平成28年第3回定例会代表質問会議録
○百一番(尾崎大介君) さきの七月の都知事選挙で当選をされた知事を迎え、初めての都議会定例会となります。
都議会民進党は、選挙結果を厳粛に受けとめ、真摯に議論を尽くし、都民目線で都政改革に邁進をしていく所存でございます。その上で、都議会民進党を代表して、知事並びに関係局長に質問いたします。
初めに、豊洲市場移転問題について伺います。
私たちは、従来から一貫をして、都民の食の安全・安心を第一に、徹底した土壌汚染対策を求めてまいりました。平成十九年六月の代表質問では、土壌汚染対策法に基づく十メートルメッシュでの調査を提案し、八月には国に働きかけるなど、豊洲地区が土壌汚染対策法の対象となるように取り組んでまいりました。
また、同年九月には、汚染土壌の全面的な除去や地下水の管理徹底を求め、その後、法改正も含めて、これら土壌汚染対策が強化をされてまいりました。
しかし、九月二十九日公表の第八回地下水モニタリング結果で、五街区の三カ所において、環境基準値を超える有害物質が検出をされたことは極めて憂慮すべき事態であります。
今回のモニタリング結果は、この間の盛り土問題とも相まって、これまで都が行ってきた土壌汚染対策において調査が十分だったのか、汚染の移動や見逃しはなかったのか、対策工事は十分だったのか、手抜きや欠陥はなかったのかなど、徹底した検証が必要であります。安心・安全な状態でなければ、豊洲市場の開場を到底認めるわけにはいかないのは当然であります。
一方で、移転に向けて準備をしていた市場業者は経済的にも多大な損失をこうむっております。いまだに都から何の説明もなく、意見聴取もなく、先行きの見えない大きな不安を抱えております。
盛り土がされていなかったことについても、どの程度安全性に問題があるのか、どの程度対策を講じればいいのかなど、小池知事は早急に今後のロードマップを示していく必要があります。
開場延期を決めた知事は、今回の地下水モニタリングにおける環境基準値超えという結果を含め、豊洲市場移転問題についての今後のスケジュールや方針について、どのように考えているのか、見解をお伺いいたします。
地下水モニタリングの結果について、東京都は、協議会や専門家会議及び市場問題プロジェクトチームにおける検証を踏まえ、適切に対処をするとしておりますが、基準値超えの汚染については、早急に対応方針を示していくべきであります。
私は、今回の結果を深刻に受けとめる立場から、早急に専門家会議を開催し、原因の特定や必要な対策などについて対応方針を示すべきと考えますが、見解を伺います。
このような事態が生じた今、そもそもなぜ生鮮食品を扱う市場の移転先として、ガス工場の跡地として選ばれたのか、その経緯を改めて検証する必要があります。九月二十九日に開催をされた市場問題プロジェクトチームでも、築地市場から豊洲市場への移転の経緯を議題として、附属資料では土地購入の経緯にも焦点を当てております。
東京ガスとの交渉経過については、二〇一〇年三月十八日の経済・港湾委員会において、我が会派の議員が取り上げております。
当時の交渉のやりとりを情報公開請求いたしますと、ほとんど多くが全面黒塗りであります。このパネルを見ていただければわかると思いますけれども、ほとんど会議の内容は黒塗りでありまして、この二枚目なんかはもう括弧しかないような状態であります。このほとんどが全面黒塗り、こうしたものが、これは情報公開が有名無実化されているのであります。
委員会の質疑の中で、東京都は、東京ガスと、いつ、どのような内容を協議したかという記録が残っていると答弁をし、議員も破棄をせずに全て保存するよう要請をしております。東京ガスとの交渉では、用地取得費だけではなく、七十八億円の土壌汚染対策費など、さまざまな疑念が寄せられております。
そこで、東京都と東京ガスとの交渉経過を黒塗りでない状態で情報公開をするとともに、検証すべきと考えますが、知事の見解をお伺いいたします。
今回の環境基準値超えの調査結果を受けて、私は、二〇〇八年七月二十六日の専門家会議解散以降発覚をした問題について、改めて検証を求めたいと思います。
例えば、私たちは、二〇〇九年二月の代表質問において、絞り込み調査の結果を受け、汚染の拡散を防ぐと説明をされてきた不透水層に穴があり、その穴を通じて汚染が拡大をしているのではないかと指摘をしてまいりました。
また、二〇一二年九月の代表質問では、不透水層内からも多くの地点で操業由来のベンゼンが確認をされ、しかも最大濃度は環境基準の一千倍、最大で六メートル掘り進んだところからも汚染が確認をされたことからも、懸念を申し上げてまいりました。
私は、これらの専門家会議の解散以降に発覚をしたさまざまな問題についても、改めて知事が再招集をした専門家会議で検証すべきと考えますが、見解を伺います。
中でも、東京都は、粘土層を形成している有楽町層、これは水を通しにくく、汚染をされている可能性は低いと再三答弁を繰り返してきましたが、今でもその認識は変わらないと考えていいのか、改めて答弁を求めます。
また、都は、これまで私たちの質問に対して、ガス工場操業由来の汚染物質については全て掘削除去すると答弁をしてまいりました。しかし、今回、環境基準値を超える汚染物質が検出をされたことで、掘削除去が不十分だった可能性があります。
そこで、都は、現在もなお操業由来の汚染物質は全て掘削除去したといい切れるのか、見解を伺います。
私たちは、二〇一一年六月二十三日の代表質問で、東日本大震災による液状化によって、汚染の移動や拡散はないのかとの懸念を申し上げてまいりました。今回、環境基準を超える汚染物質が検出されたことについて、液状化の影響はなかったのか、現時点で、どのような理由であると考えているのか、見解を伺います。
また、指定区域の解除について、東京都は、操業由来の区域については、汚染土壌を除去し、地下水汚染が生じていない状態が二年間継続していることを確認することで、形質変更時要届け出区域の指定を解除していくと答弁をしておりました。法改正以降は、二年間のモニタリングで、台帳から操業由来の汚染物質を削除するといった記載事項の変更をするという旨を答えております。
そこで、環境基準を超える汚染物質が二年間のモニタリングで継続して検出をされなければ、豊洲地区で指定をされた形質変更時要届け出区域の台帳から操業由来の汚染は全て削除をされる状態になると考えていいのか、見解を伺います。 また、二年間の地下水のモニタリングというのは、形質変更時要届け出区域の台帳から、操業由来の汚染を削除するために必要な手続であります。知事は、安全性の懸念から豊洲延期を決めましたが、知事は何をもって豊洲が安全であるとみなすのか、豊洲の安全宣言について、知事の見解をお伺いいたします。
過去にさかのぼって、こうして質問せざるを得ないのは、盛り土問題で欺かれたからといっても過言ではありません。自己検証報告書にもありますが、予算特別委員会では、二〇一二年三月十四日、同じく三月二十六日、翌年は三月十二日、三月二十五日と四回にわたり歴代市場長が私たちの質問に答えております。これはわかりやすくちょっとパネルにしたんですけれども、二〇一三年三月十二日の市場長の答弁で、ガス工場操業地盤面から下二メートルの土壌を、汚染の有無にかかわらず全てきれいな土と入れかえることに加え、さらに二・五メートルをきれいな土で盛り土をするといったものであります。これをまさに虚偽答弁といわずして何というのか。
私たちは、こうした答弁を前提とし、市場移転の議論を進めてきましたが、このようなでたらめは、都民の信頼を損ねる大問題であり、断じて容認をできるものではありません。
いつ、誰が、どのような理由で盛り土をしないことを決めたのか。九月三十日の自己検証報告書は、責任の所在が明確ではなく、不十分であります。内部通報制度だけでは、盛り土問題での確実な成果は期待できません。内部の調査で限界があるならば、私は、外部の専門家に依頼するなどして経過の検証を行うべきと考えます。いつまでに、そして、どのようにして責任の所在を明らかにするのか、知事の見解をお伺いいたします。
私たちは、昨年秋以来、都に対して豊洲市場の視察を何度も求めてまいりました。そして、ようやく視察が実現したのは九月の十二日、一年近くもかかっております。しかも、都は、動画の撮影を拒否、その後も、専門家の同行や水などの採取を拒否、加工パッケージ棟や管理棟の視察も拒否をしてきました。とりわけ管理棟の引き渡しは五月に終わっており、断る理由が全くわかりません。
これだけ都民の関心事になっているにもかかわらず、都民の代表である私たちの視察を拒否してきたことは、まさに言語道断であり、隠蔽体質、情報隠しそのものであります。小池知事の情報公開の姿勢は、まだまだ都政の隅々まで行き渡っていないのではないでしょうか。
私は、東京都に対する都民の信頼を回復していくためにも、情報公開の徹底が欠かせないものと考えますが、見解を伺います。
次に、オリンピック・パラリンピックについてお伺いをいたします。
森組織委員会会長は、東京大会の予算が七千三百四十億円から二兆円に膨れ上がるとの見通しを示す一方で、ロンドン大会やソチ大会の経費の事例を挙げて、当然のこととの認識を示しました。しかしながら、都議会民進党は、大会費用の膨張は大きな問題であると認識をし、東京都や国、組織委員会に対して情報公開や説明責任、費用の削減を求めてまいりました。
こうした中で、都政改革本部は、三つの恒久施設の会場変更や規模縮小などの見直しを提案しました。これはIOCが示した経済、環境に負荷の少ない大会運営を行うとの改革計画書に沿った取り組みと理解をいたしますが、既に整備が邁進している施設もございます。今後、都は海の森水上競技場などの恒久施設への提言に対して、いつ、どのように結論を出すのでしょうか。
また、三施設の設計の変更や会場変更ともなれば、アスリートファーストを第一に掲げられている知事として、国際競技団体や国内競技団体を初めJOCや選手からの意見聴取はもとより、大会までの準備スケジュール、建設中止による契約手続などの影響に対してどのように対応していくのか、見解を伺います。
次に、組織委員会の情報公開であります。
組織委員会に対する都の出資は五十八億五千万円、比率で九七・五%に上りますが、都が指導監督する監理団体からは除外をされております。しかしながら、小池知事は、組織委員会も都の外郭団体であることに変わりはないと述べ、都政改革本部での調査対象にしております。
私は、組織委員会の財政を保証している東京都は、当然、大会運営にも責任を持っており、そのため、組織委員会への関与を強め、積極的に情報公開を進めるべきだと考えております。
東京都は、組織委員会に対する関与を強めることで情報公開を徹底させていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
次に、リオ大会視察の調査結果活用であります。
アスリートの活躍と観客の情熱的な応援が世界に感動を与えたリオ大会が閉幕をし、東京大会まであと四年を切りました。リオ大会へは、オリンピック・パラリンピック準備局だけでも延べ百三十六人の職員が現地を視察いたしました。知事も、両大会の閉幕式に出席をし、大会旗を受け取り、開催都市の責任の重さを感じたと所信表明で述べられました。
そこで、大会視察の調査結果を報告書として取りまとめ、都議会や都民に公開し、東京大会に大いに反映をすべきと考えますが、見解を伺います。
次に、パラリンピックで目指す共生社会であります。
大会開催都市として障害者への理解やユニバーサルデザインのまちづくりは、重要な課題であります。パラリンピック運動は、社会変革という大きな理念を持っており、日本や東京が共生社会へと変わる契機としてしっかり取り組むべきと考えます。
