2009.10.21 各会計決算特別委員会第2分科会(第5号)
◯尾崎委員
私は、消費者生活行政についてと、また後ほど東京マラソン、これは環境からの視点で何点かお伺いさせていただきたいと思います。
先ほど、この消費者生活行政については何人かの先生からもご質問ございましたけれども、今この経済の悪化が進んでいる状況の中で、日本の社会状況、とりわけ首都東京の社会状況というものは非常に厳しいものであると認識をいたしているところであります。
都民生活をしているすべての方、中小企業の経営者だとか、例えばそこで働く方々、こうした人たち、仕事がなくなってしまった人、さまざまな理由で経済的に困窮している、こうした人たちが消費者金融にお金を借りにいくということは、想像にかたくないわけであります。
そうした消費者金融でお金を借りた結果、多重債務に陥ってしまう。
これは、昨年のリーマンショックに端を発して、都民の生活をめぐる環境は大きく変わっているものと認識をしております。派遣切りなどの雇用危機はいうまでもなく、中小零細企業の経営危機等を背景とした多重債務者の増加や、また、商店街のシャッター通り化による地域コミュニティの崩壊等、都民生活のさまざまな場面で厳しい実態があらわれていると思っております。
自殺者の数も、東京は平成十九年度で三千四十七人、平成二十年度で二千九百四十一人と、毎年三千人近くが亡くなられているわけであります。
こうした自殺のことについては、これは福祉保健局の管轄でありますから多くは申しませんけれども、その予備軍ともいうべき方々の多くが生活相談窓口を訪れていることをかんがみれば、消費者生活行政の役割は極めて重要なものであると考えるところでございます。 こうした中で、この多重債務に関する相談、これは先ほどもお話をしましたが、リーマンショック以降、非常にふえていると思うわけでありますけれども、昨今の都内の多重債務相談の状況と具体的な相談事例についてお伺いいたします。
◯清宮消費生活部長
多重債務問題でございますが、いわゆる多重債務者といわれる方は、一人当たり五件以上の借り入れをしている方の数でございまして、この二年間でそれ自体は全国では三分の一近く減っているというふうに、金融庁の調査によればなってございます。
一方では、一件または二件の借り入れをしている方の数が増加傾向にございます。
東京都の消費生活総合センター及び区市町村の消費生活センターに寄せられました平成二十年度の多重債務に関する相談は七千九百五件、前年度の七千四百八十四件よりは四百二十一件、五・六%増加しておりまして、ここ数年は七千件台で推移しているところでございます。
具体的な相談事例でございますが、例えば、生活苦のために借金をし、十年前から銀行キャッシングのほか六社から借り入れをし、総額五百五十万円となってしまった、子どもが三人いて、妻はパートの勤めを始めたというものや、十数年前から生活費のため借りては返すの繰り返しで、三つの会社から二百二十万円の残債がある、夫は年金受給者であるといったような内容の相談が寄せられてございます。
◯尾崎委員
全国的に、多重債務の方からすれば、金融庁の調べではちょっと減少しているということで、一件、二件の債務の方々はふえているというお話だったわけでありますけれども、でも、この東京においては、今、部長の方からも話があったとおり、多重債務に関してはふえている、増加をしている、まだまだ深刻な状況にあると思われるところであるわけであります。
じゃ、消費生活総合センターでは、この多重債務の問題の相談を受けた場合どのような対応をしているのか、お伺いいたします。
◯清宮消費生活部長
東京都では、多重債務相談者の方が適切に解決に結びつくよう、都及び区市町村の消費生活センターから弁護士会等の法律専門相談窓口に確実につなぐ仕組みでございます東京モデルを平成二十年度から開始しているところです。
具体的には、都の消費生活総合センターでは、相談員が任意整理や自己破産などの多重債務整理の方法について丁寧に説明をし、相談者の状況に合わせて、弁護士会や司法書士会などを適切に紹介しています。
専門家の窓口と連携しながら、相談の予約を確保し、問題解決の方向性が定まるまで相談員が確実にフォローしているところでございます。
さらに、区市町村とともに特別相談多重債務一一〇番を年二回実施するなど、多重債務相談の体制整備に努めているところでございます。
総量規制の導入や上限金利の引き下げ等の改正貸金業法、それが来年の六月までに完全施行されるという一つの状況と、こうした東京都の相談体制の効果とが、五件以上の借り入れをしているような多重債務者の数の減少には貢献しているところかなと考えてございます。
◯尾崎委員
