安心して暮らし続けることができる仕組みをつくっていかなければなりません。
そのため、昨年策定しました東京都長期ビジョンでは、高齢者が地域で安心して暮らせる社会の実現を政策指針に掲げ、地域包括ケアシステムの構築や高齢者の施設と住まいの整備など、これからの政策展開の方向性をお示しいたしました。
大都市東京では、今後さらに高齢化が進み、ひとり暮らし高齢者や要介護高齢者など、地域で支えることが必要な方がふえると見込まれております。こうした将来を見据えまして、今後とも、人々が支え合う地域の力、サービスを提供する民間の力、基盤整備を担う行政の力を組み合わせながら、高齢者の地域生活を支えるさまざまな施策を展開してまいりたいと思っております。
次に、調布飛行場の安全対策等についてでありますが、調布飛行場は本土と伊豆諸島とを結ぶ離島路線の重要な拠点であります。
都はこれまでも、飛行場における安全対策を進めるとともに、地元市との間で締結した協定書等に基づき飛行場の適正な運営に努めてまいりましたが、調布飛行場から離陸した航空機が今回のような事故を起こしたことはまことに遺憾であります。
今回の墜落事故の発生後、改めて調布飛行場における管理運営の状況全般について検証に着手しております。
一方、国土交通省及び警察が、現在、事故原因を調査しているところでありまして、今後、調査結果等を踏まえ、再びこのような事故が起こらないよう、調布飛行場の安全対策を強化してまいります。
次に、防災意識の向上に向けた取り組みでありますが、台風十八号の影響による北関東から東北にかけて甚大な被害をもたらした豪雨や、調布市で震度五弱を観測した東京湾を震源とする地震など、たび重なる自然災害の発生により、都における災害への備えの重要性を改めて痛感した次第であります。
現在、都内の全世帯に向けまして「東京防災」を配布しておりますが、イベントなどの機会を捉えて活用につなげていくことはもとより、防災教育の充実や、東京消防庁管内の消防署等でセミナーを実施いたします。こうした都を挙げての取り組みを進めることにより、幅広い世代への防災意識を喚起してまいります。
また、都では昨年度より、季節ごとに年四回の住民参加型訓練を多くの都民の参加を促して実施することで、住民の防災意識の向上を図っております。
今後とも、都は、さまざまな機会を活用した普及啓発活動や防災訓練への参加をより一層促すことで、防災意識の高まりを一過性のものとすることなく、都民の防災力の強化を図ってまいります。
なお、そのほかの質問につきましては、警視総監、教育長、東京都技監及び関係局長が答弁をいたします。
〔警視総監高橋清孝君登壇〕
○警視総監(高橋清孝君) テロ対策の取り組みについてお答えいたします。
警視庁では、テロの未然防止を図るため、官民一体の取り組みが極めて重要であると考えております。現在、自治体、警察、消防や民間事業者等で構成するテロ対策東京パートナーシップなどの官民連携の枠組みのもと、関係機関等と連携した合同訓練を実施するとともに、テロの未然防止への理解と協力を得るための情報発信を行っているところであります。引き続き、こうした枠組みを最大限に活用し、官民連携によるテロ対策を推進してまいります。
また、テロから都民を守り首都の安全を確保するため、テロの標的になるおそれのある施設や大規模イベント等の警備に当たっては、情勢に応じて必要な部隊を増強配置するなどの対策を講じるとともに、テロを想定した実践的訓練の実施により、事態対処能力の向上を図っているところであります。
今後、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックを見据え、先端技術を柔軟に取り入れることにより装備資機材の高度化を進めるなど、さらなる警備力の充実強化を図り、首都東京におけるテロ対策に万全を期してまいります。
〔教育長中井敬三君登壇〕
○教育長(中井敬三君) アレルギー疾患対策の強化についてでありますが、都教育委員会は、学校におけるアレルギー疾患対策の充実に向けて、事故予防体制の確保と緊急対応の確立を柱に、医療機関など地域の関係機関との連携を含めた校内体制の整備促進等を区市町村教育委員会に働きかけてまいりました。
また、各区市町村教育委員会及び学校においては、学校医、地区医師会等、医療機関と協力し、学校と病院を結ぶ専用電話であるホットラインの設置や専門医を講師とする研修会の開催など、地域の実情に応じた医療連携を進めてきております。
これらの状況を踏まえ、都教育委員会は、アレルギー疾患のある児童生徒が安心して学校生活を送ることができるよう、区市町村教育委員会を支援してまいります。
〔東京都技監安井順一君登壇〕
○東京都技監(安井順一君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、マンション施策に関する計画の策定についてでございますが、今月初めに開かれた住宅政策審議会におきまして、管理組合による適正な管理や、老朽マンションの再生を促すために重点的に取り組むべき施策についての答申が出されました。
都は、直ちに区市との検討会を設置いたしまして、マンション管理の実態を把握し、管理不全の予防、改善を図るための具体的な方策などについて検討を開始いたしました。また、まちづくりと連携してマンション再生を促す新たな制度の構築に向けて、先行モデル事業にも取り組んでおります。
年度内には、これらの施策を盛り込んだ新たな計画を策定し、安全で良質なマンションストックの形成に向けて取り組んでまいります。
次に、マンション管理士など専門家の活用についてでございますが、今回の審議会答申では、管理組合の円滑な運営を図る上で、法律や会計、建築などの知識を補完する専門家の活用が有用との提言が出されております。
都はこれまでも、管理組合の求めに応じまして、マンション管理士などを派遣する管理アドバイザー制度を設けており、制度を利用した組合からは、長期修繕計画や管理規約の見直しを行うことができたなどの評価を得ております。