パラリンピックを見据え、ユニバーサルデザインのまちづくりや人を気遣い、声をかける心のバリアフリー施策を推進し、性別や障害の有無、国籍などにかかわらず、誰もが暮らしやすい共生社会を実現させるべきと考えますが、知事の見解をお伺いいたします。
次に、受動喫煙防止対策の推進であります。
二〇二〇年の東京大会に向けて、受動喫煙防止対策を強化することが必要です。私たちはその前年、ラグビーワールドカップ開催に前倒しをして条例制定を行うべきと求めてまいりました。
知事も、健康寿命延伸のために、受動喫煙防止対策を推進すると公約に掲げて、所信表明でも、IOCが掲げるスモークフリーの精神を重要だとして、オリンピック・パラリンピックのホストシティーとしての責任や都民の健康増進の観点から対策を進めていくべきと述べております。
世界的なスポーツ大会に向けて受動喫煙防止条例を制定すべきだと考えますが、知事の見解を伺います。
次に、知事の基本姿勢について伺います。
都政の重要課題は、豊洲市場の移転問題やオリンピックだけではありません。
都議会民進党は、繰り返し、二〇二〇年オリンピック・パラリンピックは通過点であり、都政を進める上ではその先の未来のビジョンや都民の幸福を実現する道筋を明らかにしなければならないと主張してまいりました。子供たちの未来にどんな東京をバトンタッチできるのか、いかに都民生活の質を高め、豊かさを実感できる都市とするのか、開かれた場で英知を集めて議論をしていかなければなりません。
先日の所信表明において、小池知事は二〇二〇年に向けた実行プランを年内に策定し、ビヨンド二〇二〇を描いていくとされました。小池知事は、実行プランの策定を通して、二〇二〇年の先の東京のために何を最も大事にして取り組んでいこうとしているのか、基本姿勢をお伺いいたします。
我々が一貫して都政に求めてきたことの一つに、社会の中で弱い立場にある人たちへの支援があります。平均年収百七十万円という正規雇用の三分の一にも満たない非正規雇用労働者の実態、将来の格差にも直結する子供の貧困、教育格差といった、今、都民が直面をしている厳しい現実に対し、国に先んじてでも手だてを講ずることが都政の重要な使命であります。
貧困、格差の拡大、不安定雇用の増加といった社会の中で弱い立場にある人への支援について、知事としてどのように認識をし、対応しようとしてるのか、見解を伺います。
次に、都財政の基本認識について伺います。
都財政は富裕であるとの認識が一般的ですが、都財政が健全性を保っているのは、かつて財政再建団体への転落が危ぶまれるという危機に直面をし、財政再建に努力を重ねてきたからであります。
本年の予算特別委員会でも私たちが指摘をしておりますが、時には一兆円にもなる税収減を経験しています。今後ますます高齢化が進む中でも実行していくべき施策を考慮すると、知事の所信表明にもあったとおり、都財政は決して予断を許さない状況であります。
私は、新しい政策を実行するためにはスクラップ・アンド・ビルドを原則とするのが私たちの子供世代に対する責任ある態度であると考えます。
小池知事は、二十九年度予算の見積もり方針として、全ての事業に原則として終期を設け、補正予算においても終期を示した事業を掲示されました。知事は都財政についてどのように認識をし、予算編成に臨むのか、お伺いをいたします。
次に、都政改革と情報公開について伺います。
知事は、情報公開を標榜し、早速、重要会議の公開、中継を実行しており、その姿勢を評価するものであります。先日の都政改革本部会議では、都庁の自律改革として、政策決定過程の見える化、予算編成過程の透明性向上に取り組むと報告をされました。 また、調査チームからは、二〇・八%という黒塗りの多さを課題と捉え、非開示判断の厳格化を直ちに実施するとの報告が行われました。我々がこれまで求めてきたとおり、都民目線での改革を推進し、舛添問題で失墜をした都政の信用と信頼を回復するためには、情報公開が極めて重要であります。
知事がノリ弁と称したように、一面黒塗りをされているような文書では、情報公開が意味を持たないことは論をまちません。前知事の高額な海外出張問題を受け、都は、知事の海外出張経費に限って内訳を公開することといたしましたが、文書開示の原則そのものを見直したわけではありません。
また、情報公開制度の前提として欠かせないのが適切な公文書の管理であります。都合の悪い文書は恣意的に不存在、廃棄済みとされることのないよう、どの文書を何年保存するのか、後日検証が可能なように、文書を作成、保存するため、公文書についてしっかりとルール化をする必要があります。 公文書管理条例の制定、東京都情報公開条例の改正、情報公開指針や運用の見直し、さらには政策決定過程の情報公開も含め、小池知事によって都の情報公開がこれまでとどのように変わるのか、具体的に示していくことが必要と考えますが、透明性の高い都政の実現に対する知事の見解を伺いたいと思います。
知事は、就任早々、都政改革本部を立ち上げ、十六人の特別顧問等を任命。本部にはオリンピック・パラリンピック、情報公開のチームに加えて、内部統制についてのプロジェクトチームを設置いたしました。内部統制については、これまで都庁が行ってきた行政評価や予算編成にも切り込むのか、監理団体などの契約、入札、交際費についての情報公開、天下りなど、小池知事の手腕に注目が集まっております。
私たちは、行政評価や監理団体の経営評価について、みずから厳しく律することはもちろん、第三者の目を入れたチェックが必要であると主張をしてまいりました。個別の調査に加えて第三者の目を入れるなど、評価やチェックの仕組みづくりも必要と考えますが、都政改革本部において、知事が描く改革の中身について見解を伺います。
次に、知事給与を半分に減額する知事給与の特例条例についてお伺いをいたします。
私は、都民の大きな支持を得て選ばれた小池知事の公約でもあり、給与について、基本的には知事の意向を尊重したいと思っております。
しかし一方で、知事の報酬は、みずからがその報酬を上げたり下げたりすることができないよう、東京都知事が審議会に諮問をし、決める仕組みとなっております。その審議会答申は、東京都の特別職の報酬等について、本来その職務と責任に対応することが必要であると述べております。
所信表明ではこうした点について詳しい言及はありませんでした。そこで、小池知事の報酬についての考え方、自身の報酬を減額する特例条例を提案した目的、理由についての詳細、さらには、知事のいう改革にどういう効果をもたらそうとしているのか、見解を伺います。
次に、子育て、教育について伺います。
今定例会には、新知事就任後早々に編成された補正予算案が提案をされております。待機児童の解消や子育て支援に特化した内容となっており、施策を一歩前進させるものとしておおむね評価するものであります。
現状の待機児童対策では、保育所の供給が新たな需要を呼び起こす点が課題であり、今後の子育て支援、家庭と仕事の両立支援など、包括的なパッケージでの施策が欠かせません。こうした点について、私たちが繰り返しいい続けてきたことであります。この補正予算を、すぐ効く、よく効く対策として機能させ、早期に待機児童ゼロを実現していくことが肝心であると考えますが、知事の見解を伺います。
なお、今回の待機児童解消緊急対策では盛り込まれておりませんが、都のさらなる独自支援策として、保育士の賃金を引き上げる処遇改善策に積極的に取り組むことを強く求めておくものであります。
次に、潜在的ニーズも含めた待機児童対策です。
私たちは、都が潜在的ニーズを含めた待機児童数を把握して対策に取り組むべきと訴えて、十八項目の緊急要望を申し入れしました。
今回、国が初めて公表をした資料によって、都内の待機児童八千四百六十六人のほか、認可保育所に申し込んだが入れずに育児休暇を延長した人や、特定の保育園等のみを希望している人、求職活動を休止した人の子供が七千九百六十六人いることがわかりました。こうした待機児童への対策が重要であります。
国は待機児童の定義を見直す検討会を立ち上げており、今後、都においても取り組みが求められます。都内の潜在的ニーズも含めた待機児童を把握して、根本的な待機児童解消に向け、取り組みを進めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
次に、都独自の給付型奨学金であります。
貧困問題と教育を考える上で奨学金の役割は大きいものがありますが、就職難や非正規雇用による低収入などで、二〇一四年度末、都において十億八千百万円もの高校奨学金の返済が滞っております。
これまで私たちは、都の貧困実態調査の分析を踏まえ、高校生を対象として東京都版給付型奨学金を創設すべきと代表質問でも提案してまいりました。
知事は、所信表明において、家庭の経済状況が子供たちの将来の希望を閉ざすことがあってはならない、都独自の給付型奨学金について検討を進めると述べられたことは評価をいたします。
今こそ、子供の貧困の解消に向けて、都独自の給付型奨学金を創設すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
最後に、調布飛行場周辺墜落事故への真摯な対応について伺います。
七月二十六日、私の地元の調布飛行場周辺の住民の皆さんが亡くなった被害者に黙祷をささげました。事故発生から一年二カ月がたとうとする中、国の運輸安全委員会による事故調査結果がまだ出ていないだけではなく、被害者への補償も一向に進んでおりません。
当たり前のことではありますが、今後こうした状況で自家用機の飛行を再開し、再び事故が起きてしまったら一体どうするのか、墜落事故に対する都の責任を明確化していかねばなりません。
都は、自家用機所有者などに対し、航空機保険の第三者損害賠償責任保険などへの加入を義務づけること、調査結果が出るまでの間の救済を肩がわりすることなど、被害住民を迅速に救済する制度を関係機関と連携し構築をすべきであります。
先日、都は事故原因が不明な中にもかかわらず、調布、府中、三鷹の地元三市での六月の住民説明会において、必要最低限の自家用機の運航を認める方針を発表し、住民から大きな反発の声が上がりました。
八月、調布市は、自家用機の運航自粛要請を継続して行うべきとの要望を行いました。九月十六日には、調布飛行場周辺三町地域協議会からも、事故原因が究明をされるまでの間、自家用機の運航自粛などを求める七千百三十六名の署名が知事宛に提出をされております。知事においては、被害者である都民に寄り添い、ぜひ調布飛行場を視察していただきたいと考えます。
私は、事故原因が解明されるまでは自家用機の飛行中止を求め、その後改めて今後の安全対策を打ち出すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
以上で私の代表質問とし、なお、答弁によっては再質問を留保いたします。
ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕
○知事(小池百合子君) 尾崎大介議員の代表質問にお答えをさせていただきます。
まず、豊洲市場への移転についてのご質問でございます。
豊洲市場の食の安全については、これまでも生活者の目線、都民ファーストの感覚を大切にしなければならないと述べてまいりました。今回、地下水モニタリングにおいて基準を超える数値の報告を聞いたときには、私も驚きましたが、まずは、現在実施中の二年間の地下水モニタリングを着実に継続していく、そして専門家会議や市場問題プロジェクトチームにおいて、安全性についての調査、検証を行ってまいります。
移転に当たりましては、市場関係者や都民の皆様方に安心していただけるように、正確な情報をわかりやすく説明することが不可欠であります。こうした努力を重ねた上で、総合的に判断をしてまいります。