多重債務の問題解決のためにさまざまな努力をされているというのは、私も今の答弁を聞いて非常に理解をするところでありますし、今後も引き続きそれは行っていってもらいたいと思うんですが、例えば、相談に来られた方に対してはそうした対策をとる、ただ──別に私の周りに多重債務者が多いというわけじゃないんですけれども、議員をやっていれば、いろいろとそうした相談もあるわけですよね。
それで、東京都でこうしたシステムがあるから、ぜひこういうところへ相談に行ってもらいたいと。
それは、相談に来れば、私も弁護士を紹介したりだとか、そういうことをしますけれども、やっぱりまだまだ、今こういう相談窓口があるということを知らない方々もいるわけであります。
それで、いろいろと話を聞いていると、例えば認可登録をしている貸金業者、消費者金融等から借りている人たちだけではなくて、いわゆる認可登録をしていないヤミ金業者ですね、こうしたヤミ金業者では、十日に一割なんていうのは一昔前の話でありまして、もう今は十日に五割だとか、一日で金利が倍になってしまうソクイチだとか、こうした非常に違法な、法定金利を超えた金利で貸し出しをしている業者が、今、東京では横行しているという話も聞いております。
そして実際にその被害に遭われた方々も、私もお会いしております。
そうした方々が実際、頼みの綱として頼みに行く、その一例として、お金を払い過ぎちゃって、過払いをしてしまって、それで過払い請求を弁護士に頼んで、今まで払い過ぎてしまった金利を返してもらうという、今はそういうシステムがあるわけですけれども、その相談をしに行った弁護士が過払い金を、これはもちろん依頼をされて、その違法な業者からそれを返してもらうわけですけれど、それをその依頼をされた依頼人に返しもしないで、そのままどこかに、いなくなってはいかないんでしょうけど、そのまま返さないで済ませてしまうという、こうした相談事例も実際あると聞いております。
これは弁護士会なんかでもいろいろと問題にはなっていることだと思うんですけれども、例えば消費者金融相談、この中で、ヤミ金の問題は産業労働局でも窓口があると聞いていますが、この産業労働局だとか、また事件になれば警視庁が出てくるわけでありますけれども、相談者の方からすれば、わらにもすがる気持ちで相談をしに来るわけでありますから、そこが窓口だからうちでは対応できませんよとか、そうしたことは多分していないと思いますけれども、ぜひこれは横断的な都庁の中で対応していただくことをお願い申し上げる次第でございます。 ところで、この消費者金融の相談だけではなくて、詐欺まがいの手口で英会話の教材を買わされるだとか、若者の消費者トラブルがかなり多いということも聞いております。最近の相談のそうした状況と被害防止のための都の対策をお伺いいたします。
◯清宮消費生活部長
消費生活相談の中の若者のご質問でございますが、二十九歳以下の若者に関する消費者相談につきましては、相談内容で見ますと、繁華街でアンケートと称して声をかけるキャッチセールスや、もうけ話で巧みに誘うサイドビジネス商法、また、就職に有利だからと学生に高額な英会話教室を契約させる事例などが多く見られます。
相談件数は、平成二十年度で二万六百九十一件で、相談全体の一六・五%を占めてございますが、平成十六年当時は約六万件ございまして、それに比べると大きく減少はしているところでございます。
この間、東京都としましては、関東近隣県九県や五つの政令指定都市及び二十三区、二十三市等と合同で特別相談若者のトラブル一一〇番を実施しますとともに、進学や就業に向けた一月から三月の時期に、若者向けの悪質商法被害防止共同キャンペーン等を展開してまいりました。ポスターやリーフレットの配布に加え、新宿、渋谷、立川などの三カ所の大型街頭ビジョンを活用し、イメージキャラクターを使用しましたインパクトの強いメッセージを放映しているところでございます。また、若者をねらった悪質事業者につきましても、必要なものについては処分をしてきたところでございます。
◯尾崎委員
社会経験の浅い若者のトラブルが多い一方で、やっぱり振り込め詐欺などにも見られるように、高齢者の消費者被害というものも増加をしているわけであります。そしてまた、その被害状況も深刻であると聞いておりますけれども、東京都は、私もホームページをちょっと見たんですけれども、高齢者被害者対策として、ホームページ等を初めとしてさまざまな普及啓発を行っていると思います。
ただ、やっぱり高齢者の方はホームページは余り見ないと思うんですよね。それを見ないで、自分にそういう被害が起こって、どこに相談に行っていいかわからないという方々もかなり多くいらっしゃると思うんです。