今後とも、関係団体と連携いたしまして、こうした取り組みを通じて管理組合による自主的かつ適正な維持管理を促進してまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長中嶋正宏君登壇〕
○オリンピック・パラリンピック準備局長(中嶋正宏君) 都が整備する新規恒久施設の整備費についてでございますが、会場計画につきましては、昨年六月に再検討を表明した後、土壌などの必要な調査等を行うとともに、物価上昇を初め想定できるあらゆる要素を見込み、整備費の合計を二千四百六十九億円と試算いたしました。
この内容につきましては、競技団体やIOC等とも十分に議論を重ね、都議会においてもご説明し、ご審議を経て予算計上してきたものでございます。このため、建設物価などの変動要素はございますが、整備内容には大きな変更は生じないものと考えております。
都としては、これまで示した試算額を超えることなく、着実に整備を進めることが極めて重要であると考えております。
二〇二〇年大会に向けまして確実に進行管理を行い、予算の適切な管理と整備費の縮減に努めながら施設整備を推進してまいります。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕
○福祉保健局長(梶原洋君) 四点のご質問にお答えいたします。
まず、子供の居場所づくりについてでありますが、さまざまな課題を抱える子供たちが地域で安心して過ごせる居場所をつくることは重要な取り組みでございます。現在、都内の区市では、生活困窮者自立支援法に基づく学習支援にあわせ、地域の実情に応じて、子供への居場所の提供や親に対する養育支援などの取り組みが始まっております。
また、都におきましては、児童養護施設等を退所した児童が気軽に集まって交流でき、生活や就労上の悩みを相談できる居場所として、ふらっとホーム事業を都内二カ所で実施しております。
今後とも、さまざまな課題を抱える子供たちが安心して集える居場所が身近な地域で整備されるよう、区市町村と連携しながら取り組みを進めてまいります。
次に、生活困窮者自立支援法に係る都の支援についてでありますが、複合的な課題を抱える生活困窮者の自立を支援するためには、法の必須事業に加え、就労準備支援事業などの任意事業をあわせて実施することが重要でございます。
このため、都は、総合的な支援体制を平成二十九年度末までに都内全域で整備するため、区市が任意事業を立ち上げるための独自の補助や、事業の実施に必要な専門人材の養成研修を実施することとしております。
また、就労訓練の場を確保するため、社会福祉法人や企業等に対し、区市の相談機関と連携して就労訓練事業に取り組むよう働きかけております。
今後、生活困窮者の自立を支援するため、区市の取り組みを支援いたしますとともに、より多くの事業者が就労訓練事業に参画するよう積極的に働きかけてまいります。
次に、子供のアレルギー対策についてでありますが、子供のアレルギーに適切に対応するためには、職員が正しい知識や技術を習得し、緊急時には初動体制を初め危機管理に即応できる組織づくりが重要でございます。
このため、都では、緊急を要する症状や職員がとるべき対応を示した緊急時対応マニュアルを作成して、保育施設や幼稚園、学校等に配布しております。
また、緊急時対応の研修では、自己注射エピペン練習用トレーナー実習を行いますとともに、平常時からの職員間の情報共有や役割分担、主治医や嘱託医等との連携を進めるよう周知徹底を図っております。
今後とも、緊急時に職員が適切に対処できるよう、医療機関との連携など、職場におけるアレルギー対応の体制づくりを支援してまいります。
最後に、高齢者の地域での相談体制の整備についてでありますが、都は、区市町村の地域包括支援センターが地域における相談支援拠点として、高齢者や家族からの相談に適切に対応し、医療や介護など必要なサービスにつなぐことができるよう、職員への研修を行うほか、地域のさまざまな社会資源とのネットワークの構築等を行うための専門職の配置について支援しております。
また、ひとり暮らしや夫婦のみの高齢者世帯等の生活実態を把握して、地域住民等と連携した見守りなどや、在宅高齢者等の相談に対応する窓口を設置する区市町村を都独自に支援しております。
今後とも、高齢者が地域で安心して暮らし続けられるよう、区市町村における相談体制の整備を進めてまいります。
〔港湾局長武市敬君登壇〕
○港湾局長(武市敬君) 調布飛行場周辺住民の方々の不安解消についてでございますが、今回、調布飛行場周辺で発生した航空機墜落事故に関して、都は、国に対し早急に事故の原因を究明するよう求めており、現在、国土交通省及び警察が事故の原因を調査しております。
都としては、先月、調布市、三鷹市、府中市の住民の方々への説明会を実施し、飛行場の管理者の立場として直接把握している事実について情報を提供いたしました。
今後、国による調査結果などを踏まえ、地元や専門家の意見を聞きながら、調布飛行場の安全対策の強化に向け適切に対応するとともに、地元への丁寧な説明を行い、理解、協力が得られるように努めてまいります。
○六十七番(小松大祐君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
本日の会議はこれをもって散会されることを望みます。
○議長(高島なおき君) お諮りいたします。
ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(高島なおき君) ご異議なしと認め、さよう決定いたします。
明日は、午後一時より会議を開きます。
本日はこれをもって散会いたします。
初めに、知事の基本姿勢について伺います。
地方税財源の拡充について、舛添知事はことし七月、昨年度に引き続き、全国知事会議に出席をし、東京が全ての問題の根源であるかのような風潮に対して異を唱え、多くの知事の賛同を得たことは評価をするものであり、引き続き、全国の自治体と連携協力をして、国に対しても積極的に働きかけることを求めたいと思います。