次に、市場移転の経緯の情報公開のご質問でございました。
盛り土につきましては、事実と異なった、誤った説明が続いていた、このような事態を二度と繰り返してはなりません。そのためにも、都政の見える化に向けた情報公開の徹底が不可欠と考えております。
市場移転の経緯につきましても、今後、原則開示を徹底いたしまして、個人情報や企業の事業活動情報などにも配慮をしながら、相手方との協議の上で非開示部分を最小限にしてまいりたいと考えております。
豊洲市場の安全性についてのご質問でございます。
豊洲市場につきましては、地下水モニタリングで、先ほど申し上げたように基準超過を確認したこと、盛り土がなされていなかった問題など、一つ一つ確実に検証していくことが重要でございます。
このため、専門家会議や市場問題プロジェクトチームにおきまして、これらの問題について調査、検証を重ねてまいります。その上で、安全性について判断をさせていただきます。
そして、盛り土がなされなかったことに関する検証についてのお尋ねでございます。
都はこれまで、盛り土について、議会の皆様や都民、市場関係者に対しまして、事実と異なる答弁や説明を行ってきたところでございます。極めて残念なことでございます。
問題発覚後、直ちに自己検証を指示し、先日、その報告を受けたところでありますが、ご指摘のように十分とはいえません。
今回の事態を招いた最も大きな要因として、ガバナンス、責任感の欠如がございます。まさに都庁という組織が抱える問題が根源に横たわっているといえます。中央卸売市場だけでなくて都庁全体の問題として捉え、都の職員がみずから向き合い、その原因を明らかにして解決に向かっていく、自律改革につなげていく必要があると思います。
本件に関しましては、今後、個人の特定を引き続き進めまして、公益通報制度等も活用しながらも、さらに情報収集を進めてまいりたいと考えております。
情報公開の徹底でございますが、先ほども述べたとおり、都政に対する信頼の回復を図っていくためには、まず都政の見える化に向けた情報公開の徹底は不可欠でございます。
豊洲市場の安全性に関しましては、専門家会議や市場問題プロジェクトチームが行う議論につきまして、都民、市場関係者などに対して広く公開をしてまいります。そして今後、正確な情報をタイミングを逸することなく、広く発信していくように徹底してまいります。
調査チームからの提言への対応についてのご指摘がございました。
こちらから、オリンピック・パラリンピックに関してでございますが、都政改革本部調査チームからは、施設建設計画の見直しについて複数の選択肢をいただいたところでございます。
二〇二〇年大会までに残された時間は少のうございます。早急に検討を進め、現在、計画が進んでおります海の森水上競技場などの三施設へのさまざまな対応も含めまして、アスリートファーストと税金の有効活用の観点から、総合的に判断をしてまいり、そしてその検討に当たりましては、組織委員会や国内、国際競技団体、アスリートの皆様方などと十分な意見交換に努めてまいる所存でございます。
組織委員会の情報公開についてのご質問がございました。
都民ファーストの都政を進めていくために、あらゆる情報を原則公開することは極めて有効だと考えております。
このたび、都政改革本部の調査チームから、オリンピック・パラリンピックについてさまざまなご提言をいただきました。そして、その中でも情報公開の重要性が指摘されたところでございます。
大会の成功に向け、オリンピック・パラリンピックに対する都民、国民の理解や協力を得ていくためにも、都庁内はもとより、組織委員会の運営につきましても、より一層透明化を図ることは重要と考えております。また、組織委員会に対しましても、東京都として、さらなる積極的な情報公開を求めていきたいと考えております。
パラリンピックを見据えた共生社会の実現についてのお尋ねがございました。
女性も、男性も、子供も、高齢者も、障害者も、国籍を問わず、誰もが生き生き生活ができる、活躍ができる都市、そのようなダイバーシティーが私の目指す、誰もが暮らしやすい共生社会でございます。
オリンピック・パラリンピックの精神は、人々の多様性を認め合い、あらゆる違いを超えてつながり合うことであります。私は、東京大会こそ、ダイバーシティーを実現するための大きな契機としていきたいと考えております。
リオデジャネイロのパラリンピック大会を見ますと、選手や観客が障害の有無、国籍、文化の違いなどを乗り越えて会場が一体となっておりました。大変すばらしく、感動したところでございます。
東京大会を成功させるためにも、私は、施設や道路、交通機関などのバリアフリー化はもとより、教育やボランティア活動を通じた障害者への理解の促進など、心のバリアフリー施策を推し進め、ハード、ソフトの両面からユニバーサルデザインのまちづくりを進めてまいりたいと考えております。
受動喫煙防止対策でございます。
私は、オリンピック・パラリンピック開催都市の知事として、IOCが唱えているスモークフリーの精神は重要なものだと考えております。
現在、国でも、内閣官房を中心とした検討チームが設置され、受動喫煙防止対策の強化に向けた検討を行っていると聞いております。
都といたしましても、大会のホストシティーとしての責任や都民の健康増進の観点から、受動喫煙防止対策を一層進めてまいりたい。その中で、条例化についても、国の動きを踏まえながら総合的に判断してまいりたいと考えます。
続いて、私、知事の基本姿勢についてのご質問でございます。
実行プラン策定への基本姿勢についてでございます。これは、二〇二〇年に向けた実行プランについてでございます。
都民のため、都民の利益を最大化し、都民ファーストの都政を構築する。そして、新しい東京を都民とともにつくり上げる。これが、私が目指す東京都知事としての使命、役割でございます。目指すものでございます。
こうした考えを具体化するために、二〇二〇年に向けた実行プランで、東京二〇二〇大会の成功と、その先の東京の未来への道筋を示すとしたところでございます。そして、三つのシティー、つまりセーフシティー、ダイバーシティー、スマートシティーの三つのシティーを実現をすることによって、東京の課題を解決し、成長性の創出に取り組んでまいります。
まず、都民が安心して生活できるセーフシティーでございます。首都直下地震への備えなど、対策を強力に推し進めてまいります。
誰もが生き生きと活躍できるダイバーシティーの実現に向けては、待機児童の解消などの課題解決を加速させてまいります。
そして、三つ目、スマートシティーでございますが、国際金融都市東京の実現やIoTなど、今後の成長分野の発展に向けた政策を積極的に展開をして、日本の成長の牽引役であり続ける首都東京を目指してまいります。
これらの大義ある政策を前面に打ち出しまして、それに加えて、都民の皆様方の共感を得て進めることで、そして、都民の誰もが希望を持って、きのうよりきょう、きょうよりあしたの方がきっといいと信じられる、そんな希望を持ちながら、日本の未来を明るく照らすサステーナブル、持続可能な首都東京をつくり上げてまいりたいと考えております。
昨日は、名誉都民の顕彰式がございまして、ノーベル賞を受賞された大村智先生とお話をする機会がございました。そして、きのう飛び込んできたニュースが、また連続して日本からノーベル賞受賞者を出したことでございます。こういった希望をつくるためにも、教育、そしてまた、持続可能なまち、それがベースになって人材が、すばらしい人材の育成につながってくるものだと改めて感じたところでございます。
そのような観点から、三つのシティーをしっかりと実現してまいりたいと考えているところでございます。また、ノーベル賞を受賞されました大隅先生には心から敬意を表し、また祝福の言葉を申したいと思っております。
社会の中で弱い立場にある人への支援についてのご質問がございました。
都民が置かれている状況というのは個々さまざまでございまして、その誰もが生き生きと生活をし、活躍できる環境なくして、東京の明るい未来は築けないものでございます。そのために、特に社会の中で弱い立場にある方々への支援にしっかりと取り組んでいく必要がございます。
例えば、高齢者や障害者の方々について、医療や介護などの基盤を整える、さらには雇用の場となるソーシャルファームをふやすなど、もっと社会に貢献したいという思いに応えることも重要と考えます。
あるいは、将来の東京を背負う子供たちについては、家庭の経済状況により教育の格差が生じては、将来の格差にもつながりかねません。都独自の給付型奨学金の検討を進めるなど、格差を打開する手だてを講じていかなければならないと考えております。
そして、都民の生命と財産を守るべき都知事として、都民一人一人の生活の細部にまで目配りをする、心配りをする、そして、目指すべきダイバーシティーを実現してまいりたいと考えております。
そして、都財政についての認識と予算編成についてのご指摘がございました。
歳入の約七割を占めます都税収入でございますが、足元では堅調に推移しているものの、リーマンショック後の平成二十一年度には、一年間で約一兆円の大幅な減収に見舞われるなど、そもそも都の財政は不安定な構造にあるわけでございます。今後の景気動向、そして国際情勢、さらには、今後の各国の金利政策による影響など、引き続き注視が必要でございます。
そして、こうした中にありましても、都民と約束した新しい東京をつくり上げるためには、これを支えていく強固な財政基盤は欠かせません。そのためにも、平成二十九年度の予算編成に当たっては、東京が抱える課題解決に向けまして積極果敢に取り組むと同時に、全ての事業に終わりの時期、終期を設定して事業評価による検証を行うなど、あくまでも都民ファーストの視点に立ちまして、新しい東京の未来に向けた改革を進めてまいります。
知事の基本姿勢についてでありますが、透明性の高い都政の実現についてのご指摘がございました。
都政の透明化を進める上で何よりも重要なことは、情報公開の推進と考えます。そのためには、都庁全体の意識改革を図ることから始めなければなりません。
そこでまず、今般の都政改革本部の模様は、ご指摘のようにインターネットで中継をし、また会議資料も迅速に公表するなど、都政の課題についての検討過程の透明化を始めたところでございます。
本部には、まず、情報公開調査チームを設置したわけでございまして、そこで検討された方針のもとで、審議会のさらなる公開など、各局においても、早速、積極的な情報発信に向けた自律改革をスタートしたところでございます。また、公文書の開示請求に対しては、情報公開条例に定められた原則開示の趣旨にのっとるよう、改めて各局に徹底を始めたところでございます。
都民ファーストの観点から、このような情報公開の取り組み及び公文書の適正な管理を都庁の隅々にまで浸透させることで、透明性の高い都政を実現してまいりたいと考えております。
私の目指す東京大改革の肝でございますが、都政を透明化、見える化する、そして都民ファーストの都政を実現することにございます。
そのためには、職員の一人一人が、みずから改革の担い手となって積極的に情報公開を行う姿勢を持ちながら、仕事の進め方を見直していかなければならないと考えます。
こうした都庁の自己改革精神を呼び覚ます装置として設置いたしましたのが、私自身が本部長を務め、かつ各局長が本部員となっている都政改革本部でございます。
現在、客観的な第三者の視点を持つ特別顧問等を任用いたしまして、その助言も、アドバイスも受けながら、各局が所掌事業について、改めてみずから評価、点検をして課題を抽出し、解決策の構築を行うように自律的な改革を進め始めたところでございます。