だから、例えば介護事業者や民生委員など、周りにいる人々のサポートがそういうときに非常に必要になってくると思うわけであります。 そこで伺うんですが、高齢者の消費者被害防止のため都ではどのような取り組みを行っているのか、お伺いいたします。
◯清宮消費生活部長
東京都では、高齢者の消費者被害が深刻なことから、消費生活総合センターに平成十八年度に、一般相談窓口とは別に高齢者被害一一〇番を設置いたしました。
また、高齢者はひとり暮らしの方も多く、社会とのコミュニケーションも希薄であり、インターネットを初めとするホームページなど、情報媒体にも接する機会が多くないということも考えられます。
こうしたことから、高齢者被害一一〇番とあわせまして、民生委員やホームヘルパーの方などが高齢者被害を通報できる高齢消費者見守りホットラインを開設し、きめ細かい相談体制をとっているところでございます。
また、平成十九年には、高齢者の消費者被害防止のための地域における仕組みづくりガイドライン、これを作成いたしまして、区市町村において、地域包括支援センターなどの高齢者を見守る人たちとの仕組みづくりを促進しています。既に都内の十九区、十九市で仕組みができているところでございます。
さらに、毎年九月には高齢者被害防止キャンペーン月間と定め、ポスター、リーフレット、交通広告等による啓発を行うとともに、八都県市が国民生活センター等と合同で高齢者被害特別相談を実施するなど、さまざまな取り組みを進めているところでございます。
◯尾崎委員
お話を伺っていて、さまざまな取り組みをされているというのは非常に理解するものでありますし、認識をいたしました。
だけど、さっきも申し上げましたけれども、要はその周知の問題でありまして、さまざまな取り組みをしていて、せっかくそうしたシステムがあるのに、やはりそれを知らない人たちがいるわけですから、ここにどうやって周知をしていくかということも、ぜひこれからも検討課題として取り組んでいただきたいということをお願いして、次の質問に移ります。
続きまして、東京マラソンについてお伺いいたしますが、この東京マラソンも、もう三十一万人を超える応募があるなど、大変な人気イベントとして三回も実施されまして、定着をしてきた感があるんですが、今後やっぱり、スポーツが人々に与える感動、このすばらしさを広く社会に還元していく取り組みが求められると私は思うわけでありますけれども、その意味で、東京マラソンが行っている環境への取り組みについて何点かお伺いしたいと思います。 ちょうど今、私たち民主党の鳩山総理も温暖化ガスの二五%削減を打ち出し、また、知事も低炭素都市東京への取り組みを今一生懸命、全都的にも、全庁的にも行っているところであると思うんですけれども、ことしの三月に行われた東京マラソンで、低炭素都市東京の実現のためにどんなことを行ったのか、お伺いしたいと思います。
◯岸本東京マラソン事業担当部長
東京マラソンでは、大会の実施に伴います環境負荷の低減に向けまして、東京マラソングリーンプロジェクトを実施しているところでございます。
内容でございますが、大会で使用する電力をバイオマス発電によるグリーン電力を用いて賄いますことや、一万人を超えますボランティア、それからスタッフのウエアを再生ポリエステル一〇〇%の素材で製作するなどの取り組みを行ったところでございます。
二〇〇九年大会では、ご案内のとおり、ランナーの参加者が三万人から三万五千人に、率にしますと一六%ふえておりますが、ただいま申しましたような取り組みによりまして、大会に起因するCO2の排出量は二千七百三十トンとなりまして、前年比一・八%の微増という結果となっております。
◯尾崎委員
今のお答えによりますと、定員を五千人、率にして一六%ふやしたが、大会に起因するCO2は一・八%の微増に抑えることができて、大会に起因するCO2排出量はおよそ二千七百三十トンということでありますけれども、東京マラソンでは、CO2の排出量についてカーボンオフセットを行っているのか、お伺いします。
◯岸本東京マラソン事業担当部長
東京マラソンのエキスポ会場におきまして、寄附金つきの東京マラソンのオリジナルのチャリティーグッズを販売するなどの活動を行いまして、そこで得られました収益を、緑の東京募金を通じて海の森の植林に充てることとしております。二〇〇九年大会におきましては四千七百五十七本分の植林を行う金額が集まりまして、これによりまして、CO2排出量の約一九%をオフセットすることができたこととなっております。
◯尾崎委員