私は、少子高齢、人口減少社会といった日本が直面する問題は、地方分権のさらなる推進により、それぞれの自治体がみずからの権限と財源で、地域の実情に応じた施策を実行してこそ解決し得るものであり、そのためには、地方税財源の拡充こそが極めて重要であると考えますが、知事の見解をお伺いいたします。
私たちが長期ビジョン策定の際にも、少子高齢、人口減少の時代においては、都民の生活満足度、幸福度をより重要視し、豊かさを実感できる東京への転換が必要であると建言をしてきたところでございます。
現在、東京都では、東京のグランドデザイン検討委員会を設置し、検討を行っているところですが、東京の未来を考えるとき、江戸開府以来四百年以上にわたり、政治の中心、首都であり続けた大都市なんだというレガシーを大事にしなければなりません。
私たちはこれまでも、大江戸ルネッサンスを提唱してきましたが、世界でもまれな巨大都市江戸では、今も残る城下のまち割り、城郭に加え、玉川上水などから引かれた上水網、関東一円と結ばれた水運など、周辺地域も含めた都市機構を構築しておりました。
湾岸地域や下町の運河はもとより、多摩地域にも、中世から国府や国分寺が置かれた歴史もあり、数々の河川や湧き水が東京各地で美しい水辺風景をつくり出し、文化を継承しております。
世界に水の都はあまたありますが、水の都東京は、水源から海までを持つ、ほかに類いを見ない個性を持っており、オリンピック・パラリンピックも通じ、世界の人々を引きつけ得る独自の価値があるものと考えます。
水の都東京について、知事の所見をお伺いいたします。
次に、都市外交について伺います。
本定例会には、東京都と英国ロンドン市との友好都市関係の結成が提案をされております。都議会民主党は、都市の時代といわれる二十一世紀の都市外交においては、リーダー、組織、市民、若者、各レベルで互いに成果をもたらすよう取り組み、都民、都政に還元することを求めてまいりました。
そんな中、今回、英国の首都であり、二〇一二年オリンピック・パラリンピック大会を成功させ、多くのレガシーを得たロンドン市との友好都市関係結成を歓迎するものであります。これを儀礼的なものにとどめることなく、今後、都政にとって有意義な活動を行っていかなければならないと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。
次に、オリンピック・パラリンピックについて伺います。
まず、都民、国民に愛されるオリンピック・パラリンピックです。
この間、新国立競技場の整備計画が当初予算の二倍を超えるコストとなって白紙となり、また、大会エンブレムも盗用疑惑や無断使用などの批判を受け、撤回に追い込まれました。これらの一連の問題が二〇二〇年大会の機運醸成に水を差したことは極めて残念であると考えております。
こうした問題を引き起こした原因は、国やJSC、組織委員会による検討決定過程の不透明さや情報公開の不足、責任の所在の不明確さといっても過言ではありません。
二十四日に白紙となった整備計画の検証報告が行われました。下村大臣は辞意を表明し、今月末にJSCの河野理事長も退任する事態となっておりますが、決して同じ過ちを繰り返してはならないと考えます。
二〇二〇年大会の成功に向け、新国立競技場整備を初めとした開催計画の実施に当たって、都は、意思形成過程の透明性を確保し、情報を広く公開するとともに、国や組織委員会に対しても、これら対応を促すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
新国立競技場の整備負担について、一言申し上げます。
九月十七日のオリンピック・パラリンピック推進対策特別委員会でも述べましたが、私たち都議会民主党は、東京都が新国立競技場の整備費負担を検討する前提として、まず都民の理解が得られること、法的根拠があること、加えて過大な負担とならないことが必要であると改めて申し上げておきます。
次に、大会エンブレムについて伺います。
大会エンブレムが撤回されたことに対して、八月二十八日のオリンピック・パラリンピック推進対策特別委員会において、我が会派の小山議員が、大会エンブレムの応募資格が招致エンブレムと比べて狭められていたこと、審査委員会の議事録がなく、確かな事後検証が不可能であったことなどの問題点を指摘してきました。
一方、都民、国民に親しまれていた桜のリースの招致ロゴは、大会エンブレムとしては使えないとの話でありましたが、これをモチーフにしたデザインが、改めて組織委員会で大会固有のエンブレムとして選定されれば、オリンピック憲章上も問題はなく、私はこうしたデザインを含め、さまざまなデザインが幅広く応募されるようにしていくことが望ましいと思っております。
東京二〇二〇エンブレム選考に向けた準備会では、前回の反省のもと、新エンブレム選考において踏まえるべきポイントをまとめたところですが、私はそれを教訓に、広く国民に支持され、親しまれるエンブレムが決定されるよう、幅広い公募と選考過程の透明化、最終選考案の公開などを求めるべきと考えますが、知事の見解をお伺いいたします。
次に、東京都の新規恒久施設について伺います。
昨年十二月、舛添知事は、都の新規恒久施設の会場計画について、レガシーと都民生活への影響、整備費高騰への懸念といった視点から検討を行い、結果、十施設中三施設の建設を中止し、全体の整備費も検討前と比べ大幅に削減をされました。しかし、それでも当初見込みより大幅に施設整備費はふえており、資機材や人件費の高騰だけでは説明がつかない部分もございます。
一方、新国立競技場白紙撤回での教訓は、検討決定過程の不透明さなどに加えて、発注者としてのコスト意識と見積もり能力の欠如だったのではないかということを踏まえ、これら教訓を生かして、都がみずから整備する新規恒久施設の整備内容や費用についても、いま一度検証すべきであり、さらに整備費の縮減策を検討すべきと考えますが、都の見解を伺います。