今後、この本部を土台としまして、これまでの延長線ではない改革を不断に進めることによって、失われた都政に対する信頼、この都民の信頼をもう一度確保してまいりたい、このように決意しているところでございます。
それから、知事の給与の減額についてのご質問でございます。
今回の減額は、都民の皆様と私がお約束した選挙公約の一つでありまして、今後の都政改革に向けた決意と姿勢を示すために、私の選挙公報にも明確に示したところでございます。
また、現在、都政改革本部を立ち上げ、各局が本部と連携して自律的な改革を進めるなど、さまざまな取り組みに着手をしたところでございます。
給与減額という身を切る強い決意でございます。そして、本部での取り組みの推進が庁内に改革マインドを根づかせる、これまでの延長線ではない改革が実現できる、それは、知事みずからが身を切って初めてスタートするものだと考えているところでございます。
なお、知事の本来の給与水準は、毎年、民間のベースアップ等を考慮いたしました審議会答申を踏まえた上で、都議会における審議をもって決定をされているところでございまして、適切なものと考えております。
補正予算案についてご質問がございました。
待機児童の問題は、すなわち東京問題といいかえてもよいかもしれません。都民にとって優先度は高く、早急に進めていく必要がある問題でございます。
私は、さきの選挙戦を通じまして、また、知事就任後も保育所に足を運んで、子育て世代の方々の強い思いや、現場で働く保育士の方々の声にも数多く触れてきたわけでございます。こうした声を受けまして、すぐ効く、よく効く対策を打ち出して、一日も早く実感できる効果を上げていかなければならない、そういった強い思いから、今回の補正予算案を編成したところでございます。
補正予算案は、十一事業に百二十六億円を計上いたしました。特に、区市町村や事業者の取り組みを加速させるため、年度内の着手に対しましては、より手厚い支援を行う工夫を凝らしたところでございます。これにより、今年度中に一万七千人分の保育サービスを整備し、待機児童解消へとしっかりとつなげてまいりたいと考えております。
そして、その待機児童の解消に向けた取り組みについてのさらなるご質問でございます。
先月取りまとめたこの緊急対策では、待機児童解消に向けた取り組みの第一弾として、年度内に一万七千人分の保育サービスを整備することとしたわけでございますが、年内に作成する実行プランにおきましては、保護者のニーズ、区市町村の計画、就学前児童人口の推移などを踏まえまして、保育サービスの利用率が現在四一%でございますけれども、五〇%になっても対応できるように、今後四年間の整備目標を定めます。
そして、そのための新たな支援策は、国の動向なども踏まえまして、平成二十九年度の予算案に反映していく考えであります。
今後とも、区市町村と連携しながら、待機児童の解消に取り組んでまいる所存でございます。
都独自の給付型奨学金についてのご質問でございます。
将来を担う子供たちの教育機会は平等であるべきであり、経済の格差が将来の希望の格差につながることがあってはなりません。
都は、現在、高等学校の授業料について、国の就学支援金を支給するとともに、私立高校生に対しては、特別奨学金により支援を行っております。また、低所得世帯を対象として、授業料以外の教育費についても奨学給付金を支給いたしております。
これらの支援制度や、今年度実施しております子供の貧困に関する実態調査も踏まえまして、都独自の給付型奨学金について、今後、速やかに検討を進めてまいります。
こうした取り組みを通じまして、誰もが希望する教育を受けられる、生まれ育った環境に左右されることのない東京を築いてまいりたいと思います。
最後のご質問でございますが、調布飛行場の自家用機の運航についてのお答えでございます。
調布飛行場は、本土と島しょとを結びます離島航空路の重要な拠点でありますけれども、市街地の中の飛行場でありますために、その運営に当たっては、地元住民の理解、ご協力を求めていくことが重要であると私も認識をしております。
都は、昨年七月の重大事故発生以降、調布飛行場の自家用機に対しまして運航の自粛を要請していると同時に、安全対策の強化についても、国や地元市とも協議をしてまいりました。
先般、お受け取りいたしました調布飛行場の運営に関する七千人を超える方々からの署名つき要望書を重く受けとめておりまして、今後、自粛要請を継続するとともに、安全対策の強化や適正管理の徹底を図っていく所存でございます。
よろしゅうございますでしょうか。
なお、そのほかの質問、残余のご質問につきましては、関係局長からご答弁をさせていただきます。
〔中央卸売市場長岸本良一君登壇〕
○中央卸売市場長(岸本良一君) 豊洲市場に関します六点のご質問にお答えいたします。
まず、地下水モニタリングの今後の対応方針についてでございますが、これまで実施いたしました八回のモニタリングのうち、七回までは地下水基準以下でございましたが、今回、基準の超過を確認いたしました。
専門家会議の平田座長からは、現在は、土壌汚染対策後の地下水中の濃度の推移を確認している状況であり、今後の推移を見守るべきであるとのコメントをいただいております。
このため、継続して地下水モニタリングを実施し、推移を確認するとともに、できるだけ早期に専門家会議を開催し、今後の対応を検討していただくことを考えております。
次に、専門家会議以降のさまざまな問題についてでございますが、平成二十年七月に専門家会議が解散した以降に、不透水層内に汚染が確認されたことなど、さまざまなご指摘があることは承知しております。このうち、例えば、不透水層内でベンゼンが確認されたところにつきましては、底面管理調査を行い、汚染範囲を確定した後、対策工事におきまして掘削除去を行い、不透水層を復旧いたしました。
こうした状況につきましては、技術会議でも確認をいただいておりますが、ご指摘の点につきましては、いま一度、専門家会議で確認していただくこととしております。
次に、豊洲市場用地におけます有楽町層についてでございますが、ボーリング調査や地質調査の結果から、有楽町層は水を通しにくい粘性土層であることがわかっており、透水係数等から、土壌汚染対策法で規定する不透水層と同等の機能を有していると認識しております。
土壌汚染対策工事におきまして、底面管理調査を行い、不透水層の一部に汚染が確認されましたが、全ての区画におきまして不透水層内でとどまっており、それらは全て掘削除去し、不透水層を復旧しております。
このように、汚染は全て不透水層内でとどまっておりますことから、有楽町層は、全体として汚染されている可能性は低いと認識しております。
次に、操業由来の汚染の除去についてでございますが、豊洲市場用地での土壌汚染対策工事では、土壌汚染対策法に沿った汚染状況調査で確認された、ガス工場操業に由来する有害物質につきまして、土壌は掘削除去し、地下水は揚水、復水などにより環境基準となりました。平成二十六年十一月に、このことを技術会議で確認しております。
次に、東日本大震災による液状化の影響についてでございますが、震災直後に現場を確認した技術会議の委員の見解といたしまして、豊洲市場用地における噴砂、すなわち地盤の砂が水とともに地上に噴出する現象は、基本的に垂直方向の動きと考えられ、部分的で極めて小規模でもあるが、噴砂が生じた区画については、念のため対策工事に際し、安全確認する必要があるとの見解をいただきました。
このため、土壌汚染対策工事に際し、噴砂による影響を確認しながら対策を実施いたしました。今回、地下水モニタリングで基準超過を確認したことにつきましては、専門家会議等で調査、検証していただくこととしております。
最後に、操業由来の有害物質の台帳からの削除についてでございますが、専門家会議で操業由来の汚染とされ、掘削除去した区画につきましては、地下水モニタリングにおいて、二年間継続して地下水基準であれば、台帳に添付された区画ごとの汚染状況を示した一覧表から当該物質を削除することができると認識しております。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長塩見清仁君登壇〕
○オリンピック・パラリンピック準備局長(塩見清仁君) リオ大会視察の調査結果についてでございます。
リオ大会は、夏季の大会運営を直接学ぶことができる最後の機会でございました。このため、都は、IOC、IPC、リオ組織委員会が、オリンピック・パラリンピックそれぞれにおいて、次回開催都市等を対象に学習機会を提供するオブザーバープログラムに職員を派遣いたしました。
現地では、座学や視察により、大会関係者の円滑な輸送のための交通需要マネジメントや、駅、競技会場等で案内を行うボランティア活動、競技会場に至るアクセス経路でのバリアフリーの現状など、多岐にわたる分野について、大会運営の参考となる知見を得たところでございます
今後、視察結果を速やかに取りまとめまして公表するとともに、さまざまな観点からリオ大会の成果や課題を検証しながら、今後の大会準備に活用してまいります。
〔百一番尾崎大介君登壇〕
○百一番(尾崎大介君) 豊洲市場移転問題について再質問をいたします。
この盛り土の問題について、調査報告書は十分ではなく、知事の答弁にもあるように、都庁のガバナンスは欠如をしていると思います。これまで、私たちが一貫してきた、安全性の問題について質疑を行いましたが、市場長の答弁は、土壌汚染対策工事は全く問題ないというものであり、懸念があった不透水層や液状化についても、影響はないという認識を持っていると理解をしてよろしいんですかね。
多くの都民が心配をする中、私たちは、過去の工事も問題があったのではないかという認識を持って取り組む必要があると考えます。
改めて、過去の対策そのものを検証し直すべきと考えますが、市場長に再質問をいたします。
私は、この豊洲市場の移転問題については、格別の思いを持っております。当時、民主党でありましたけれども、二〇〇九年の都議選で、強引な移転は反対というフレーズを掲げて戦いました。今は、議席を持っていない仲間も含め、これまで多くの議員が、本会議や委員会を通じ、質疑を繰り返ししてまいりました。その答弁が虚偽であったとすれば、今まで費やした時間は一体何だったのかという強い憤りを覚えるものであります。
今後、当時の関係者の参考人招致を含め、経済・港湾委員会での集中審議、それで問題が解明をされなければ、まずは特別委員会の設置を初め、あらゆる手だてを講じて徹底検証していくという決意を述べて、再質問を終わります。(拍手)
〔中央卸売市場長岸本良一君登壇〕
○中央卸売市場長(岸本良一君) 尾崎大介議員の再質問にお答えいたします。
専門家会議が解散した以降、ただいまご指摘をいただいた点も含め、さまざまなご指摘があることは承知しております。
今まで答弁してまいりましたとおり、そうしたことについては、これまで技術会議等でもご確認をいただいておりますが、ただいまご指摘の点を踏まえまして、これらの点につきましても、いま一度、専門家会議で確認をしていただくこととしたいと考えております。
○六十七番(山内晃君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
本日の会議はこれをもって散会されることを望みます。
○議長(川井しげお君) お諮りをいたします。
ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(川井しげお君) ご異議なしと認め、さよう決定をいたします。
明日は、午後一時より会議を開きます。
本日はこれをもって散会いたします。
午後七時四十一分散会