vやっぱり環境都市東京、そして低炭素都市東京を実現するというふれ込みなわけですから、私はもっとカーボンオフセット率を上げるべきではないかと思うわけであります。今のお話だと、海の森だけで植林をされているというお話なんですけれども、例えば東京全体でカーボンオフセットを行っていくためには、私も地元、調布ですけれども、三多摩の方ではまだまだそういった植林をできる地域はありますから、多摩でも植林の必要があると思うんですが、いかがでしょうか。
◯岸本東京マラソン事業担当部長
カーボンオフセットの割合を上げていくことは、やはり当然必要であると考えております。
そのため、幅広い層にチャリティーについて参加を呼びかけるなどの工夫を今後してまいります。
また、緑の東京募金におきましては、募金の使途を寄附者が選択できますことから、植林の場所につきましても、東京マラソンの他の主催者等とも相談の上、今後幅広く検討してまいります。
◯尾崎委員
ぜひこれは検討していただきたいと思います。
それで、都においては、東京マラソンのほかにも各種の競技大会、都民が広く参加できるウオーキング大会など、さまざまなスポーツイベントを実施しております。そうしたイベントにおいても環境に配慮した取り組みを展開していくべきだと思いますが、所見をお伺いいたします。
◯安藤スポーツ振興部長
スポーツイベントにつきましては、大規模な競技大会などもある一方、シティサイクリング大会のように環境に優しいイベントなどもございます。さまざまなイベントにおきまして都民に環境に配慮した行動を呼びかけることはもちろん重要でございまして、これまでも、TOKYOウオーク二〇〇九で緑の東京募金の周知を図るなど、参加者に対しまして環境問題についての理解と協力を呼びかけてまいりました。
今後も、関係者の協力を得て、これまでと同様、スポーツイベントにおける環境への配慮に努めてまいります。
◯尾崎委員
最後に、その流れなんですけれども、これから東京国体が行われるわけでありますが、この東京国体に向けていく中で、都ではこの四月に武蔵野の森総合スポーツ施設基本構想というものを策定しているわけであります。今ちょうど私の地元の調布市の味の素スタジアムの隣に、この武蔵野の森総合スポーツ施設という施設がこれからできるわけでありますけれども、これはこれから多摩地域の拠点となるスポーツ施設になるわけであります。これもそろそろ建設に着工していくわけでありますけれども、ちょうどこの間、甲州街道がこうありまして、味の素スタジアムのちょうど西側にそのスポーツ施設があるわけであります。あそこら辺一帯は都有地がたくさんあるところなんですが、ちょうどそこにポプラの並木が何本かあったんです。
これは、ちょうど私も調布の飛田給に住んでいるものですから、その自治会の中で、そのポプラの木はぜひ残してもらいたいというお話があったんです。で、それを東京都の方にも伝えようとしたら、こういうときは異常に早くて、すぐ伐採しちゃったんですよね。これは埋蔵文化財の調査という名目で、すぐにポプラの木を伐採しないとその調査に入れないので、そのポプラの木を伐採しないとこの建設にも着工できないという理由だったんですけれども、そういう理由であれば、周辺住民にもいろいろと説明をする時間もあったと思うんですが、そういった周辺住民への説明もないまま、そのポプラの並木も切られてしまったんです。
あの辺は、今申し上げましたけれども、まだまだ桜並木とか森林がちょっと残っている、非常にいい場所なんです。武蔵野の森総合スポーツ施設というぐらいですから、ちょうど緑とまちが融合したような、非常にいい環境にある場所なんですね。ぜひ、まだ着工する前に──で、その隣のところに、これから予定するところなんですけれども、ここも、周辺住民の方々が春になると桜の木のもとでお花見をしたりする場所がある、桜並木があるんですけれども、私、この味の素スタジアムの西側の桜並木、これはぜひ、武蔵野の森総合スポーツ施設をつくる際にも残していただきたいと思うんですが、所見をお伺いいたします。
◯板垣参事
建設予定地の既存樹木に関しましては、都と地元三市で構成いたします調布基地跡地関連事業推進協議会での協議を踏まえまして、基本構想におきまして、可能な限り保存をするという方針を明らかにしているところでございます。この基本構想に基づきまして、用地西側の桜並木につきましては、調査を行った上で、その保全を行っていく予定でございます。
なお、先ほどご指摘のありましたポプラにつきましては、埋蔵文化財調査の区域内にありまして、調査の支障となりますほか、移植も困難と判断されましたことから、土地利用構想の告示、縦覧とあわせて、住民説明会の開催等、条例に基づく手続を経て伐採を行ったところでございますので、ご理解を賜りたいと存じます。
◯尾崎委員
この桜並木だけは残していただきたいということを要望して、私の質問を終わります。