次に、貧困の連鎖解消についてお伺いをいたします。
昨年八月、国は、子供の貧困対策に関する大綱を閣議決定いたしました。子供の将来が、その生まれ育った環境によって左右されることのないよう、また、貧困が世代を超えて連鎖することのないよう、必要な環境整備と教育の機会均等を図ることを目標としております。
これを受け、都内自治体でも、足立区のように、今年度から子供の貧困対策を担当する部署を新たに設け、実態把握のための調査を実施するなど、対策への動きが出ております。
都の青少年問題協議会においても、子供・若者計画の策定に当たって、多くの委員から子供の貧困には早急な対処が必要であり、都も実態を調査すべきとの提案がありました。
都においても、子供の貧困状況の調査を実施し、各自治体とともに貧困の連鎖を断ち切る取り組みを強化することが必要だと考えますが、知事の見解をお伺いいたします。
次に、さまざまな課題を抱えた子供たちの居場所について伺います。
ひとり親家庭や家庭の貧困、親の精神疾患、ネグレクトなどの理由で、厳しい状況に置かれた子供たちが大勢おります。
私の地元調布市では、NPO団体のキートスという団体でありますけれども、こうした子供たちが集まって朝食や夕食を食べたり、学習支援を受けたり、家のような居場所として思い思いに過ごしたりと、子供たち一人一人への自立や成長に向けた手助けを行っております。そして、多くの自治体が、このNPO団体の視察に訪れるなど、大変に注目をされております。
このNPO団体が対象としているのは、中学生以上の十代から二十代の若者ですが、それより下の世代を対象とした居場所もまた必要であります。小学生、特に低学年の子供は、みずから居場所を探すことはできず、居場所を求めて声を上げることも難しい状況であります。
さまざまな課題を抱える子供たちが安心して過ごせる居場所が都内に広がるよう、子供たちへの支援に東京都が積極的に取り組むべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
次に、生活困窮者の自立支援について伺います。
ことし四月、全国で福祉事務所を置く自治体に、生活困窮者がワンストップで相談ができる窓口が設置されました。
しかし、都内各市区では、要支援対象者が拡大をする中で、さまざまな困難を抱える人たちへのアウトリーチ、直接訪問をどのように行っていくのか、任意事業を立ち上げ、要支援者にどのようにつなげていくのか、任意事業において自治体の負担が導入をされた中で、どう予算を確保していくのかなど、さまざまな課題があるわけであります。また、将来を担う若者が生活困窮に陥ることがないよう、適性に応じた就労に結びつけていくことも重要であります。
生活困窮者が自立をした生活が送れるよう、包括的な支援となるような任意事業の実施や、就労自立に向けた取り組みを、都としても積極的に支援をしていくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
次に、子供のアレルギー対策について伺います。
平成二十四年、調布市で発生した学校給食でのアレルギー死亡事故を受け、各自治体では一層の対策に取り組んでいますが、その対応を求められる養護教諭は、医療職や看護職ではなく、学校での食物アレルギー対策には限界があります。
学校と病院を結び、緊急時に小児科医と直接相談ができて、搬送に際しても迅速に処置ができる食物アレルギーホットラインは、都内六市区しか構築をできておりません。
そこで私は、このホットラインを都内全域に広めて、子供たちの安全と安心を確保していくことを提案したいと思っております。
ホットラインの設置など、医療機関との連携を含め、アレルギー疾患対策をさらに強化させていくべきと考えますが、都教育委員会の見解をお伺いいたします。
また、学校を初め、子供を預かる施設についても、医療機関との連携を含め、アレルギー疾患対策に積極的に取り組むべきと考えますが、あわせて見解を伺います。
次に、高齢化社会への対応について伺います。
近年、現役時代の不安定雇用から低年金となり、生活困窮状態に加えて、疾病や要介護などの事情により老後破算になるという厳しい現実が報道されています。また、下流老人という嫌な言葉を目にする機会もふえましたが、このような高齢者の実態に対して、さまざまな支援制度があるにもかかわらず、なぜ救済をできないのか、多くの人が疑問を感じております。
しかし、特に高齢者においては、みずから困窮状態を脱すること、またサービスへのアクセスを図ることが困難であり、社会的孤立状態に陥りやすいことが大きな問題であります。こうした方々にしっかりと手を差し伸べなければならないと考えます。
知事は、世界一の福祉先進都市を目指すという目標を掲げて、東京で老後を過ごしてよかったと誰もが実感できる都市にしていくと宣言をしております。
そこで、社会的に孤立をせず、安心して老後の生活を送れる東京の実現に向けた知事の所見を伺います。
先日、都議会民主党有志で、新宿区戸山ハイツにある暮らしの保健室を視察してまいりました。戸山ハイツは高齢化率が約四〇%、ひとり暮らし高齢者も多く、大都会の真っただ中にあって、住民に身近で、医療も含んだ介護や福祉の相談、支援の場所が必要とされておりました。
通常、専門性の高い人材がいても、身近な悩みに対応する時間を十分に確保することは難しいのが現状であります。しかし、暮らしの保健室は、身近でありながら、十分な知識と経験のある専門職も、医療機関同士や医療と介護の連携などの課題に対応しており、地域の連携力を向上させているとのことであります。
このような相談、支援のあり方は、重度化を防いで地域で人生が終えられるような地域包括ケア体制の整備を進める中でも、大変示唆に富む取り組みであると考えます。高齢者が身近な地域で気軽に相談できる体制の整備をより一層進めるべきと考えますが、見解を伺います。
次に、マンション施策について伺います。