________________________________________
都議会民進党は、選挙結果を厳粛に受けとめ、真摯に議論を尽くし、都民目線で都政改革に邁進をしていく所存でございます。その上で、都議会民進党を代表して、知事並びに関係局長に質問いたします。
初めに、豊洲市場移転問題について伺います。
私たちは、従来から一貫をして、都民の食の安全・安心を第一に、徹底した土壌汚染対策を求めてまいりました。平成十九年六月の代表質問では、土壌汚染対策法に基づく十メートルメッシュでの調査を提案し、八月には国に働きかけるなど、豊洲地区が土壌汚染対策法の対象となるように取り組んでまいりました。
また、同年九月には、汚染土壌の全面的な除去や地下水の管理徹底を求め、その後、法改正も含めて、これら土壌汚染対策が強化をされてまいりました。
しかし、九月二十九日公表の第八回地下水モニタリング結果で、五街区の三カ所において、環境基準値を超える有害物質が検出をされたことは極めて憂慮すべき事態であります。
今回のモニタリング結果は、この間の盛り土問題とも相まって、これまで都が行ってきた土壌汚染対策において調査が十分だったのか、汚染の移動や見逃しはなかったのか、対策工事は十分だったのか、手抜きや欠陥はなかったのかなど、徹底した検証が必要であります。安心・安全な状態でなければ、豊洲市場の開場を到底認めるわけにはいかないのは当然であります。
一方で、移転に向けて準備をしていた市場業者は経済的にも多大な損失をこうむっております。いまだに都から何の説明もなく、意見聴取もなく、先行きの見えない大きな不安を抱えております。
盛り土がされていなかったことについても、どの程度安全性に問題があるのか、どの程度対策を講じればいいのかなど、小池知事は早急に今後のロードマップを示していく必要があります。
開場延期を決めた知事は、今回の地下水モニタリングにおける環境基準値超えという結果を含め、豊洲市場移転問題についての今後のスケジュールや方針について、どのように考えているのか、見解をお伺いいたします。
地下水モニタリングの結果について、東京都は、協議会や専門家会議及び市場問題プロジェクトチームにおける検証を踏まえ、適切に対処をするとしておりますが、基準値超えの汚染については、早急に対応方針を示していくべきであります。
私は、今回の結果を深刻に受けとめる立場から、早急に専門家会議を開催し、原因の特定や必要な対策などについて対応方針を示すべきと考えますが、見解を伺います。
このような事態が生じた今、そもそもなぜ生鮮食品を扱う市場の移転先として、ガス工場の跡地として選ばれたのか、その経緯を改めて検証する必要があります。九月二十九日に開催をされた市場問題プロジェクトチームでも、築地市場から豊洲市場への移転の経緯を議題として、附属資料では土地購入の経緯にも焦点を当てております。
東京ガスとの交渉経過については、二〇一〇年三月十八日の経済・港湾委員会において、我が会派の議員が取り上げております。
当時の交渉のやりとりを情報公開請求いたしますと、ほとんど多くが全面黒塗りであります。このパネルを見ていただければわかると思いますけれども、ほとんど会議の内容は黒塗りでありまして、この二枚目なんかはもう括弧しかないような状態であります。このほとんどが全面黒塗り、こうしたものが、これは情報公開が有名無実化されているのであります。
委員会の質疑の中で、東京都は、東京ガスと、いつ、どのような内容を協議したかという記録が残っていると答弁をし、議員も破棄をせずに全て保存するよう要請をしております。東京ガスとの交渉では、用地取得費だけではなく、七十八億円の土壌汚染対策費など、さまざまな疑念が寄せられております。
そこで、東京都と東京ガスとの交渉経過を黒塗りでない状態で情報公開をするとともに、検証すべきと考えますが、知事の見解をお伺いいたします。
今回の環境基準値超えの調査結果を受けて、私は、二〇〇八年七月二十六日の専門家会議解散以降発覚をした問題について、改めて検証を求めたいと思います。
例えば、私たちは、二〇〇九年二月の代表質問において、絞り込み調査の結果を受け、汚染の拡散を防ぐと説明をされてきた不透水層に穴があり、その穴を通じて汚染が拡大をしているのではないかと指摘をしてまいりました。
また、二〇一二年九月の代表質問では、不透水層内からも多くの地点で操業由来のベンゼンが確認をされ、しかも最大濃度は環境基準の一千倍、最大で六メートル掘り進んだところからも汚染が確認をされたことからも、懸念を申し上げてまいりました。
私は、これらの専門家会議の解散以降に発覚をしたさまざまな問題についても、改めて知事が再招集をした専門家会議で検証すべきと考えますが、見解を伺います。
中でも、東京都は、粘土層を形成している有楽町層、これは水を通しにくく、汚染をされている可能性は低いと再三答弁を繰り返してきましたが、今でもその認識は変わらないと考えていいのか、改めて答弁を求めます。
また、都は、これまで私たちの質問に対して、ガス工場操業由来の汚染物質については全て掘削除去すると答弁をしてまいりました。しかし、今回、環境基準値を超える汚染物質が検出をされたことで、掘削除去が不十分だった可能性があります。
そこで、都は、現在もなお操業由来の汚染物質は全て掘削除去したといい切れるのか、見解を伺います。
私たちは、二〇一一年六月二十三日の代表質問で、東日本大震災による液状化によって、汚染の移動や拡散はないのかとの懸念を申し上げてまいりました。今回、環境基準を超える汚染物質が検出されたことについて、液状化の影響はなかったのか、現時点で、どのような理由であると考えているのか、見解を伺います。
また、指定区域の解除について、東京都は、操業由来の区域については、汚染土壌を除去し、地下水汚染が生じていない状態が二年間継続していることを確認することで、形質変更時要届け出区域の指定を解除していくと答弁をしておりました。法改正以降は、二年間のモニタリングで、台帳から操業由来の汚染物質を削除するといった記載事項の変更をするという旨を答えております。
そこで、環境基準を超える汚染物質が二年間のモニタリングで継続して検出をされなければ、豊洲地区で指定をされた形質変更時要届け出区域の台帳から操業由来の汚染は全て削除をされる状態になると考えていいのか、見解を伺います。 また、二年間の地下水のモニタリングというのは、形質変更時要届け出区域の台帳から、操業由来の汚染を削除するために必要な手続であります。知事は、安全性の懸念から豊洲延期を決めましたが、知事は何をもって豊洲が安全であるとみなすのか、豊洲の安全宣言について、知事の見解をお伺いいたします。
過去にさかのぼって、こうして質問せざるを得ないのは、盛り土問題で欺かれたからといっても過言ではありません。自己検証報告書にもありますが、予算特別委員会では、二〇一二年三月十四日、同じく三月二十六日、翌年は三月十二日、三月二十五日と四回にわたり歴代市場長が私たちの質問に答えております。これはわかりやすくちょっとパネルにしたんですけれども、二〇一三年三月十二日の市場長の答弁で、ガス工場操業地盤面から下二メートルの土壌を、汚染の有無にかかわらず全てきれいな土と入れかえることに加え、さらに二・五メートルをきれいな土で盛り土をするといったものであります。これをまさに虚偽答弁といわずして何というのか。
私たちは、こうした答弁を前提とし、市場移転の議論を進めてきましたが、このようなでたらめは、都民の信頼を損ねる大問題であり、断じて容認をできるものではありません。
いつ、誰が、どのような理由で盛り土をしないことを決めたのか。九月三十日の自己検証報告書は、責任の所在が明確ではなく、不十分であります。内部通報制度だけでは、盛り土問題での確実な成果は期待できません。内部の調査で限界があるならば、私は、外部の専門家に依頼するなどして経過の検証を行うべきと考えます。いつまでに、そして、どのようにして責任の所在を明らかにするのか、知事の見解をお伺いいたします。
私たちは、昨年秋以来、都に対して豊洲市場の視察を何度も求めてまいりました。そして、ようやく視察が実現したのは九月の十二日、一年近くもかかっております。しかも、都は、動画の撮影を拒否、その後も、専門家の同行や水などの採取を拒否、加工パッケージ棟や管理棟の視察も拒否をしてきました。とりわけ管理棟の引き渡しは五月に終わっており、断る理由が全くわかりません。
これだけ都民の関心事になっているにもかかわらず、都民の代表である私たちの視察を拒否してきたことは、まさに言語道断であり、隠蔽体質、情報隠しそのものであります。小池知事の情報公開の姿勢は、まだまだ都政の隅々まで行き渡っていないのではないでしょうか。
私は、東京都に対する都民の信頼を回復していくためにも、情報公開の徹底が欠かせないものと考えますが、見解を伺います。
次に、オリンピック・パラリンピックについてお伺いをいたします。
森組織委員会会長は、東京大会の予算が七千三百四十億円から二兆円に膨れ上がるとの見通しを示す一方で、ロンドン大会やソチ大会の経費の事例を挙げて、当然のこととの認識を示しました。しかしながら、都議会民進党は、大会費用の膨張は大きな問題であると認識をし、東京都や国、組織委員会に対して情報公開や説明責任、費用の削減を求めてまいりました。
こうした中で、都政改革本部は、三つの恒久施設の会場変更や規模縮小などの見直しを提案しました。これはIOCが示した経済、環境に負荷の少ない大会運営を行うとの改革計画書に沿った取り組みと理解をいたしますが、既に整備が邁進している施設もございます。今後、都は海の森水上競技場などの恒久施設への提言に対して、いつ、どのように結論を出すのでしょうか。
また、三施設の設計の変更や会場変更ともなれば、アスリートファーストを第一に掲げられている知事として、国際競技団体や国内競技団体を初めJOCや選手からの意見聴取はもとより、大会までの準備スケジュール、建設中止による契約手続などの影響に対してどのように対応していくのか、見解を伺います。
次に、組織委員会の情報公開であります。
組織委員会に対する都の出資は五十八億五千万円、比率で九七・五%に上りますが、都が指導監督する監理団体からは除外をされております。しかしながら、小池知事は、組織委員会も都の外郭団体であることに変わりはないと述べ、都政改革本部での調査対象にしております。
私は、組織委員会の財政を保証している東京都は、当然、大会運営にも責任を持っており、そのため、組織委員会への関与を強め、積極的に情報公開を進めるべきだと考えております。
東京都は、組織委員会に対する関与を強めることで情報公開を徹底させていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
次に、リオ大会視察の調査結果活用であります。
アスリートの活躍と観客の情熱的な応援が世界に感動を与えたリオ大会が閉幕をし、東京大会まであと四年を切りました。リオ大会へは、オリンピック・パラリンピック準備局だけでも延べ百三十六人の職員が現地を視察いたしました。知事も、両大会の閉幕式に出席をし、大会旗を受け取り、開催都市の責任の重さを感じたと所信表明で述べられました。
そこで、大会視察の調査結果を報告書として取りまとめ、都議会や都民に公開し、東京大会に大いに反映をすべきと考えますが、見解を伺います。
次に、パラリンピックで目指す共生社会であります。
大会開催都市として障害者への理解やユニバーサルデザインのまちづくりは、重要な課題であります。パラリンピック運動は、社会変革という大きな理念を持っており、日本や東京が共生社会へと変わる契機としてしっかり取り組むべきと考えます。