私は、消費者生活行政についてと、また後ほど東京マラソン、これは環境からの視点で何点かお伺いさせていただきたいと思います。
先ほど、この消費者生活行政については何人かの先生からもご質問ございましたけれども、今この経済の悪化が進んでいる状況の中で、日本の社会状況、とりわけ首都東京の社会状況というものは非常に厳しいものであると認識をいたしているところであります。
都民生活をしているすべての方、中小企業の経営者だとか、例えばそこで働く方々、こうした人たち、仕事がなくなってしまった人、さまざまな理由で経済的に困窮している、こうした人たちが消費者金融にお金を借りにいくということは、想像にかたくないわけであります。
そうした消費者金融でお金を借りた結果、多重債務に陥ってしまう。
これは、昨年のリーマンショックに端を発して、都民の生活をめぐる環境は大きく変わっているものと認識をしております。派遣切りなどの雇用危機はいうまでもなく、中小零細企業の経営危機等を背景とした多重債務者の増加や、また、商店街のシャッター通り化による地域コミュニティの崩壊等、都民生活のさまざまな場面で厳しい実態があらわれていると思っております。
自殺者の数も、東京は平成十九年度で三千四十七人、平成二十年度で二千九百四十一人と、毎年三千人近くが亡くなられているわけであります。
こうした自殺のことについては、これは福祉保健局の管轄でありますから多くは申しませんけれども、その予備軍ともいうべき方々の多くが生活相談窓口を訪れていることをかんがみれば、消費者生活行政の役割は極めて重要なものであると考えるところでございます。 こうした中で、この多重債務に関する相談、これは先ほどもお話をしましたが、リーマンショック以降、非常にふえていると思うわけでありますけれども、昨今の都内の多重債務相談の状況と具体的な相談事例についてお伺いいたします。
◯清宮消費生活部長
多重債務問題でございますが、いわゆる多重債務者といわれる方は、一人当たり五件以上の借り入れをしている方の数でございまして、この二年間でそれ自体は全国では三分の一近く減っているというふうに、金融庁の調査によればなってございます。
一方では、一件または二件の借り入れをしている方の数が増加傾向にございます。
東京都の消費生活総合センター及び区市町村の消費生活センターに寄せられました平成二十年度の多重債務に関する相談は七千九百五件、前年度の七千四百八十四件よりは四百二十一件、五・六%増加しておりまして、ここ数年は七千件台で推移しているところでございます。
具体的な相談事例でございますが、例えば、生活苦のために借金をし、十年前から銀行キャッシングのほか六社から借り入れをし、総額五百五十万円となってしまった、子どもが三人いて、妻はパートの勤めを始めたというものや、十数年前から生活費のため借りては返すの繰り返しで、三つの会社から二百二十万円の残債がある、夫は年金受給者であるといったような内容の相談が寄せられてございます。
◯尾崎委員
全国的に、多重債務の方からすれば、金融庁の調べではちょっと減少しているということで、一件、二件の債務の方々はふえているというお話だったわけでありますけれども、でも、この東京においては、今、部長の方からも話があったとおり、多重債務に関してはふえている、増加をしている、まだまだ深刻な状況にあると思われるところであるわけであります。
じゃ、消費生活総合センターでは、この多重債務の問題の相談を受けた場合どのような対応をしているのか、お伺いいたします。
◯清宮消費生活部長
東京都では、多重債務相談者の方が適切に解決に結びつくよう、都及び区市町村の消費生活センターから弁護士会等の法律専門相談窓口に確実につなぐ仕組みでございます東京モデルを平成二十年度から開始しているところです。
具体的には、都の消費生活総合センターでは、相談員が任意整理や自己破産などの多重債務整理の方法について丁寧に説明をし、相談者の状況に合わせて、弁護士会や司法書士会などを適切に紹介しています。
専門家の窓口と連携しながら、相談の予約を確保し、問題解決の方向性が定まるまで相談員が確実にフォローしているところでございます。
さらに、区市町村とともに特別相談多重債務一一〇番を年二回実施するなど、多重債務相談の体制整備に努めているところでございます。
総量規制の導入や上限金利の引き下げ等の改正貸金業法、それが来年の六月までに完全施行されるという一つの状況と、こうした東京都の相談体制の効果とが、五件以上の借り入れをしているような多重債務者の数の減少には貢献しているところかなと考えてございます。
◯尾崎委員