人口減少時代の住宅政策の新たな展開について、東京都住宅政策審議会に新たに設置をされたマンション部会より、安全で良質なマンションストック形成を目指し東京都が取り組むべき課題について、幅広い内容が答申をされました。
東京では、総世帯の約四分の一が百六十八万戸に及ぶ分譲マンションに居住をしており、今後、急速にふえる老朽マンションに対する適切なアプローチは喫緊の課題であります。必要な条例の制定も含め、年次ごとの目標や一層のインセンティブ、規制緩和、不良ストック化の防止などを総合的に盛り込んだ計画の策定を進めるべきと考えますが、見解を伺います。
都内では、新しいマンションが次々と分譲される一方で、約二割の旧耐震物件では、居住者の高齢化と建築年数の経過が進んでおります。
適切な維持管理が行われない建物は、通常より早く劣化が進み、安全や衛生上の問題、ひいては治安の悪化も引き起こし、耐震化や建てかえの合意形成も図れないなど、近隣への影響も多大であります。しかし、区市町村には専門知識を有する職員も少なく、対応を進める上でも苦慮してきたのが現状であります。
そこで、東京都においては、マンション管理士などの外部専門家の積極的活用を支援するなどの取り組みを一層拡大する必要があると考えますが、見解を伺います。
次に、調布飛行場周辺飛行機墜落事故対策について伺います。
七月に起こった、調布飛行場を離陸した小型飛行機の墜落により亡くなられた方々には心からお悔やみを申し上げるとともに、被害に遭われた方々にお見舞いを申し上げるものでございます。
この事故は、戦後、民間機の墜落により住民の犠牲者が出た初めての重大事故であります。この重大事故を受け、地元市では、今月二日には調布市議会、七日には三鷹市議会、本日二十九日には府中市議会が決議を行いました。
今回の事故機は、東京都に慣熟飛行による空港使用を届け出ておりますが、事故当時、同乗者が親族に日帰りフライトに出かけると伝えていたことや、別の日には慣熟飛行と称して子供を乗せていたことが報じられるなど、実際は遊覧飛行ではなかったのかともいわれております。それらが事実ならば、地元三市に対する重大な約束違反といわざるを得ません。都は、空港使用の届け出について厳しく調査を行う必要があり、今後、自家用飛行機は運航の停止も視野に入れるべきとも考えます。
都は、地元三市との協定による飛行場の管理運営に関する協議を行い、徹底した再発防止と地域住民が安心できる生活環境を確保すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
また、都が地元三市において実施した事故に関する住民説明会には、多くの地域住民の皆さんが参加をしました。より詳細な情報が欲しいとの要望や、飛行機がルートを逸脱しているのではないかとの懸念、事故への不安と恐怖、騒音の訴えなどさまざまな声が上がりました。
都においては、地域住民からの声を最大限受けとめて、今後の対策に生かすとともに、運輸安全委員会や警視庁とも協力して丁寧な説明会を行い、地域住民の不安解消に努めるべきと考えますが、見解を伺います。
次に、危機管理について伺います。
鬼怒川決壊など、先日の記録的豪雨による大きな被害が発生をしております。亡くなられた方のご冥福をお祈りするとともに、被害に遭われた皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
さて、九月一日には、多摩直下地震を想定して、立川市と合同で東京都総合防災訓練を実施いたしました。会場には、防災意識の向上につなげようと、都民向けのブースも多数ありましたが、あいにくの悪天候の上、平日でもあったため、来場者が少し少なかったんではないかと思うところは残念であります。
また、舛添知事は、防災ブック「東京防災」を作成し、各家庭一軒一軒直接配布をしている中、東京では先日の台風十八号による大雨で幾つかの地域で避難勧告が出されましたが、避難所に都民の姿はほとんどありませんでした。都内で洪水になっていたらと考えると全く人ごとではなく、日ごろの危機意識向上に改めて課題を感じたものであります。
防災ブックについては、今後、スマートフォンアプリの作成など、できるだけ多くの都民が身近に置いて、いざというときに活用できるよう、一層の工夫も行っていただきたいと考えます。防災ブックは、目を通すだけでも、家庭の備蓄や家族の連絡、集合方法の見直しなど防災意識の向上につながるようにつくられておりますが、今後は理解が深まるような各地域での具体的取り組みが望まれるところであります。
また、都の総合防災訓練においても、より多くの都民が防災意識を高める契機となるよう取り組んでいく必要性があると考えますが、知事の見解をお伺いいたします。
最後に、テロ対策について伺います。
八月十七日、タイ・バンコクでの連続爆発テロにより二十人が死亡、日本人一人を含む百二十八人がけがをしたと報じられました。
二〇一三年のボストン・マラソンの爆破テロのように、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック大会も格好の標的になるのではないかと指摘をされており、東京マラソンでのランニングポリスの活用など、警視庁ではテロ対策の強化に積極的に取り組んでいるところであります。
一方、新たに就任をされた警視総監は警備が専門とも聞いており、警察庁警備局長時代には、テロの未然防止に向けて民間事業者や地域住民の方々と緊密に連携をして、官民一体の日本型テロ対策を進める旨の国会答弁もされております。
私たち都議会民主党としても、大変心強く感じるとともに、今後、最先端技術の適切な活用など、さらなる対策強化を求めたいと思います。
そこで、ビッグイベントでの警備を初め日常的なテロ対策にどう取り組んでいくのか、新警視総監として見解をお伺いいたします。
以上で都議会民主党を代表しての質問を終わります。
ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事舛添要一君登壇〕