パラリンピックを見据え、ユニバーサルデザインのまちづくりや人を気遣い、声をかける心のバリアフリー施策を推進し、性別や障害の有無、国籍などにかかわらず、誰もが暮らしやすい共生社会を実現させるべきと考えますが、知事の見解をお伺いいたします。
次に、受動喫煙防止対策の推進であります。
二〇二〇年の東京大会に向けて、受動喫煙防止対策を強化することが必要です。私たちはその前年、ラグビーワールドカップ開催に前倒しをして条例制定を行うべきと求めてまいりました。
知事も、健康寿命延伸のために、受動喫煙防止対策を推進すると公約に掲げて、所信表明でも、IOCが掲げるスモークフリーの精神を重要だとして、オリンピック・パラリンピックのホストシティーとしての責任や都民の健康増進の観点から対策を進めていくべきと述べております。
世界的なスポーツ大会に向けて受動喫煙防止条例を制定すべきだと考えますが、知事の見解を伺います。
次に、知事の基本姿勢について伺います。
都政の重要課題は、豊洲市場の移転問題やオリンピックだけではありません。
都議会民進党は、繰り返し、二〇二〇年オリンピック・パラリンピックは通過点であり、都政を進める上ではその先の未来のビジョンや都民の幸福を実現する道筋を明らかにしなければならないと主張してまいりました。子供たちの未来にどんな東京をバトンタッチできるのか、いかに都民生活の質を高め、豊かさを実感できる都市とするのか、開かれた場で英知を集めて議論をしていかなければなりません。
先日の所信表明において、小池知事は二〇二〇年に向けた実行プランを年内に策定し、ビヨンド二〇二〇を描いていくとされました。小池知事は、実行プランの策定を通して、二〇二〇年の先の東京のために何を最も大事にして取り組んでいこうとしているのか、基本姿勢をお伺いいたします。
我々が一貫して都政に求めてきたことの一つに、社会の中で弱い立場にある人たちへの支援があります。平均年収百七十万円という正規雇用の三分の一にも満たない非正規雇用労働者の実態、将来の格差にも直結する子供の貧困、教育格差といった、今、都民が直面をしている厳しい現実に対し、国に先んじてでも手だてを講ずることが都政の重要な使命であります。
貧困、格差の拡大、不安定雇用の増加といった社会の中で弱い立場にある人への支援について、知事としてどのように認識をし、対応しようとしてるのか、見解を伺います。
次に、都財政の基本認識について伺います。
都財政は富裕であるとの認識が一般的ですが、都財政が健全性を保っているのは、かつて財政再建団体への転落が危ぶまれるという危機に直面をし、財政再建に努力を重ねてきたからであります。
本年の予算特別委員会でも私たちが指摘をしておりますが、時には一兆円にもなる税収減を経験しています。今後ますます高齢化が進む中でも実行していくべき施策を考慮すると、知事の所信表明にもあったとおり、都財政は決して予断を許さない状況であります。
私は、新しい政策を実行するためにはスクラップ・アンド・ビルドを原則とするのが私たちの子供世代に対する責任ある態度であると考えます。
小池知事は、二十九年度予算の見積もり方針として、全ての事業に原則として終期を設け、補正予算においても終期を示した事業を掲示されました。知事は都財政についてどのように認識をし、予算編成に臨むのか、お伺いをいたします。
次に、都政改革と情報公開について伺います。
知事は、情報公開を標榜し、早速、重要会議の公開、中継を実行しており、その姿勢を評価するものであります。先日の都政改革本部会議では、都庁の自律改革として、政策決定過程の見える化、予算編成過程の透明性向上に取り組むと報告をされました。 また、調査チームからは、二〇・八%という黒塗りの多さを課題と捉え、非開示判断の厳格化を直ちに実施するとの報告が行われました。我々がこれまで求めてきたとおり、都民目線での改革を推進し、舛添問題で失墜をした都政の信用と信頼を回復するためには、情報公開が極めて重要であります。
知事がノリ弁と称したように、一面黒塗りをされているような文書では、情報公開が意味を持たないことは論をまちません。前知事の高額な海外出張問題を受け、都は、知事の海外出張経費に限って内訳を公開することといたしましたが、文書開示の原則そのものを見直したわけではありません。
また、情報公開制度の前提として欠かせないのが適切な公文書の管理であります。都合の悪い文書は恣意的に不存在、廃棄済みとされることのないよう、どの文書を何年保存するのか、後日検証が可能なように、文書を作成、保存するため、公文書についてしっかりとルール化をする必要があります。 公文書管理条例の制定、東京都情報公開条例の改正、情報公開指針や運用の見直し、さらには政策決定過程の情報公開も含め、小池知事によって都の情報公開がこれまでとどのように変わるのか、具体的に示していくことが必要と考えますが、透明性の高い都政の実現に対する知事の見解を伺いたいと思います。
知事は、就任早々、都政改革本部を立ち上げ、十六人の特別顧問等を任命。本部にはオリンピック・パラリンピック、情報公開のチームに加えて、内部統制についてのプロジェクトチームを設置いたしました。内部統制については、これまで都庁が行ってきた行政評価や予算編成にも切り込むのか、監理団体などの契約、入札、交際費についての情報公開、天下りなど、小池知事の手腕に注目が集まっております。
私たちは、行政評価や監理団体の経営評価について、みずから厳しく律することはもちろん、第三者の目を入れたチェックが必要であると主張をしてまいりました。個別の調査に加えて第三者の目を入れるなど、評価やチェックの仕組みづくりも必要と考えますが、都政改革本部において、知事が描く改革の中身について見解を伺います。
次に、知事給与を半分に減額する知事給与の特例条例についてお伺いをいたします。
私は、都民の大きな支持を得て選ばれた小池知事の公約でもあり、給与について、基本的には知事の意向を尊重したいと思っております。
しかし一方で、知事の報酬は、みずからがその報酬を上げたり下げたりすることができないよう、東京都知事が審議会に諮問をし、決める仕組みとなっております。その審議会答申は、東京都の特別職の報酬等について、本来その職務と責任に対応することが必要であると述べております。
所信表明ではこうした点について詳しい言及はありませんでした。そこで、小池知事の報酬についての考え方、自身の報酬を減額する特例条例を提案した目的、理由についての詳細、さらには、知事のいう改革にどういう効果をもたらそうとしているのか、見解を伺います。
次に、子育て、教育について伺います。
今定例会には、新知事就任後早々に編成された補正予算案が提案をされております。待機児童の解消や子育て支援に特化した内容となっており、施策を一歩前進させるものとしておおむね評価するものであります。
現状の待機児童対策では、保育所の供給が新たな需要を呼び起こす点が課題であり、今後の子育て支援、家庭と仕事の両立支援など、包括的なパッケージでの施策が欠かせません。こうした点について、私たちが繰り返しいい続けてきたことであります。この補正予算を、すぐ効く、よく効く対策として機能させ、早期に待機児童ゼロを実現していくことが肝心であると考えますが、知事の見解を伺います。
なお、今回の待機児童解消緊急対策では盛り込まれておりませんが、都のさらなる独自支援策として、保育士の賃金を引き上げる処遇改善策に積極的に取り組むことを強く求めておくものであります。
次に、潜在的ニーズも含めた待機児童対策です。
私たちは、都が潜在的ニーズを含めた待機児童数を把握して対策に取り組むべきと訴えて、十八項目の緊急要望を申し入れしました。
今回、国が初めて公表をした資料によって、都内の待機児童八千四百六十六人のほか、認可保育所に申し込んだが入れずに育児休暇を延長した人や、特定の保育園等のみを希望している人、求職活動を休止した人の子供が七千九百六十六人いることがわかりました。こうした待機児童への対策が重要であります。
国は待機児童の定義を見直す検討会を立ち上げており、今後、都においても取り組みが求められます。都内の潜在的ニーズも含めた待機児童を把握して、根本的な待機児童解消に向け、取り組みを進めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
次に、都独自の給付型奨学金であります。
貧困問題と教育を考える上で奨学金の役割は大きいものがありますが、就職難や非正規雇用による低収入などで、二〇一四年度末、都において十億八千百万円もの高校奨学金の返済が滞っております。
これまで私たちは、都の貧困実態調査の分析を踏まえ、高校生を対象として東京都版給付型奨学金を創設すべきと代表質問でも提案してまいりました。
知事は、所信表明において、家庭の経済状況が子供たちの将来の希望を閉ざすことがあってはならない、都独自の給付型奨学金について検討を進めると述べられたことは評価をいたします。
今こそ、子供の貧困の解消に向けて、都独自の給付型奨学金を創設すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
最後に、調布飛行場周辺墜落事故への真摯な対応について伺います。
七月二十六日、私の地元の調布飛行場周辺の住民の皆さんが亡くなった被害者に黙祷をささげました。事故発生から一年二カ月がたとうとする中、国の運輸安全委員会による事故調査結果がまだ出ていないだけではなく、被害者への補償も一向に進んでおりません。
当たり前のことではありますが、今後こうした状況で自家用機の飛行を再開し、再び事故が起きてしまったら一体どうするのか、墜落事故に対する都の責任を明確化していかねばなりません。
都は、自家用機所有者などに対し、航空機保険の第三者損害賠償責任保険などへの加入を義務づけること、調査結果が出るまでの間の救済を肩がわりすることなど、被害住民を迅速に救済する制度を関係機関と連携し構築をすべきであります。
先日、都は事故原因が不明な中にもかかわらず、調布、府中、三鷹の地元三市での六月の住民説明会において、必要最低限の自家用機の運航を認める方針を発表し、住民から大きな反発の声が上がりました。
八月、調布市は、自家用機の運航自粛要請を継続して行うべきとの要望を行いました。九月十六日には、調布飛行場周辺三町地域協議会からも、事故原因が究明をされるまでの間、自家用機の運航自粛などを求める七千百三十六名の署名が知事宛に提出をされております。知事においては、被害者である都民に寄り添い、ぜひ調布飛行場を視察していただきたいと考えます。
私は、事故原因が解明されるまでは自家用機の飛行中止を求め、その後改めて今後の安全対策を打ち出すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
以上で私の代表質問とし、なお、答弁によっては再質問を留保いたします。
ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕
○知事(小池百合子君) 尾崎大介議員の代表質問にお答えをさせていただきます。
まず、豊洲市場への移転についてのご質問でございます。
豊洲市場の食の安全については、これまでも生活者の目線、都民ファーストの感覚を大切にしなければならないと述べてまいりました。今回、地下水モニタリングにおいて基準を超える数値の報告を聞いたときには、私も驚きましたが、まずは、現在実施中の二年間の地下水モニタリングを着実に継続していく、そして専門家会議や市場問題プロジェクトチームにおいて、安全性についての調査、検証を行ってまいります。
移転に当たりましては、市場関係者や都民の皆様方に安心していただけるように、正確な情報をわかりやすく説明することが不可欠であります。こうした努力を重ねた上で、総合的に判断をしてまいります。