多重債務の問題解決のためにさまざまな努力をされているというのは、私も今の答弁を聞いて非常に理解をするところでありますし、今後も引き続きそれは行っていってもらいたいと思うんですが、例えば、相談に来られた方に対してはそうした対策をとる、ただ──別に私の周りに多重債務者が多いというわけじゃないんですけれども、議員をやっていれば、いろいろとそうした相談もあるわけですよね。
それで、東京都でこうしたシステムがあるから、ぜひこういうところへ相談に行ってもらいたいと。
それは、相談に来れば、私も弁護士を紹介したりだとか、そういうことをしますけれども、やっぱりまだまだ、今こういう相談窓口があるということを知らない方々もいるわけであります。
それで、いろいろと話を聞いていると、例えば認可登録をしている貸金業者、消費者金融等から借りている人たちだけではなくて、いわゆる認可登録をしていないヤミ金業者ですね、こうしたヤミ金業者では、十日に一割なんていうのは一昔前の話でありまして、もう今は十日に五割だとか、一日で金利が倍になってしまうソクイチだとか、こうした非常に違法な、法定金利を超えた金利で貸し出しをしている業者が、今、東京では横行しているという話も聞いております。
そして実際にその被害に遭われた方々も、私もお会いしております。
そうした方々が実際、頼みの綱として頼みに行く、その一例として、お金を払い過ぎちゃって、過払いをしてしまって、それで過払い請求を弁護士に頼んで、今まで払い過ぎてしまった金利を返してもらうという、今はそういうシステムがあるわけですけれども、その相談をしに行った弁護士が過払い金を、これはもちろん依頼をされて、その違法な業者からそれを返してもらうわけですけれど、それをその依頼をされた依頼人に返しもしないで、そのままどこかに、いなくなってはいかないんでしょうけど、そのまま返さないで済ませてしまうという、こうした相談事例も実際あると聞いております。
これは弁護士会なんかでもいろいろと問題にはなっていることだと思うんですけれども、例えば消費者金融相談、この中で、ヤミ金の問題は産業労働局でも窓口があると聞いていますが、この産業労働局だとか、また事件になれば警視庁が出てくるわけでありますけれども、相談者の方からすれば、わらにもすがる気持ちで相談をしに来るわけでありますから、そこが窓口だからうちでは対応できませんよとか、そうしたことは多分していないと思いますけれども、ぜひこれは横断的な都庁の中で対応していただくことをお願い申し上げる次第でございます。 ところで、この消費者金融の相談だけではなくて、詐欺まがいの手口で英会話の教材を買わされるだとか、若者の消費者トラブルがかなり多いということも聞いております。最近の相談のそうした状況と被害防止のための都の対策をお伺いいたします。
◯清宮消費生活部長
消費生活相談の中の若者のご質問でございますが、二十九歳以下の若者に関する消費者相談につきましては、相談内容で見ますと、繁華街でアンケートと称して声をかけるキャッチセールスや、もうけ話で巧みに誘うサイドビジネス商法、また、就職に有利だからと学生に高額な英会話教室を契約させる事例などが多く見られます。
相談件数は、平成二十年度で二万六百九十一件で、相談全体の一六・五%を占めてございますが、平成十六年当時は約六万件ございまして、それに比べると大きく減少はしているところでございます。
この間、東京都としましては、関東近隣県九県や五つの政令指定都市及び二十三区、二十三市等と合同で特別相談若者のトラブル一一〇番を実施しますとともに、進学や就業に向けた一月から三月の時期に、若者向けの悪質商法被害防止共同キャンペーン等を展開してまいりました。ポスターやリーフレットの配布に加え、新宿、渋谷、立川などの三カ所の大型街頭ビジョンを活用し、イメージキャラクターを使用しましたインパクトの強いメッセージを放映しているところでございます。また、若者をねらった悪質事業者につきましても、必要なものについては処分をしてきたところでございます。
◯尾崎委員
社会経験の浅い若者のトラブルが多い一方で、やっぱり振り込め詐欺などにも見られるように、高齢者の消費者被害というものも増加をしているわけであります。そしてまた、その被害状況も深刻であると聞いておりますけれども、東京都は、私もホームページをちょっと見たんですけれども、高齢者被害者対策として、ホームページ等を初めとしてさまざまな普及啓発を行っていると思います。
ただ、やっぱり高齢者の方はホームページは余り見ないと思うんですよね。それを見ないで、自分にそういう被害が起こって、どこに相談に行っていいかわからないという方々もかなり多くいらっしゃると思うんです。