○知事(舛添要一君) 尾崎大介議員の代表質問にお答えいたします。
地方税財源の拡充についてでございますが、いうまでもなく、真の地方自治は、自治体がみずからの権限とそれに見合う財源により主体的に行財政運営を行うことで、初めて実現できるものであります。
しかしながら、これまでの地方税財政制度の見直しにおきましては、地方が抱える財源不足という本質的な問題に向き合わず、地域間の財政力格差を是正するという名目で、都市部の財源を吸い上げ、それを地方の財源不足に充てるという、地方分権の理念に逆行する不合理な措置が行われてきております。
日本全体を活性化させるために今必要なことは、各自治体が個性豊かで活力に満ちた地域社会を実現することでありまして、そのためには、さらなる地方分権と自立的な財政運営を行うことができる財源の確保に国が責任を持って取り組むべきであると考えております。
今後も、全国知事会議などの機会を捉えて他の自治体と認識を共有していくとともに、都議会の皆様のご協力をいただきながら、国に対して不合理な措置の撤廃を強く求めてまいります。
続きまして、水の都東京についてでありますが、東京は、隅田川や神田川など市街地を縦横に流れる多くの河川、ウオーターフロントの運河や海など、水に恵まれた大都市であります。
ことしの二月、ケンブリッジ公爵殿下をお迎えしたときには、羽田から浜離宮まで東京港を船でご案内し、東京の水辺を楽しんでいただきました。
水辺は生活に潤いや安らぎを与え、親しみを感じさせる場でありまして、世界の大都市に伍していく上で、観光の観点からも大きなセールスポイントとなる資源であります。
今後、舟運の活性化や川沿いの周辺のまちづくりと連携した水辺環境の整備などを進め、にぎわいと魅力のある水の都東京をよみがえらせてまいります。
次に、ロンドン市との友好都市提携についてでありますが、ロンドン市は成熟都市として二〇一二年オリンピック・パラリンピックを成功させ、それを契機に世界のトップに上り詰めました。この友好都市としての提携は、東京にとって二〇二〇年大会の成功と世界一の都市の実現という都政の大目標を実現する上で極めて重要と考えております。
包括的な友好都市関係を結成し、さまざまな交流を積み重ねることで、両都市の永続的な信頼関係を構築してまいります。これにより、共通する課題の解決に向けた連携をより強固なものとすることができます。
例えば、オリンピック・パラリンピックのレガシーを都市づくりに活用する方策を詳しく学ぶ、また、環境問題への対策をともに強力に進める、こういうことが可能になると思います。
こうした交流、協力を推進し、得られた知見をしっかりと都政に反映することで、今回の友好提携を実りあるものとしてまいります。
次に、大会成功に向けた透明性確保と情報公開についてでありますが、オリンピック・パラリンピックは国家的事業でありまして、開催都市である東京都や国、組織委員会、スポーツ団体はもちろんのこと、都民、国民が心を一つにして大会を成功に導かなければなりません。
そのためには、積極的に情報公開を行うことにより、広く情報を共有することが肝要であります。新国立競技場の問題では、その点が不十分であると指摘されました。こうした反省を踏まえまして、都立施設の整備におきましては、その進捗状況について、私から節目節目に公表し、情報共有をしっかりと図っていくことといたしました。
輸送やボランティアなどその他の取り組みにおきましても都議会に適宜ご説明し、ご審議いただくとともに、進捗状況を都民に明らかにし、広く理解を得ながら事業を推進してまいります。
また、新国立競技場に関する関係閣僚会議の場で情報公開の徹底について提言したところでございますが、引き続き、開催都市として、国や組織委員会に対し事業の透明性を高めるための働きかけを行ってまいります。
これらの取り組みを進めていくことで、都民、国民の理解と協力を得ながら、大会の成功に向け万全を期してまいります。
続きまして、大会エンブレムについてでございますが、大会エンブレムが使用中止に至ったのは大変残念でありますが、これを教訓にして、広く国民に支持される新たなエンブレムを選定することが重要であります。
大会エンブレムは、二〇二〇年大会の成功という大きな目標に向かって、我々オールジャパンを牽引するシンボルとなります。
昨日、組織委員会より旧エンブレム策定にかかわる反省点につきまして詳細な報告があり、これをもとにエンブレム委員会が設置されました。
今後の選考過程において、幅広い方々による応募や、多様な分野からの人選による審査、情報公開の徹底を実施してもらいたいと思っております。そして、都民、国民に広く愛され親しまれるエンブレムが早期に選定されることを期待しております。
都といたしましても、新しいエンブレムを二〇二〇年大会に向けた機運醸成に幅広く活用してまいります。
次に、貧困の連鎖を解消するための取り組みについてでございますが、子供の貧困は親の貧困であります。貧困の連鎖を断ち切るためには、労働の分野でも、教育の分野でも、機会の平等を保障することが必要であります。
親の経済状態にかかわらず、将来、子供がみずからの生き方を選択し自立できるように、機会の平等を保障するためのセーフティーネットを構築することは、まずは国家の責任であります。
都においては、子供を養育する世帯の生活実態や子育ての状況などを明らかにするため、五年ごとに実態調査を行っております。また、区市町村は、乳幼児健診や児童手当の支給などに当たって、子供や家庭の状況を確認しております。
こうして得られた生活状況を踏まえ、都は、子供・子育て支援総合計画や、ひとり親家庭自立支援計画等を策定し、福祉、教育、就労など、さまざまな分野で施策を展開してございます。
子供は社会の宝であり、未来をつくる存在であります。子供たちが生まれ育った環境に左右されず、健やかに成長できる社会の実現に向け、今後とも、都は、区市町村と連携しながら、子供と家庭の生活実態を把握し、さらなる施策の充実に努めてまいります。