次に、市場移転の経緯の情報公開のご質問でございました。
盛り土につきましては、事実と異なった、誤った説明が続いていた、このような事態を二度と繰り返してはなりません。そのためにも、都政の見える化に向けた情報公開の徹底が不可欠と考えております。
市場移転の経緯につきましても、今後、原則開示を徹底いたしまして、個人情報や企業の事業活動情報などにも配慮をしながら、相手方との協議の上で非開示部分を最小限にしてまいりたいと考えております。
豊洲市場の安全性についてのご質問でございます。
豊洲市場につきましては、地下水モニタリングで、先ほど申し上げたように基準超過を確認したこと、盛り土がなされていなかった問題など、一つ一つ確実に検証していくことが重要でございます。
このため、専門家会議や市場問題プロジェクトチームにおきまして、これらの問題について調査、検証を重ねてまいります。その上で、安全性について判断をさせていただきます。
そして、盛り土がなされなかったことに関する検証についてのお尋ねでございます。
都はこれまで、盛り土について、議会の皆様や都民、市場関係者に対しまして、事実と異なる答弁や説明を行ってきたところでございます。極めて残念なことでございます。
問題発覚後、直ちに自己検証を指示し、先日、その報告を受けたところでありますが、ご指摘のように十分とはいえません。
今回の事態を招いた最も大きな要因として、ガバナンス、責任感の欠如がございます。まさに都庁という組織が抱える問題が根源に横たわっているといえます。中央卸売市場だけでなくて都庁全体の問題として捉え、都の職員がみずから向き合い、その原因を明らかにして解決に向かっていく、自律改革につなげていく必要があると思います。
本件に関しましては、今後、個人の特定を引き続き進めまして、公益通報制度等も活用しながらも、さらに情報収集を進めてまいりたいと考えております。
情報公開の徹底でございますが、先ほども述べたとおり、都政に対する信頼の回復を図っていくためには、まず都政の見える化に向けた情報公開の徹底は不可欠でございます。
豊洲市場の安全性に関しましては、専門家会議や市場問題プロジェクトチームが行う議論につきまして、都民、市場関係者などに対して広く公開をしてまいります。そして今後、正確な情報をタイミングを逸することなく、広く発信していくように徹底してまいります。
調査チームからの提言への対応についてのご指摘がございました。
こちらから、オリンピック・パラリンピックに関してでございますが、都政改革本部調査チームからは、施設建設計画の見直しについて複数の選択肢をいただいたところでございます。
二〇二〇年大会までに残された時間は少のうございます。早急に検討を進め、現在、計画が進んでおります海の森水上競技場などの三施設へのさまざまな対応も含めまして、アスリートファーストと税金の有効活用の観点から、総合的に判断をしてまいり、そしてその検討に当たりましては、組織委員会や国内、国際競技団体、アスリートの皆様方などと十分な意見交換に努めてまいる所存でございます。
組織委員会の情報公開についてのご質問がございました。
都民ファーストの都政を進めていくために、あらゆる情報を原則公開することは極めて有効だと考えております。
このたび、都政改革本部の調査チームから、オリンピック・パラリンピックについてさまざまなご提言をいただきました。そして、その中でも情報公開の重要性が指摘されたところでございます。
大会の成功に向け、オリンピック・パラリンピックに対する都民、国民の理解や協力を得ていくためにも、都庁内はもとより、組織委員会の運営につきましても、より一層透明化を図ることは重要と考えております。また、組織委員会に対しましても、東京都として、さらなる積極的な情報公開を求めていきたいと考えております。
パラリンピックを見据えた共生社会の実現についてのお尋ねがございました。
女性も、男性も、子供も、高齢者も、障害者も、国籍を問わず、誰もが生き生き生活ができる、活躍ができる都市、そのようなダイバーシティーが私の目指す、誰もが暮らしやすい共生社会でございます。
オリンピック・パラリンピックの精神は、人々の多様性を認め合い、あらゆる違いを超えてつながり合うことであります。私は、東京大会こそ、ダイバーシティーを実現するための大きな契機としていきたいと考えております。
リオデジャネイロのパラリンピック大会を見ますと、選手や観客が障害の有無、国籍、文化の違いなどを乗り越えて会場が一体となっておりました。大変すばらしく、感動したところでございます。
東京大会を成功させるためにも、私は、施設や道路、交通機関などのバリアフリー化はもとより、教育やボランティア活動を通じた障害者への理解の促進など、心のバリアフリー施策を推し進め、ハード、ソフトの両面からユニバーサルデザインのまちづくりを進めてまいりたいと考えております。
受動喫煙防止対策でございます。
私は、オリンピック・パラリンピック開催都市の知事として、IOCが唱えているスモークフリーの精神は重要なものだと考えております。
現在、国でも、内閣官房を中心とした検討チームが設置され、受動喫煙防止対策の強化に向けた検討を行っていると聞いております。
都といたしましても、大会のホストシティーとしての責任や都民の健康増進の観点から、受動喫煙防止対策を一層進めてまいりたい。その中で、条例化についても、国の動きを踏まえながら総合的に判断してまいりたいと考えます。
続いて、私、知事の基本姿勢についてのご質問でございます。
実行プラン策定への基本姿勢についてでございます。これは、二〇二〇年に向けた実行プランについてでございます。
都民のため、都民の利益を最大化し、都民ファーストの都政を構築する。そして、新しい東京を都民とともにつくり上げる。これが、私が目指す東京都知事としての使命、役割でございます。目指すものでございます。
こうした考えを具体化するために、二〇二〇年に向けた実行プランで、東京二〇二〇大会の成功と、その先の東京の未来への道筋を示すとしたところでございます。そして、三つのシティー、つまりセーフシティー、ダイバーシティー、スマートシティーの三つのシティーを実現をすることによって、東京の課題を解決し、成長性の創出に取り組んでまいります。
まず、都民が安心して生活できるセーフシティーでございます。首都直下地震への備えなど、対策を強力に推し進めてまいります。
誰もが生き生きと活躍できるダイバーシティーの実現に向けては、待機児童の解消などの課題解決を加速させてまいります。
そして、三つ目、スマートシティーでございますが、国際金融都市東京の実現やIoTなど、今後の成長分野の発展に向けた政策を積極的に展開をして、日本の成長の牽引役であり続ける首都東京を目指してまいります。
これらの大義ある政策を前面に打ち出しまして、それに加えて、都民の皆様方の共感を得て進めることで、そして、都民の誰もが希望を持って、きのうよりきょう、きょうよりあしたの方がきっといいと信じられる、そんな希望を持ちながら、日本の未来を明るく照らすサステーナブル、持続可能な首都東京をつくり上げてまいりたいと考えております。
昨日は、名誉都民の顕彰式がございまして、ノーベル賞を受賞された大村智先生とお話をする機会がございました。そして、きのう飛び込んできたニュースが、また連続して日本からノーベル賞受賞者を出したことでございます。こういった希望をつくるためにも、教育、そしてまた、持続可能なまち、それがベースになって人材が、すばらしい人材の育成につながってくるものだと改めて感じたところでございます。
そのような観点から、三つのシティーをしっかりと実現してまいりたいと考えているところでございます。また、ノーベル賞を受賞されました大隅先生には心から敬意を表し、また祝福の言葉を申したいと思っております。
社会の中で弱い立場にある人への支援についてのご質問がございました。
都民が置かれている状況というのは個々さまざまでございまして、その誰もが生き生きと生活をし、活躍できる環境なくして、東京の明るい未来は築けないものでございます。そのために、特に社会の中で弱い立場にある方々への支援にしっかりと取り組んでいく必要がございます。
例えば、高齢者や障害者の方々について、医療や介護などの基盤を整える、さらには雇用の場となるソーシャルファームをふやすなど、もっと社会に貢献したいという思いに応えることも重要と考えます。
あるいは、将来の東京を背負う子供たちについては、家庭の経済状況により教育の格差が生じては、将来の格差にもつながりかねません。都独自の給付型奨学金の検討を進めるなど、格差を打開する手だてを講じていかなければならないと考えております。
そして、都民の生命と財産を守るべき都知事として、都民一人一人の生活の細部にまで目配りをする、心配りをする、そして、目指すべきダイバーシティーを実現してまいりたいと考えております。
そして、都財政についての認識と予算編成についてのご指摘がございました。
歳入の約七割を占めます都税収入でございますが、足元では堅調に推移しているものの、リーマンショック後の平成二十一年度には、一年間で約一兆円の大幅な減収に見舞われるなど、そもそも都の財政は不安定な構造にあるわけでございます。今後の景気動向、そして国際情勢、さらには、今後の各国の金利政策による影響など、引き続き注視が必要でございます。
そして、こうした中にありましても、都民と約束した新しい東京をつくり上げるためには、これを支えていく強固な財政基盤は欠かせません。そのためにも、平成二十九年度の予算編成に当たっては、東京が抱える課題解決に向けまして積極果敢に取り組むと同時に、全ての事業に終わりの時期、終期を設定して事業評価による検証を行うなど、あくまでも都民ファーストの視点に立ちまして、新しい東京の未来に向けた改革を進めてまいります。
知事の基本姿勢についてでありますが、透明性の高い都政の実現についてのご指摘がございました。
都政の透明化を進める上で何よりも重要なことは、情報公開の推進と考えます。そのためには、都庁全体の意識改革を図ることから始めなければなりません。
そこでまず、今般の都政改革本部の模様は、ご指摘のようにインターネットで中継をし、また会議資料も迅速に公表するなど、都政の課題についての検討過程の透明化を始めたところでございます。
本部には、まず、情報公開調査チームを設置したわけでございまして、そこで検討された方針のもとで、審議会のさらなる公開など、各局においても、早速、積極的な情報発信に向けた自律改革をスタートしたところでございます。また、公文書の開示請求に対しては、情報公開条例に定められた原則開示の趣旨にのっとるよう、改めて各局に徹底を始めたところでございます。
都民ファーストの観点から、このような情報公開の取り組み及び公文書の適正な管理を都庁の隅々にまで浸透させることで、透明性の高い都政を実現してまいりたいと考えております。
私の目指す東京大改革の肝でございますが、都政を透明化、見える化する、そして都民ファーストの都政を実現することにございます。
そのためには、職員の一人一人が、みずから改革の担い手となって積極的に情報公開を行う姿勢を持ちながら、仕事の進め方を見直していかなければならないと考えます。
こうした都庁の自己改革精神を呼び覚ます装置として設置いたしましたのが、私自身が本部長を務め、かつ各局長が本部員となっている都政改革本部でございます。
現在、客観的な第三者の視点を持つ特別顧問等を任用いたしまして、その助言も、アドバイスも受けながら、各局が所掌事業について、改めてみずから評価、点検をして課題を抽出し、解決策の構築を行うように自律的な改革を進め始めたところでございます。