だから、例えば介護事業者や民生委員など、周りにいる人々のサポートがそういうときに非常に必要になってくると思うわけであります。 そこで伺うんですが、高齢者の消費者被害防止のため都ではどのような取り組みを行っているのか、お伺いいたします。
◯清宮消費生活部長
東京都では、高齢者の消費者被害が深刻なことから、消費生活総合センターに平成十八年度に、一般相談窓口とは別に高齢者被害一一〇番を設置いたしました。
また、高齢者はひとり暮らしの方も多く、社会とのコミュニケーションも希薄であり、インターネットを初めとするホームページなど、情報媒体にも接する機会が多くないということも考えられます。
こうしたことから、高齢者被害一一〇番とあわせまして、民生委員やホームヘルパーの方などが高齢者被害を通報できる高齢消費者見守りホットラインを開設し、きめ細かい相談体制をとっているところでございます。
また、平成十九年には、高齢者の消費者被害防止のための地域における仕組みづくりガイドライン、これを作成いたしまして、区市町村において、地域包括支援センターなどの高齢者を見守る人たちとの仕組みづくりを促進しています。既に都内の十九区、十九市で仕組みができているところでございます。
さらに、毎年九月には高齢者被害防止キャンペーン月間と定め、ポスター、リーフレット、交通広告等による啓発を行うとともに、八都県市が国民生活センター等と合同で高齢者被害特別相談を実施するなど、さまざまな取り組みを進めているところでございます。
◯尾崎委員
お話を伺っていて、さまざまな取り組みをされているというのは非常に理解するものでありますし、認識をいたしました。
だけど、さっきも申し上げましたけれども、要はその周知の問題でありまして、さまざまな取り組みをしていて、せっかくそうしたシステムがあるのに、やはりそれを知らない人たちがいるわけですから、ここにどうやって周知をしていくかということも、ぜひこれからも検討課題として取り組んでいただきたいということをお願いして、次の質問に移ります。
続きまして、東京マラソンについてお伺いいたしますが、この東京マラソンも、もう三十一万人を超える応募があるなど、大変な人気イベントとして三回も実施されまして、定着をしてきた感があるんですが、今後やっぱり、スポーツが人々に与える感動、このすばらしさを広く社会に還元していく取り組みが求められると私は思うわけでありますけれども、その意味で、東京マラソンが行っている環境への取り組みについて何点かお伺いしたいと思います。 ちょうど今、私たち民主党の鳩山総理も温暖化ガスの二五%削減を打ち出し、また、知事も低炭素都市東京への取り組みを今一生懸命、全都的にも、全庁的にも行っているところであると思うんですけれども、ことしの三月に行われた東京マラソンで、低炭素都市東京の実現のためにどんなことを行ったのか、お伺いしたいと思います。
◯岸本東京マラソン事業担当部長
東京マラソンでは、大会の実施に伴います環境負荷の低減に向けまして、東京マラソングリーンプロジェクトを実施しているところでございます。
内容でございますが、大会で使用する電力をバイオマス発電によるグリーン電力を用いて賄いますことや、一万人を超えますボランティア、それからスタッフのウエアを再生ポリエステル一〇〇%の素材で製作するなどの取り組みを行ったところでございます。
二〇〇九年大会では、ご案内のとおり、ランナーの参加者が三万人から三万五千人に、率にしますと一六%ふえておりますが、ただいま申しましたような取り組みによりまして、大会に起因するCO2の排出量は二千七百三十トンとなりまして、前年比一・八%の微増という結果となっております。
◯尾崎委員
今のお答えによりますと、定員を五千人、率にして一六%ふやしたが、大会に起因するCO2は一・八%の微増に抑えることができて、大会に起因するCO2排出量はおよそ二千七百三十トンということでありますけれども、東京マラソンでは、CO2の排出量についてカーボンオフセットを行っているのか、お伺いします。
◯岸本東京マラソン事業担当部長
東京マラソンのエキスポ会場におきまして、寄附金つきの東京マラソンのオリジナルのチャリティーグッズを販売するなどの活動を行いまして、そこで得られました収益を、緑の東京募金を通じて海の森の植林に充てることとしております。二〇〇九年大会におきましては四千七百五十七本分の植林を行う金額が集まりまして、これによりまして、CO2排出量の約一九%をオフセットすることができたこととなっております。
◯尾崎委員