続きまして、安心して老後の生活を送ることができる東京の実現についてでありますが、東京で生まれ、生活し、老後を過ごせてよかったと誰もが実感できる都市にしていくこと、これこそが私の目指す東京の姿でございます。
そのためには、介護が必要になっても、また、ひとり暮らしであっても、地域の中で安心して暮らし続けることができる仕組みをつくっていかなければなりません。
そのため、昨年策定しました東京都長期ビジョンでは、高齢者が地域で安心して暮らせる社会の実現を政策指針に掲げ、地域包括ケアシステムの構築や高齢者の施設と住まいの整備など、これからの政策展開の方向性をお示しいたしました。
大都市東京では、今後さらに高齢化が進み、ひとり暮らし高齢者や要介護高齢者など、地域で支えることが必要な方がふえると見込まれております。こうした将来を見据えまして、今後とも、人々が支え合う地域の力、サービスを提供する民間の力、基盤整備を担う行政の力を組み合わせながら、高齢者の地域生活を支えるさまざまな施策を展開してまいりたいと思っております。
次に、調布飛行場の安全対策等についてでありますが、調布飛行場は本土と伊豆諸島とを結ぶ離島路線の重要な拠点であります。
都はこれまでも、飛行場における安全対策を進めるとともに、地元市との間で締結した協定書等に基づき飛行場の適正な運営に努めてまいりましたが、調布飛行場から離陸した航空機が今回のような事故を起こしたことはまことに遺憾であります。
今回の墜落事故の発生後、改めて調布飛行場における管理運営の状況全般について検証に着手しております。
一方、国土交通省及び警察が、現在、事故原因を調査しているところでありまして、今後、調査結果等を踏まえ、再びこのような事故が起こらないよう、調布飛行場の安全対策を強化してまいります。
次に、防災意識の向上に向けた取り組みでありますが、台風十八号の影響による北関東から東北にかけて甚大な被害をもたらした豪雨や、調布市で震度五弱を観測した東京湾を震源とする地震など、たび重なる自然災害の発生により、都における災害への備えの重要性を改めて痛感した次第であります。
現在、都内の全世帯に向けまして「東京防災」を配布しておりますが、イベントなどの機会を捉えて活用につなげていくことはもとより、防災教育の充実や、東京消防庁管内の消防署等でセミナーを実施いたします。こうした都を挙げての取り組みを進めることにより、幅広い世代への防災意識を喚起してまいります。
また、都では昨年度より、季節ごとに年四回の住民参加型訓練を多くの都民の参加を促して実施することで、住民の防災意識の向上を図っております。
今後とも、都は、さまざまな機会を活用した普及啓発活動や防災訓練への参加をより一層促すことで、防災意識の高まりを一過性のものとすることなく、都民の防災力の強化を図ってまいります。
なお、そのほかの質問につきましては、警視総監、教育長、東京都技監及び関係局長が答弁をいたします。
〔警視総監高橋清孝君登壇〕
○警視総監(高橋清孝君) テロ対策の取り組みについてお答えいたします。
警視庁では、テロの未然防止を図るため、官民一体の取り組みが極めて重要であると考えております。現在、自治体、警察、消防や民間事業者等で構成するテロ対策東京パートナーシップなどの官民連携の枠組みのもと、関係機関等と連携した合同訓練を実施するとともに、テロの未然防止への理解と協力を得るための情報発信を行っているところであります。引き続き、こうした枠組みを最大限に活用し、官民連携によるテロ対策を推進してまいります。
また、テロから都民を守り首都の安全を確保するため、テロの標的になるおそれのある施設や大規模イベント等の警備に当たっては、情勢に応じて必要な部隊を増強配置するなどの対策を講じるとともに、テロを想定した実践的訓練の実施により、事態対処能力の向上を図っているところであります。
今後、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックを見据え、先端技術を柔軟に取り入れることにより装備資機材の高度化を進めるなど、さらなる警備力の充実強化を図り、首都東京におけるテロ対策に万全を期してまいります。
〔教育長中井敬三君登壇〕
○教育長(中井敬三君) アレルギー疾患対策の強化についてでありますが、都教育委員会は、学校におけるアレルギー疾患対策の充実に向けて、事故予防体制の確保と緊急対応の確立を柱に、医療機関など地域の関係機関との連携を含めた校内体制の整備促進等を区市町村教育委員会に働きかけてまいりました。
また、各区市町村教育委員会及び学校においては、学校医、地区医師会等、医療機関と協力し、学校と病院を結ぶ専用電話であるホットラインの設置や専門医を講師とする研修会の開催など、地域の実情に応じた医療連携を進めてきております。
これらの状況を踏まえ、都教育委員会は、アレルギー疾患のある児童生徒が安心して学校生活を送ることができるよう、区市町村教育委員会を支援してまいります。
〔東京都技監安井順一君登壇〕
○東京都技監(安井順一君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、マンション施策に関する計画の策定についてでございますが、今月初めに開かれた住宅政策審議会におきまして、管理組合による適正な管理や、老朽マンションの再生を促すために重点的に取り組むべき施策についての答申が出されました。
都は、直ちに区市との検討会を設置いたしまして、マンション管理の実態を把握し、管理不全の予防、改善を図るための具体的な方策などについて検討を開始いたしました。また、まちづくりと連携してマンション再生を促す新たな制度の構築に向けて、先行モデル事業にも取り組んでおります。
年度内には、これらの施策を盛り込んだ新たな計画を策定し、安全で良質なマンションストックの形成に向けて取り組んでまいります。
次に、マンション管理士など専門家の活用についてでございますが、今回の審議会答申では、管理組合の円滑な運営を図る上で、法律や会計、建築などの知識を補完する専門家の活用が有用との提言が出されております。