今後、この本部を土台としまして、これまでの延長線ではない改革を不断に進めることによって、失われた都政に対する信頼、この都民の信頼をもう一度確保してまいりたい、このように決意しているところでございます。
それから、知事の給与の減額についてのご質問でございます。
今回の減額は、都民の皆様と私がお約束した選挙公約の一つでありまして、今後の都政改革に向けた決意と姿勢を示すために、私の選挙公報にも明確に示したところでございます。
また、現在、都政改革本部を立ち上げ、各局が本部と連携して自律的な改革を進めるなど、さまざまな取り組みに着手をしたところでございます。
給与減額という身を切る強い決意でございます。そして、本部での取り組みの推進が庁内に改革マインドを根づかせる、これまでの延長線ではない改革が実現できる、それは、知事みずからが身を切って初めてスタートするものだと考えているところでございます。
なお、知事の本来の給与水準は、毎年、民間のベースアップ等を考慮いたしました審議会答申を踏まえた上で、都議会における審議をもって決定をされているところでございまして、適切なものと考えております。
補正予算案についてご質問がございました。
待機児童の問題は、すなわち東京問題といいかえてもよいかもしれません。都民にとって優先度は高く、早急に進めていく必要がある問題でございます。
私は、さきの選挙戦を通じまして、また、知事就任後も保育所に足を運んで、子育て世代の方々の強い思いや、現場で働く保育士の方々の声にも数多く触れてきたわけでございます。こうした声を受けまして、すぐ効く、よく効く対策を打ち出して、一日も早く実感できる効果を上げていかなければならない、そういった強い思いから、今回の補正予算案を編成したところでございます。
補正予算案は、十一事業に百二十六億円を計上いたしました。特に、区市町村や事業者の取り組みを加速させるため、年度内の着手に対しましては、より手厚い支援を行う工夫を凝らしたところでございます。これにより、今年度中に一万七千人分の保育サービスを整備し、待機児童解消へとしっかりとつなげてまいりたいと考えております。
そして、その待機児童の解消に向けた取り組みについてのさらなるご質問でございます。
先月取りまとめたこの緊急対策では、待機児童解消に向けた取り組みの第一弾として、年度内に一万七千人分の保育サービスを整備することとしたわけでございますが、年内に作成する実行プランにおきましては、保護者のニーズ、区市町村の計画、就学前児童人口の推移などを踏まえまして、保育サービスの利用率が現在四一%でございますけれども、五〇%になっても対応できるように、今後四年間の整備目標を定めます。
そして、そのための新たな支援策は、国の動向なども踏まえまして、平成二十九年度の予算案に反映していく考えであります。
今後とも、区市町村と連携しながら、待機児童の解消に取り組んでまいる所存でございます。
都独自の給付型奨学金についてのご質問でございます。
将来を担う子供たちの教育機会は平等であるべきであり、経済の格差が将来の希望の格差につながることがあってはなりません。
都は、現在、高等学校の授業料について、国の就学支援金を支給するとともに、私立高校生に対しては、特別奨学金により支援を行っております。また、低所得世帯を対象として、授業料以外の教育費についても奨学給付金を支給いたしております。
これらの支援制度や、今年度実施しております子供の貧困に関する実態調査も踏まえまして、都独自の給付型奨学金について、今後、速やかに検討を進めてまいります。
こうした取り組みを通じまして、誰もが希望する教育を受けられる、生まれ育った環境に左右されることのない東京を築いてまいりたいと思います。
最後のご質問でございますが、調布飛行場の自家用機の運航についてのお答えでございます。
調布飛行場は、本土と島しょとを結びます離島航空路の重要な拠点でありますけれども、市街地の中の飛行場でありますために、その運営に当たっては、地元住民の理解、ご協力を求めていくことが重要であると私も認識をしております。
都は、昨年七月の重大事故発生以降、調布飛行場の自家用機に対しまして運航の自粛を要請していると同時に、安全対策の強化についても、国や地元市とも協議をしてまいりました。
先般、お受け取りいたしました調布飛行場の運営に関する七千人を超える方々からの署名つき要望書を重く受けとめておりまして、今後、自粛要請を継続するとともに、安全対策の強化や適正管理の徹底を図っていく所存でございます。
よろしゅうございますでしょうか。
なお、そのほかの質問、残余のご質問につきましては、関係局長からご答弁をさせていただきます。
〔中央卸売市場長岸本良一君登壇〕
○中央卸売市場長(岸本良一君) 豊洲市場に関します六点のご質問にお答えいたします。
まず、地下水モニタリングの今後の対応方針についてでございますが、これまで実施いたしました八回のモニタリングのうち、七回までは地下水基準以下でございましたが、今回、基準の超過を確認いたしました。
専門家会議の平田座長からは、現在は、土壌汚染対策後の地下水中の濃度の推移を確認している状況であり、今後の推移を見守るべきであるとのコメントをいただいております。
このため、継続して地下水モニタリングを実施し、推移を確認するとともに、できるだけ早期に専門家会議を開催し、今後の対応を検討していただくことを考えております。
次に、専門家会議以降のさまざまな問題についてでございますが、平成二十年七月に専門家会議が解散した以降に、不透水層内に汚染が確認されたことなど、さまざまなご指摘があることは承知しております。このうち、例えば、不透水層内でベンゼンが確認されたところにつきましては、底面管理調査を行い、汚染範囲を確定した後、対策工事におきまして掘削除去を行い、不透水層を復旧いたしました。
こうした状況につきましては、技術会議でも確認をいただいておりますが、ご指摘の点につきましては、いま一度、専門家会議で確認していただくこととしております。
次に、豊洲市場用地におけます有楽町層についてでございますが、ボーリング調査や地質調査の結果から、有楽町層は水を通しにくい粘性土層であることがわかっており、透水係数等から、土壌汚染対策法で規定する不透水層と同等の機能を有していると認識しております。
土壌汚染対策工事におきまして、底面管理調査を行い、不透水層の一部に汚染が確認されましたが、全ての区画におきまして不透水層内でとどまっており、それらは全て掘削除去し、不透水層を復旧しております。
このように、汚染は全て不透水層内でとどまっておりますことから、有楽町層は、全体として汚染されている可能性は低いと認識しております。
次に、操業由来の汚染の除去についてでございますが、豊洲市場用地での土壌汚染対策工事では、土壌汚染対策法に沿った汚染状況調査で確認された、ガス工場操業に由来する有害物質につきまして、土壌は掘削除去し、地下水は揚水、復水などにより環境基準となりました。平成二十六年十一月に、このことを技術会議で確認しております。
次に、東日本大震災による液状化の影響についてでございますが、震災直後に現場を確認した技術会議の委員の見解といたしまして、豊洲市場用地における噴砂、すなわち地盤の砂が水とともに地上に噴出する現象は、基本的に垂直方向の動きと考えられ、部分的で極めて小規模でもあるが、噴砂が生じた区画については、念のため対策工事に際し、安全確認する必要があるとの見解をいただきました。
このため、土壌汚染対策工事に際し、噴砂による影響を確認しながら対策を実施いたしました。今回、地下水モニタリングで基準超過を確認したことにつきましては、専門家会議等で調査、検証していただくこととしております。
最後に、操業由来の有害物質の台帳からの削除についてでございますが、専門家会議で操業由来の汚染とされ、掘削除去した区画につきましては、地下水モニタリングにおいて、二年間継続して地下水基準であれば、台帳に添付された区画ごとの汚染状況を示した一覧表から当該物質を削除することができると認識しております。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長塩見清仁君登壇〕
○オリンピック・パラリンピック準備局長(塩見清仁君) リオ大会視察の調査結果についてでございます。
リオ大会は、夏季の大会運営を直接学ぶことができる最後の機会でございました。このため、都は、IOC、IPC、リオ組織委員会が、オリンピック・パラリンピックそれぞれにおいて、次回開催都市等を対象に学習機会を提供するオブザーバープログラムに職員を派遣いたしました。
現地では、座学や視察により、大会関係者の円滑な輸送のための交通需要マネジメントや、駅、競技会場等で案内を行うボランティア活動、競技会場に至るアクセス経路でのバリアフリーの現状など、多岐にわたる分野について、大会運営の参考となる知見を得たところでございます
今後、視察結果を速やかに取りまとめまして公表するとともに、さまざまな観点からリオ大会の成果や課題を検証しながら、今後の大会準備に活用してまいります。
〔百一番尾崎大介君登壇〕
○百一番(尾崎大介君) 豊洲市場移転問題について再質問をいたします。
この盛り土の問題について、調査報告書は十分ではなく、知事の答弁にもあるように、都庁のガバナンスは欠如をしていると思います。これまで、私たちが一貫してきた、安全性の問題について質疑を行いましたが、市場長の答弁は、土壌汚染対策工事は全く問題ないというものであり、懸念があった不透水層や液状化についても、影響はないという認識を持っていると理解をしてよろしいんですかね。
多くの都民が心配をする中、私たちは、過去の工事も問題があったのではないかという認識を持って取り組む必要があると考えます。
改めて、過去の対策そのものを検証し直すべきと考えますが、市場長に再質問をいたします。
私は、この豊洲市場の移転問題については、格別の思いを持っております。当時、民主党でありましたけれども、二〇〇九年の都議選で、強引な移転は反対というフレーズを掲げて戦いました。今は、議席を持っていない仲間も含め、これまで多くの議員が、本会議や委員会を通じ、質疑を繰り返ししてまいりました。その答弁が虚偽であったとすれば、今まで費やした時間は一体何だったのかという強い憤りを覚えるものであります。
今後、当時の関係者の参考人招致を含め、経済・港湾委員会での集中審議、それで問題が解明をされなければ、まずは特別委員会の設置を初め、あらゆる手だてを講じて徹底検証していくという決意を述べて、再質問を終わります。(拍手)
〔中央卸売市場長岸本良一君登壇〕
○中央卸売市場長(岸本良一君) 尾崎大介議員の再質問にお答えいたします。
専門家会議が解散した以降、ただいまご指摘をいただいた点も含め、さまざまなご指摘があることは承知しております。
今まで答弁してまいりましたとおり、そうしたことについては、これまで技術会議等でもご確認をいただいておりますが、ただいまご指摘の点を踏まえまして、これらの点につきましても、いま一度、専門家会議で確認をしていただくこととしたいと考えております。
○六十七番(山内晃君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
本日の会議はこれをもって散会されることを望みます。
○議長(川井しげお君) お諮りをいたします。
ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(川井しげお君) ご異議なしと認め、さよう決定をいたします。
明日は、午後一時より会議を開きます。
本日はこれをもって散会いたします。
午後七時四十一分散会
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