vやっぱり環境都市東京、そして低炭素都市東京を実現するというふれ込みなわけですから、私はもっとカーボンオフセット率を上げるべきではないかと思うわけであります。今のお話だと、海の森だけで植林をされているというお話なんですけれども、例えば東京全体でカーボンオフセットを行っていくためには、私も地元、調布ですけれども、三多摩の方ではまだまだそういった植林をできる地域はありますから、多摩でも植林の必要があると思うんですが、いかがでしょうか。
◯岸本東京マラソン事業担当部長
カーボンオフセットの割合を上げていくことは、やはり当然必要であると考えております。
そのため、幅広い層にチャリティーについて参加を呼びかけるなどの工夫を今後してまいります。
また、緑の東京募金におきましては、募金の使途を寄附者が選択できますことから、植林の場所につきましても、東京マラソンの他の主催者等とも相談の上、今後幅広く検討してまいります。
◯尾崎委員
ぜひこれは検討していただきたいと思います。
それで、都においては、東京マラソンのほかにも各種の競技大会、都民が広く参加できるウオーキング大会など、さまざまなスポーツイベントを実施しております。そうしたイベントにおいても環境に配慮した取り組みを展開していくべきだと思いますが、所見をお伺いいたします。
◯安藤スポーツ振興部長
スポーツイベントにつきましては、大規模な競技大会などもある一方、シティサイクリング大会のように環境に優しいイベントなどもございます。さまざまなイベントにおきまして都民に環境に配慮した行動を呼びかけることはもちろん重要でございまして、これまでも、TOKYOウオーク二〇〇九で緑の東京募金の周知を図るなど、参加者に対しまして環境問題についての理解と協力を呼びかけてまいりました。
今後も、関係者の協力を得て、これまでと同様、スポーツイベントにおける環境への配慮に努めてまいります。
◯尾崎委員
最後に、その流れなんですけれども、これから東京国体が行われるわけでありますが、この東京国体に向けていく中で、都ではこの四月に武蔵野の森総合スポーツ施設基本構想というものを策定しているわけであります。今ちょうど私の地元の調布市の味の素スタジアムの隣に、この武蔵野の森総合スポーツ施設という施設がこれからできるわけでありますけれども、これはこれから多摩地域の拠点となるスポーツ施設になるわけであります。これもそろそろ建設に着工していくわけでありますけれども、ちょうどこの間、甲州街道がこうありまして、味の素スタジアムのちょうど西側にそのスポーツ施設があるわけであります。あそこら辺一帯は都有地がたくさんあるところなんですが、ちょうどそこにポプラの並木が何本かあったんです。
これは、ちょうど私も調布の飛田給に住んでいるものですから、その自治会の中で、そのポプラの木はぜひ残してもらいたいというお話があったんです。で、それを東京都の方にも伝えようとしたら、こういうときは異常に早くて、すぐ伐採しちゃったんですよね。これは埋蔵文化財の調査という名目で、すぐにポプラの木を伐採しないとその調査に入れないので、そのポプラの木を伐採しないとこの建設にも着工できないという理由だったんですけれども、そういう理由であれば、周辺住民にもいろいろと説明をする時間もあったと思うんですが、そういった周辺住民への説明もないまま、そのポプラの並木も切られてしまったんです。
あの辺は、今申し上げましたけれども、まだまだ桜並木とか森林がちょっと残っている、非常にいい場所なんです。武蔵野の森総合スポーツ施設というぐらいですから、ちょうど緑とまちが融合したような、非常にいい環境にある場所なんですね。ぜひ、まだ着工する前に──で、その隣のところに、これから予定するところなんですけれども、ここも、周辺住民の方々が春になると桜の木のもとでお花見をしたりする場所がある、桜並木があるんですけれども、私、この味の素スタジアムの西側の桜並木、これはぜひ、武蔵野の森総合スポーツ施設をつくる際にも残していただきたいと思うんですが、所見をお伺いいたします。
◯板垣参事
建設予定地の既存樹木に関しましては、都と地元三市で構成いたします調布基地跡地関連事業推進協議会での協議を踏まえまして、基本構想におきまして、可能な限り保存をするという方針を明らかにしているところでございます。この基本構想に基づきまして、用地西側の桜並木につきましては、調査を行った上で、その保全を行っていく予定でございます。
なお、先ほどご指摘のありましたポプラにつきましては、埋蔵文化財調査の区域内にありまして、調査の支障となりますほか、移植も困難と判断されましたことから、土地利用構想の告示、縦覧とあわせて、住民説明会の開催等、条例に基づく手続を経て伐採を行ったところでございますので、ご理解を賜りたいと存じます。
◯尾崎委員
この桜並木だけは残していただきたいということを要望して、私の質問を終わります。