都はこれまでも、管理組合の求めに応じまして、マンション管理士などを派遣する管理アドバイザー制度を設けており、制度を利用した組合からは、長期修繕計画や管理規約の見直しを行うことができたなどの評価を得ております。
今後とも、関係団体と連携いたしまして、こうした取り組みを通じて管理組合による自主的かつ適正な維持管理を促進してまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長中嶋正宏君登壇〕
○オリンピック・パラリンピック準備局長(中嶋正宏君) 都が整備する新規恒久施設の整備費についてでございますが、会場計画につきましては、昨年六月に再検討を表明した後、土壌などの必要な調査等を行うとともに、物価上昇を初め想定できるあらゆる要素を見込み、整備費の合計を二千四百六十九億円と試算いたしました。
この内容につきましては、競技団体やIOC等とも十分に議論を重ね、都議会においてもご説明し、ご審議を経て予算計上してきたものでございます。このため、建設物価などの変動要素はございますが、整備内容には大きな変更は生じないものと考えております。
都としては、これまで示した試算額を超えることなく、着実に整備を進めることが極めて重要であると考えております。
二〇二〇年大会に向けまして確実に進行管理を行い、予算の適切な管理と整備費の縮減に努めながら施設整備を推進してまいります。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕
○福祉保健局長(梶原洋君) 四点のご質問にお答えいたします。
まず、子供の居場所づくりについてでありますが、さまざまな課題を抱える子供たちが地域で安心して過ごせる居場所をつくることは重要な取り組みでございます。現在、都内の区市では、生活困窮者自立支援法に基づく学習支援にあわせ、地域の実情に応じて、子供への居場所の提供や親に対する養育支援などの取り組みが始まっております。
また、都におきましては、児童養護施設等を退所した児童が気軽に集まって交流でき、生活や就労上の悩みを相談できる居場所として、ふらっとホーム事業を都内二カ所で実施しております。
今後とも、さまざまな課題を抱える子供たちが安心して集える居場所が身近な地域で整備されるよう、区市町村と連携しながら取り組みを進めてまいります。
次に、生活困窮者自立支援法に係る都の支援についてでありますが、複合的な課題を抱える生活困窮者の自立を支援するためには、法の必須事業に加え、就労準備支援事業などの任意事業をあわせて実施することが重要でございます。
このため、都は、総合的な支援体制を平成二十九年度末までに都内全域で整備するため、区市が任意事業を立ち上げるための独自の補助や、事業の実施に必要な専門人材の養成研修を実施することとしております。
また、就労訓練の場を確保するため、社会福祉法人や企業等に対し、区市の相談機関と連携して就労訓練事業に取り組むよう働きかけております。
今後、生活困窮者の自立を支援するため、区市の取り組みを支援いたしますとともに、より多くの事業者が就労訓練事業に参画するよう積極的に働きかけてまいります。
次に、子供のアレルギー対策についてでありますが、子供のアレルギーに適切に対応するためには、職員が正しい知識や技術を習得し、緊急時には初動体制を初め危機管理に即応できる組織づくりが重要でございます。
このため、都では、緊急を要する症状や職員がとるべき対応を示した緊急時対応マニュアルを作成して、保育施設や幼稚園、学校等に配布しております。
また、緊急時対応の研修では、自己注射エピペン練習用トレーナー実習を行いますとともに、平常時からの職員間の情報共有や役割分担、主治医や嘱託医等との連携を進めるよう周知徹底を図っております。
今後とも、緊急時に職員が適切に対処できるよう、医療機関との連携など、職場におけるアレルギー対応の体制づくりを支援してまいります。
最後に、高齢者の地域での相談体制の整備についてでありますが、都は、区市町村の地域包括支援センターが地域における相談支援拠点として、高齢者や家族からの相談に適切に対応し、医療や介護など必要なサービスにつなぐことができるよう、職員への研修を行うほか、地域のさまざまな社会資源とのネットワークの構築等を行うための専門職の配置について支援しております。
また、ひとり暮らしや夫婦のみの高齢者世帯等の生活実態を把握して、地域住民等と連携した見守りなどや、在宅高齢者等の相談に対応する窓口を設置する区市町村を都独自に支援しております。
今後とも、高齢者が地域で安心して暮らし続けられるよう、区市町村における相談体制の整備を進めてまいります。
〔港湾局長武市敬君登壇〕
○港湾局長(武市敬君) 調布飛行場周辺住民の方々の不安解消についてでございますが、今回、調布飛行場周辺で発生した航空機墜落事故に関して、都は、国に対し早急に事故の原因を究明するよう求めており、現在、国土交通省及び警察が事故の原因を調査しております。
都としては、先月、調布市、三鷹市、府中市の住民の方々への説明会を実施し、飛行場の管理者の立場として直接把握している事実について情報を提供いたしました。
今後、国による調査結果などを踏まえ、地元や専門家の意見を聞きながら、調布飛行場の安全対策の強化に向け適切に対応するとともに、地元への丁寧な説明を行い、理解、協力が得られるように努めてまいります。
○六十七番(小松大祐君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
本日の会議はこれをもって散会されることを望みます。
○議長(高島なおき君) お諮りいたします。
ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(高島なおき君) ご異議なしと認め、さよう決定いたします。
明日は、午後一時より会議を開きます。
本日はこれをもって散会いたします。